旅先として人気の北欧。景色の美しさのほか、料理や、洋服や器のデザインでも知られています。
旅の楽しみ方はさまざまですが、料理が好きなら、その土地ならではの料理や器に注目してみてはいかがでしょうか。

ここでは、ESSEが注目する料理ブロガーで、洗練されたテーブルコーディネートに定評のあるぶち猫さんに、北欧を訪れた際の、食と器の楽しみ方を教えてもらいました。

北欧旅行
旅先で食べ物や器を楽しむときのポイント
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古道具や不ぞろいな器が旅の思い出に。テイストが合えばしっくりなじみます

フィンランドとバルト三国の夏の様子をレポートします。

夏の北欧は白夜のため夜半を過ぎても美しい夕暮れが続き、短く美しい季節を楽しむ人々が街をそぞろ歩いて、開放的な空気に満ち満ちていました。

旅に求めるものは人それぞれですが、私は好奇心が先に立つタイプです。訪れた街の路地をうろうろと歩き回り、生まれ育った土地とは異なる建物群を観察し、そこで生まれ育ち暮らす人々の生活を垣間見る楽しみ。慣れない味つけの料理をあれこれと食べ、器を見るのも興味深いものです。

スーパーや市場

料理好きな人におすすめしたいのは、地元の人向けのスーパーや市場をのぞいてみること。写真はラトビアの首都リガの中央市場です。

旅行者向けのおみやげ物店ではなかなか目にすることのない、各地で暮らしている人々が日常的に口にしている食材を目の当たりにすることができます。

日本のスーパーとの品ぞろえの違いを観察するのもおもしろいもの。たとえば、フィンランドのヘルシンキのスーパーではヨーグルトの品ぞろえが豊富で、壁一面の冷蔵棚がすべて異なる種類のヨーグルトで埋まっていました。

防疫や消費期限の問題があるので、生鮮食料品を買うのはハードルが高いのですが、お菓子などは値段も安く種類も豊富なので、おみやげ用に買うのもおすすめです。

●アパートメントホテルなら調理を楽しめる

アパートメントホテルなら調理を楽しめる

現地で買った食材や総菜を満喫したい場合には、アパートメントホテルに泊まる手があります。

アパートメントホテルとは、キッチンと洗濯機のついたホテルとアパートメントの中間のような宿泊施設で、北欧ではよく見かけます。

キッチンには調理器具や食器までひととおりそろっているので、スーパーや市場で買った食材を調理して食べて、暮らすように旅することができます。

●伝統的な台所も見どころな「野外博物館」

北欧に行くと必ず訪れる場所のひとつが、野外博物館です。
野外博物館とは、敷地内に各国の伝統的な様式で建てられた建築物を移築し、民族衣装をまとった人々が当時の生活を再現して見せてくれるテーマパークのこと。

エストニアのタリン近くにある野外博物館のある家の台所

写真は、エストニアのタリン近くの野外博物館にある家の台所です。ノスタルジックな台所道具と食器、美しい民族衣装と家具のしつらえは見飽きることがなく、つい長居をしてしまいます。

白身魚のフライ

こちらは、野外博物館でお昼に食べた白身魚のフライと、ジャガイモにサワークリームのソースがかかった一品。黒パンはディル入りのバターつき。

旅先での食事は、その味わいはもちろんですが、現地ならではの食器をじっくりと観察できるのも魅力のひとつです。

あちこち食べ歩き、野外博物館などを訪れているうちに、器好きの血が騒いでしまい、最近は旅に出ると必ず自分用のおみやげとして器を買って帰るようになりました。

●旅のおみやげに器を買うときのポイント

旅のおみやげに器を買うときのポイント

旅先で買う器は、長く使えそうなものを選びます。使うたびに旅先で見た美しい景色のこと、楽しかった出来事が思い出されるからです。

北欧の器は日本で買うと高価。メーカーのアウトレットショップを訪れて新品を買うのももちろん楽しいですが、私は現地に行かないとなかなか出合えないブロカント(古道具)を中心に探します。

北欧で長く大切に使われてきた器が、不思議な縁で日本の食卓にやってくると思うと、ちょっとワクワクしませんか。

北欧の街には、ブロカントを扱うお店がたくさんあり、雑貨店やリサイクルショップでも古くてかわいい器を見つけることができます。

写真は、フィンランドのヘルシンキにある倉庫のような古道具のお店の入口。店内は広く迷路みたいで、宝探しをしている気分になります。

●北欧で買った器を日本の食卓で使う

北欧で買った器を日本の食卓で使う

今回の旅で初めて出合った器は、同じ形で模様の違う2客の軽くて小さなコーヒーカップとソーサーでした。

見つけたのは、リトアニアの首都ヴィリニュスのリサイクルショップ。裏返すと、「MADE IN USSR」の印字があり、あとで調べたところ、ソビエト連邦時代に国営工場で生産されたもののようでした。

この美しいカップでコーヒーを飲むたびに、楽しかった旅のことを思い出す予感がします。

●セットじゃなくても、テイストが似ていれば意外としっくり

ヘルシンキ市内の雑貨店の一角で見かけたガラスの古い器たち

トレイに乗っているのは、ヘルシンキ市内の雑貨店の一角で見かけたガラスの古い器たち。

ひとつずつしかなかったのですが、大きさも形も色もすべてがちょうどよく感じられて、そろって購入してしまいました。

サラダボウル

このときのガラスの器は、今はサラダボウルにしたり、写真のように朝ご飯のヨーグルトを盛りつけてシリアルを振りかけたりして使っています。

古道具の場合、同じものがひとつしか手に入らないことも多いですが、少し形の違うものでもテイストが似ていれば対として使うことができ、それが逆に食卓をおもしろくしてくれたりもします。

ヘルシンキの古道具店で購入した不思議な模様がかわいいプレート

左側は、ヘルシンキの古道具店で購入した不思議な模様がかわいいプレート。スウェーデンで1970年代につくられたもののようです。素朴で力強い雰囲気と使いやすそうな大きさにひかれて購入しました。

右側は、マリメッコの大皿です。今回は日本でも新品が購入できるものは買わないと心に決めていたのですが、ホテルの朝食バイキングで使われていて、あまりに使いやすかったので、思わず空港の免税店で買ってしまいました。

スウェーデンのプレート

スウェーデンのプレートは、周囲をぐるりと囲んだラインがアクセントになって、写真のようなビーフストロガノフやカレーなどを盛りつけてもおもしろく、意外なことに和食器との相性も悪くありません。

一緒に使っているガラスの器はいずれも和のものです。

マリメッコの大皿

マリメッコの大皿は、目玉焼き2つ、ベーコンとハムとイチジク入りのサラダをたっぷり一人分のせてちょうどよいサイズ。ヘルシンキのホテルの朝ご飯を思い出して、家にあるもので再現してみました。

左上のパンをのせた中皿もヘルシンキの雑貨店で購入したもの。こちらはノスタルジックな雰囲気。パンのほかに焼き菓子やケーキをのせてもかわいく使えそうで気に入っています。

旅先での出合いは一期一会。気に入る器を見つけたら、思いきって購入してみてはいかがでしょうか。