貯めているはずなのに、なぜか貯まらない…。そんな人は、目の前の収支ばかりに気を取られて、年単位の家計設計ができていない可能性があります。

ここでは「結婚して10年、貯蓄が増えたことがない」というESSE読者のお悩みに、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが答えました。

<家計診断>貯蓄を確保するため、ボーナスなどで住宅ローンを払っても大丈夫?

住宅ローン生命保険料
貯蓄が増えたことがない…どうすればいい?
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【相談者】

杉本智子さん(仮名) 神奈川県・34歳(専業主婦)
夫34歳(公務員)、長男7歳、長女5歳、二女4歳

【お悩み】

結婚10年間、貯蓄が増えたことがありません。毎月5万円の貯蓄を確保するため、住宅ローンと生命保険料を幼稚園の補助金や児童手当、ボーナスの一部をとりおいて支払うようにしましたが、結局赤字に。このやり方で大丈夫?

【杉本さんの家計収支】

夫の月収(手取り) ¥340,000
収入合計 ¥340,000

住居費

 ← check3

(住宅ローン月10万円はボーナスなどのとりおきで支払い)¥20,000
食費 ¥50,000
電気料金 ¥12,000
ガス料金 ¥10,000
水道料金 ¥5,000  
通信費
(携帯電話2台分) ¥10,000
(NHK受信料) ¥1,200
日用雑費 ¥10,000
レジャー費・外食費・交際費 ¥15,000
子ども費
(幼稚園月謝)¥60,000 

← check1 

  
(習い事)  ¥20,000
奨学金返済 ¥12,000
雑費 ¥10,000
こづかい(夫) ¥20,000
こづかい(妻) ¥10,000
生命保険料(年払い) ¥0
貯蓄 ¥50,000

 ← check3

支出合計 ¥315,200

収支 +¥24,800 ← check3
ボーナス収入 ¥1,530,000 ← check2
現在の貯蓄 ¥400,000

月の支出をボーナスでまかなうのはNG!「特別費」の使える額を意識して

ボーナスや月5万2000円の幼稚園の補助金、月3万5000円の児童手当をとりおいて住宅ローンを支払うと、月々の収支は黒字になりますが、年間では赤字に。

月の支出は、月の収入でまかなうのが基本です。補助金を幼稚園月謝にあてれば負担が8000円まで減ることに。毎月の貯蓄を5万円から2万円に減らし、収支の黒字2万4800円と合わせて住宅ローン10万円を捻出しましょう。児童手当は住宅ローンに回さずに、教育費用に貯蓄してください。

また、特別支出の予算もボーナス額から決めたそうですが、金額が多すぎます。特別支出は、使いたい額ではなく、使える額で決めるとムダが出ません。

ボーナスから先に2割の貯蓄を確保し、固定資産税など必ずかかるお金をとりおき、残ったお金で冠婚葬祭費や旅行費などのやりくりを。
ボーナスからも32万円貯められ、月2万円の貯蓄+児童手当を合わせて年100万円の貯蓄が可能になります。

<check1>幼稚園の補助金は月謝にあて、児童手当は教育費用に貯蓄 

幼稚園補助金、児童手当、ボーナスの一部を口座にまとめ、住宅ローンや固定資産税を支払っている杉本さん。でも、補助金や児童手当に頼るのは危険! 
補助金を幼稚園月謝にあてると、家計からの負担はバス代8000円だけになり、5万2000円も出費カットに。補助金の振り込み口座で月謝を支払えば、管理も簡単です。

児童手当は、支給されたら教育費用にきちんと貯蓄しましょう。

<check2>ボーナスは2割を貯蓄に回し、残ったお金を特別支出用に

杉本さんの特別支出予算は、生命保険料と固定資産税70万円と100万円(交際費40万円、被服費と美容費で29万円、生活雑費11万円、レジャー費20万円)にも!
生活雑貨や美容費は、月の家計で出すべき支出。Check3で見直した黒字6800円でやりくりを。

そのうえで、ボーナス153万円から2割の32万円を貯め、生命保険料と固定資産税70万円をとりおきましょう。残りの51万円で、交際費と被服費、レジャー費をまかなって。

<check3>月の貯蓄は2万円に減らし、住宅ローンを月の家計から捻出 

毎月5万円を先取りで貯蓄してきたものの、結局引き出して貯蓄ゼロになってしまうとか。先取り貯蓄は、がんばればできる額にするのが成功の秘訣です。2万円に減らして、確実に貯めましょう。

幼稚園月謝負担の軽減分5万2000円、黒字2万4800円と合わせると、住宅ローン10万円を支払っても6800円の黒字家計になるはず。