『ドラえもん』のスネ夫役をはじめ、『鬼滅の刃』の不死川実弥役や『呪術廻戦』のパンダ役など、話題作に多数出演している人気声優・関智一さんの暮らしのエッセイ。今回は、関さんがハマっている意外なものについてつづってもらいました。
関智一、ただいま〇〇〇にハマってます
すべての画像を見る(全7枚)突然だが、最近「麩菓子」にハマっている。2、30cm程の棒状の麩を黒糖などでコーティングした、いわゆる、駄菓子だ。
今から40年程前、少年時代の僕が住む町にはいちばん多いときで、4軒もの駄菓子屋があった。そのどの店でも1本20円程度で麩菓子を買うことができた。
●駄菓子の王道商品は智一少年の淡い思い出
麩菓子は、駄菓子屋の看板的、王道的商品だ、と僕は未だに思っている。かじるとサクッと歯触りがよく楽しい食感。なかでも端の部分が絶品で、糖のコーティングが一段と濃く、分厚くたまって固まっており、この部分をかじったときのガリッとした食感とコクのある甘さが、とてつもない贅沢をしたようで少年心に堪らなかった。
値段的にも求めやすく、味と食感に魅了された智一少年は、ほぼ毎日、十円を握り締め、駄菓子屋に走り麩菓子を買ってかじっていた。
あれから月日は流れ、時代の移り変わりと共に町の駄菓子屋は、1軒、また1軒と消えていった。それに伴い、僕も麩菓子の事を次第に忘れていってしまった。
●キラキラした光景はアラフィフを少年の心に
ある日、大型ショッピングモールに買い物に出かけた際、さまざまある店舗の中に一際異彩を放つ、昭和レトロな佇まいの一店を発見した。看板に「1丁目1番地」と店名が掲げられている…。
あの頃の駄菓子屋を再現したお店らしい。中を覗いてみると、テレビアニメや特撮ヒーローのお面、ビー玉にメンコ、数え切れないほどの菓子類が所狭しと陳列されている。宝箱をひっくり返した様なそのキラキラした光景は、アラフィフの私の心に、少年時代の甘酸っぱい記憶を一瞬で蘇らせた。
昭和にタイムスリップした僕は、どの買い物よりも丁寧に店内を見て歩いた。水に溶かすとジュースに変わる謎の粉末「フルーツジュース」、「蒲焼さん太郎」に「焼肉さん太郎」。
謎のカエル警官がパッケージに描かれた「キャベツ太郎」、ガツンとパンチの効いた味わいの「ポテトフライ」、一箱に4粒(最近は6粒)入ってお得感があるマルカワの「オレンジフーセンガム」、定番「よっちゃんイカ」、ずっとかわらないおいしさ「ビッグカツ」、凍らせて絶品な「あんずボー」。
さらに、当時はくじ形式になっていて当たると巨大なあんこ玉が1個貰える「あんこ玉」、小さなカップに入った甘味と酸味の効いたクリームを木べらでいただく「モロッコフルーツヨーグル」、ビンの形をしたモナカに入った粉末ラムネをストローをさして吸って食べる、文字通りの「ビンラムネ」、いわゆるカップラーメン「ブタメン」(現役時代によく食べたのはエビスさんのミニラーメンとミニ焼きそばと)と、挙げればキリのないスタメンぞろいのラインナップ。