300人にアンケートを実施し、家計にまつわる悩みを聞いたところ、「老後のお金」が関心ごとの第1位に。「老後破産」という言葉をよく耳にする昨今、定年後も安心して暮らすために、どんな準備をしたらよいのでしょう。

『ESSE』6月号の特集「家計見直しで老後の不安解消」

にも登場していただいているファイナンシャルプランナーの畠中雅子先生に、老後の家計と老後資産について話を伺ってみました。

老後破産が増えています

老後破産
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 給料をもらい普通に暮らしてきたのに老後に貯金がなくなり、破産する家庭が増えています。原因の多くは、転職やリストラなど予想外のトラブルで住宅ローンが負担になったり、教育費をかけすぎたことや高額な医療費など。老後破産予備軍が200万人といわれる現在。貧困におちいらないように、しっかりとした人生設計をしましょう。

●今の生活費によって老後資金は変わる!

 雑誌などで「老後資金は5000万円必要」などと読んで、「そんなに貯められない!」と不安を感じている人もいると思います。でも、今の生活費が500万円の人も1000万円の人も、同じ数字で決めつけるのはおかしな話。必要な老後資金は、今の生活費によって変わるものです。

 一般に老後は住宅ローンが終わり、教育費や養育費も不要になるため、生活費は今の6~7割以下になる家庭がほとんど。自分の家計から、老後の家計を予想してみましょう。年金だけで意外に暮らせる、と気づくはずです。ちなみに年金額は、夫が会社員、妻が専業主婦で、夫の平均年収が500万円の場合、夫の老齢厚生年金と夫婦の老齢基礎年金=約260万円(月額21万7000円)が受け取れます。

 それでも、たりない分を老後資金としてためる必要があります。

老後はボーナスがないので、特別支出に注意

 もうひとつ老後資金として備える必要があるのは、これまでボーナスでまかなってきた特別支出分。クルマ費や旅行費、固定資産税などの税金、リフォーム、家電の買い替えなどです。今の家計で特別支出が多い人は、1年に1度中身を見直してムダを減らすことも大事な老後準備になるでしょう。

●年収500万円なら、2500~3000万円を用意して

老後貯蓄

 これらを考えると、老後に貯めておきたい資金は、30~40代の手取り年収の5~6倍が目安。年収500万円なら、2500~3000万円です。会社員で退職金がある家庭なら、退職金で足りない分を貯めればいいので、十分準備できるのではないでしょうか