小さな火花が静かに咲いて散る…。はかない姿が夏の風物詩として欠かせない線香花火。
その繊細さゆえ、途中で火球が落ちてしまい、最後まで楽しめないことも。

ここでは花火問屋オンダの恩田郷子さんに、線香花火を長く楽しむコツを教わりました。

花火
線香花火を長く楽しむためのコツとは?
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火のつけ方や持つ角度が重要。線香花火を長もちさせるコツ

「線香花火は、よった和紙の軸の先端に火薬が包まれていて、時間の経過とともに火球の温度などが変化することで、火花が表情を変える仕組みです。先端に玉ができる『牡丹』、玉が火花を発する『松葉』、火花がおさまっていく『柳』を経て、『散り菊』となり、玉が落ちます」

途中で玉が落ちず、この4段階を楽しめたら成功。

●長く楽しむために「ひねり」が効く!

ただし、花火のこよりの巻きがゆるかったり、火のつけ方が悪いと、すぐに火球が落ちてしまいます。

線香花火を長く楽しむためには、火をつける前に、火薬がつまった先端から少し上のくびれた部分を軽くひねるといいそう。

「製造から時間がたつと、こよりがゆるみがち。再度ひねることで、花火に一気に火がつかなくなり、紙が焼け切れるのを防げます」

●火をつけるときは、ライターではなくロウソクで

ひねったあと、火のつけ方のポイントは?

「線香花火の軸の広範囲に火をつけると、火薬より先に紙が燃えてしまいます。少しずつ燃えるよう、花火と炎の先端同士がかすれる程度につけて着火しましょう」

着火は、ライターではなく、置いたロウソクを使って。炎が安定するうえ、片手があくので、花火の先に集中できます。
風が強いとロウソクの火が強くなるので、手で囲うなどしてください。

さらに、花火に火をつけたら、地面に垂直に持つのではなく、斜め45度に傾けるのもポイントです。

「花火の軸と火球との接地面積が大きくなるため、火球が支えられ、途中で落ちにくくなります」

コツを押さえて、今年の夏は、いつも以上に線香花火の美しさを堪能しましょう。