核家族化が進んでいるとはいえ、まだまだ多い「両親との同居」。と今でも「妻が夫の両親と同居するのが当然」という傾向が強い地域もあるようです。

ESSE onlineで夫の実家にまつわるアンケートを実施したところ、義理の両親との同居に悩みを抱えている声が多数聞かれました。
ここでは同じ屋根の下に住む「同居」と、敷地内に家を2軒建てる「敷地内同居」で暮らすケースを取材をしました。

父と娘
結婚によって「父と娘」になると、価値観の違いからトラブルになることも…(写真はイメージです)
すべての画像を見る(全2枚)

授乳中に窓から義父が!敷地内同居でノイローゼ気味に…

さやかさん(仮名・結婚13年目)は結婚当初、夫とアパート暮らしでした。しかし、農家を営む義実家から「使っていない土地があるから、そこに家を建てては?」と話をもちかけられたそうです。

「確かにアパートの賃料を払い続けるよりも、早くに一軒家を建てたほうが得かもしれない」と考えた夫は、さやかさんに相談もなく即決。

「私は妊娠中で、育児への不安もあり、すべて夫まかせにしてしまっていました。でもまさか、その土地が義両親の住む自宅と同じ敷地内だったとは…」

さやかさんの夫は3人兄弟の末っ子だったので、義両親のそばで暮らすのは、思ってもみない展開でした。

「敷地内同居についてよく考えなかったことを後悔しました」

●外出も授乳も安心してできない生活がスタート

敷地内同居と同時に、さやかさんは子どもを出産。義両親にとっては初孫です。
孫を見たさに義父はたびたび家にやって来るようになり、ある日、自宅で授乳をしていたところに、「〇〇ちゃーん」と窓から覗き込まれる事件が。

「お義父さんに悪気がないのはわかるのですが、とにかくびっくりしました。それ以来、2階でカーテンを閉めて授乳することに」

また、義両親は「子どもが小さいうちは外出をさせない方がいい」という意見をもっていたたため、さやかさんが出かけようとすると玄関先まで出てきて、言葉もわからない孫に「どこに行くのかなー?」と大げさに話しかけたりも。

「些細な行動なのですが、『批判されている』『邪魔されている』と感じてしまって…。初めての育児でノイローゼ気味だったこともあり、家に引きこもりがちになりました」

●誕生日やイベントごとは必ず声をかけなければいけない状況に

敷地内同居だけに、子どもの誕生日、クリスマス、初節句などのイベントも、必然的に一緒に過ごすことに。

「私は、イベントごとは自分の家族だけで自分の手料理で過ごすというのが夢だったのですが、お向かいに住んでいるのに声をかけないわけにもいかず…。気づけば、イベントは私の親も交えて、両家そろってというのが習慣化。この状況に少し不満もあります」

●敷地内同居だからこそのメリットも

とはいえ、敷地内同居はデメリットばかりではないと言います。

「夜間に病院へ行くときには元気な方の子どもをいやな顔もせずに預かってくれますし、子どもたちのこともかわいがってくれるので、今では感謝することが多いです。義両親の存在は最初はストレスだったけど、同居を始めたタイミングも悪かったのかな、と思います」

ラフな格好をしていると「着替えろ」と言われた!リラックスできない日々…

リラックスできない日々
※写真はイメージです

農家に嫁いだ奈央さん(仮名・結婚4年目)。義父は、結婚当初から奈央さんのことが気に入らないようで、奈央さんの悪口を周りに触れ回っているそう。

「義父はなにかと私の行動が気になるようで…たとえば私が夕方の5時ごろに帰宅すると『遊びすぎだ』と注意してきたり、少しラフな格好をしていると『パジャマみたいだ、着替えろ』と、ダメな嫁扱いしてきます」

●自分の子どもは同じような環境にならないように

仕方がないので、今は出かける前は行き先を伝え、夕方の5時前には帰宅するようにしたり、きちんとした格好で過ごしたりするように気をつけています。
そんな奈央さんの唯一の味方は義母。

「義母に協力してもらい、義父のその日の機嫌を聞いたり、アドバイスをもらったりしています。夫は義父の振る舞いに慣れていますが、義母はいまだに傷つくこともあるようで、私と愚痴を言い合ったりしてストレスを発散しています」

最近では義父と極力関わるのをやめ、「他人だから」と割りきるようにもなったと話す奈央さん。
「今心がけているのは、自分の子どもには同じような環境にならないようにすること。夫が義父の影響を受けないように注意しています」

同居や敷地内同居は、自分の好きなように行動しづらい面があります。
物理的な距離は変えられませんが、気持ちをきり替えることが、うまく過ごすコツかもしれません。