「こんなときどんな服を着ればいいかわからない」のあるあるなお悩みに合わせたアイテムやコーディネートを、30~40代の今を生きる3人の個性豊かな女性の日常とともに紹介していきます。第20回は「白スニーカー」。きれいめ派の人はどうしたらおしゃれにはけるのかを、コンサバスタイルが好きな主人公・マユミに当てはめて紹介します。

◆前回のお話はこちらから◆

38歳の弱い私を包んでくれる「ピンクのカーディガン」。血色の悪さもごまかせる

<通勤スタイル>スニーカー合わせで一気にフレキシブルなムード

●3/20 月曜日 AM7:00。出勤

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マユミ:年度末は忙しい。やってもやっても仕事の量が減らない。でも、ユウとの関係が微妙な今は仕事に没頭できるほうがよくて、わざと忙しくしてるところもあるからつらくない。

コンペの資料づくりを進めないとやばくて7時に出社。今日は会社にこもりきりだからスニーカーで来ちゃった。パンツスーツにスニーカーってハンサムで好き。清潔感のある白ならスーツスタイルがクリーンに見えるし、ヘルシーなムードにもなるし、なんだか気持ちも軽やか。ジャケットの下のTシャツとバッグも白でそろえて春らしいさわやかさも演出。Tシャツはクルーネックを選んで、スニーカーのカジュアルなテンションに合うように。

「今週末、同業他社の人が集うゴルフ交流会のイベントあり。来られる人いませんか?」と部署内のグループチャットが鳴った。それどころじゃないとスルーしかかったものの、その日はユウからドライブに誘われていたことを思い出した。ドライブほどの長時間をユウと平和に過ごしきる自信がなくて返事を保留していたんだった。

「私行けます! 行きたいです」。

そう送って、「接待ゴルフが入っちゃった」とドライブを断った。ユウとうまく向き合えなくなってからもう2か月以上がたった。ユウからの連絡もあまり来なくなった。

私はユウに対して言いたいことをずっと言えずに、結婚する気があるのかどうかも結局確認できなかった。失いたくなかった。ユウの穏やかさが好きだったから、そういう態度がかえって苦しいとかつらいとか言えなかったし、そのままでいてほしかった。いつでもなにかに必死だった私も、ユウと一緒にいる時間だけは穏やかでいられて、そういう一面を自分が持っていたと知れたこともうれしかった。でも、苦しさのほうを積み上げすぎてしまった。

ちゃんと向き合って話をしなきゃいけないのに、まだその覚悟が決まらない。もう未来がないとわかっているのに、それが事実になってしまうのがこわい。仕事の忙しさを言い訳に、もう少しだけ、先のばしをさせて。その先のばしの間に、いい方に転んでくれる希望を捨てられずにいるんだ。