持続可能な社会をつくるための「SDGs」。2030年までの達成をゴールとした「持続的な開発目標」を指し、世界的に注目されています。一見難しそうに感じますが、じつは私たちの暮らしのなかに取り入れられることがたくさんあります。今回のテーマは「サステナブルなファッション」について。SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんにつづってもらいました。
すべての画像を見る(全7枚)エコで質のよい服を長く着て循環させる暮らし、始めませんか?
ファッションデザイナーの三宅一生さんが、今年の8月5日、84歳で亡くなりました。布にプリーツ加工を施した「PLEATS PLEASE(プリーツプリーズ)」は、有名ですよね。
じつは、洋服をつくる際には、「裁断くず」と呼ばれるごみが発生してしまいます。これが、生地全体の3割もの量になるそうで、しかも再利用が難しいという課題があります。
ISSEY MIYAKEの服は「一枚の布」にこだわり、立体的に見えてじつは折りたたむと平らになったり、「裁断くず」が少ないデザインになっています。今考えると、まだ“サステナブル(資源を大切に、環境を保全しながら将来も続けていける、持続可能である)”という言葉がほとんど使われていない時代から、環境に配慮したデザインだったのですね。
私も何枚かもっていますが、とにかく軽くて体に負担がなく、それでいてエレガント。洗っても形状が記憶されるので、旅行などには最適です。ショップに並んでいる服は比較的少なく、気に入ったものがあったらすぐに買わないと売りきれてしまうそうです。つくりすぎない点もいいですね。
そもそも、日本の着物は広げると四角く、裁断くずがほぼないという点でじつにエコな服と言えます。また、着つけの仕方で、サイズなど関係なくどんな人も着られるという多様性にも配慮。そう考えると日本の服飾文化ってスゴイです!
●年間約30億着が捨てられる、日本のアパレル産業の現状
アパレル産業が環境にあまりよくないということは、以前のコラムでもお伝えしましたが、日本で年間に破棄される服の量は年間100万トン、約30億着が捨てられています。(※立行政法人中小機構調べ)。
温暖化の原因になっているCO2排出量の10%がファッション産業から出ているとも言われ、この現状に私たちはもっと目を向けるべきだと思います。
●在庫も店舗ももたない、新しいファッションの試み
Enter the Eというエシカルファッション(環境や生産に関わるすべての人に配慮したファッション)専門のセレクトショップを立ち上げた植月友美さんは、「在庫も常設の店」も持たないというスタイルで、破棄率0%、消化率100%を目指しています。2021年の夏に実施したトークイベント「未来を変えるFUTURE TALK」に登壇いただいた際には、ゼロウェイスト・ドレスを見せてくれました。
裁断によるごみを出さないデザインで、4通りの着方ができる服です。そのほか、服についたQRコードを読み取ると、CO2の排出量や水の使用量など、どのような背景でこの服ができているかがわかるブランドや、リサイクル素材でできている服など、すてきなものばかり。「未来のために貢献できる服えらびを!」という言葉が心に響きました。