子どもがいる家庭はどうしても散らかりがち。とくにオモチャは大きさや色がそれぞれ異なっていて、部屋の印象を変えてしまうことも。
「片づけ講座を行っていると、参加者からいつも『子どものオモチャってどう片づければいいんですか?』という質問があります」
こう語るのは、ライフオーガナイザーの香村薫さん。
「また、どうせなら大人が片づけるより、『片づけられる子ども』に育てることができたら…というのが本音ですよね」
そこで今回は香村さんに、片づけられる子どもに育てるために、大人が取り組める3つのステップを教えてもらいました。
「オモチャを片づけられる子ども」に育てる3つのステップ
●ステップ1 オモチャがもらえるルートを制限する
「オモチャが増えて困るならば、これ以上増えないように入口を制限する必要があります。オモチャは勝手に増えるものではありません。たいていの場合、親や祖父母などの大人が買い与えているか、直接は与えなくても許可しているケースが多いのです」
まずやるべきなのは、オモチャが家の中に入ってくるタイミングを見直すこと。
「誕生日、クリスマス、お正月、帰省、こどもの日…。オモチャをもらうタイミングは、プレゼントである場合が多いです。そのプレゼントを『オモチャ』ではなく『経験できるもの』『体験できるもの』に変換していきましょう。たとえば“誕生日プレゼントとして遊園地に行く!”などです」
とはいえ「祖父母からのプレゼントを断りにくい」という場合も。
「その場合は、『子どものオモチャが増えすぎて大事にしなくなり、困っている。前にもらったオモチャを大事にすることを覚えさせたいので、今年のプレゼントはみんなで食事にしませんか?』と相談してみましょう。食べものなど、最終的に消えてなくなるプレゼントを依頼するのも1つの手ですよ」
子どもが自分で片づけられる量のオモチャを持たせること、これが子ども自身で片づけられるようになるための第1歩です。
●ステップ2 子どもを味方につけて、自分で判断させる
オモチャの入り口をシャットアウトしたら、次は子どもを味方につけるステップ。
「NGなのは『これ、捨てていいよね?』『使ってないよね?』と聞くこと。これらを言ってしまうと、子どもは守りの姿勢に入り、勝手に捨てられるかもしれない、という危機感からものに執着するようになります」
では、どういった声かけをしたらよいのでしょうか?
「勝手に捨てる気はない! ということを事前に伝えたうえで、『これどうする?』と聞いてみてください。判断は子ども自身にまかせるのです。『全部取っておきたい』と言ったら、『いいけど、このスペースを広く使えなくなるよ』『毎日の片づけに時間がかかってしまうけどいいかな?』とデメリットをさりげなく伝えます」
こうした声かけで、ものを捨てるかどうかを自分で判断できるようになっていきます。
片づけられる子どもに育てるためには、子どもからオモチャへの執着心を取り除くことも大事です。
「そのために、親は子どものいちばんの味方であり、自分の意見を尊重してくれる存在だということを、日々伝えるのも重要なことですよ」
●ステップ3 オモチャを1軍と2軍に分けて収納する
最後のステップは、オモチャを1軍と2軍に分けること。
「1軍は、いつでも手に届くところに置いておくオモチャです。毎日必ず遊ぶものを選びましょう。際限なく増えてしまいそうなら、『5分で片づけられる量にする』『このボックスに入るだけ』といった制限を設けましょう。また、ブロックやパズルなど同じジャンルのものは混ざると片づけに時間がかかってしまうため、どれか1種類を選ぶようにします」
こちらは、香村家のオモチャ収納の様子です。
「写真の、押し入れの上段が香村家のオモチャ遊びスペース。薄茶色のカゴに入るだけのオモチャを1軍としています」
では、2軍はどう扱えばいいのでしょうか。
「2軍は見えないところに収納します。子どもだけでは取り出せない場所にしましょう。『欲しいときはいつでも取ってあげる』ということをしっかり伝えて子どもに安心感を与えてください。また、『月に1度は1軍と2軍の見直しをする!』とすれば、うまくオモチャをトレードできて1軍が増えることはありません」
香村家では、2軍のオモチャは押し入れの天袋にジャンルごとに収納しています。
「このように、普段接するオモチャの量を減らすことで『片づけるってじつは簡単なこと』、『オモチャが少ないと部屋を広く使える』というメリットを子ども自身が体験できるようになります」
子どもに「片づけなさい!」と言っても残念ながら片づけができるようにはなりません。むしろ逆効果です。
子どもは怒られると、「片づけはイヤなこと、でも怒られるから仕方なくやる」と認識してしまいます。
子どもが「どうしたら片づけを好きになるのか?」を考えたうえで、今日から大人が取り組める3つのステップを試してみてください。