最近は家飲みブームで、自宅でいろいろなお酒を楽しむ人が増えています。そんなとき、酒器にも少しこだわると、食卓がぐっと楽しくなります。
ここでは、ESSEが注目する料理ブロガーで、毎日の食卓からおもてなしまで、洗練されたテーブルコーディネートに定評のあるぶち猫さんに、「おうちで楽しむお酒の器」について教えてもらいました。
組み合わせは自由!酒器にこだわると食卓がぐんとおしゃれに楽しくなる
組み合わせ次第で、料理をよりおいしく、おもしろくしてくれる「お酒」。お店だけでなく家でも楽しんでいる方も多いかと思います。
一方で、お酒の種類ごとに器をそろえるのは、収納場所だけではなく手入れの面でも大変というイメージもあるかもしれません。
気取らず兼用でき、手入れが簡単な器もあわせてご紹介します。
●ビールをどんなグラスで飲むか
おうちで飲むお酒の定番、それはビールでしょう。おうちでビールを飲むとき、どんなグラスで飲むか。
最近は国産のクラフトビールも増えて、味や香りに加えて色合いも楽しみたい場面が多いので、王道は透明なガラスのグラスかと思います。
そのなかでも薄いグラスにするか、厚いグラスにするか。口当たりが違いますが、どちらにもよさがあり、好みで選ぶのがよいでしょう。わたしはその日の気分で選んでいます。
変化球ですが、いつも決まったグラスにビールを注ぐだけではつまらない気がして、普段ビールに合わせないタイプのグラスを使う遊びをたまにしています。
手のひらサイズの小さなグラスを、少しだけビールを飲みたい気分の日に使ったり、カラフルな色つきのグラスに注いだり。
いつものビールがいつもとちょっと違う雰囲気になっておもしろいものです。
●毎日の食卓で気軽に使えるワイングラスとは
おいしくて手頃な価格帯のラインナップが増えて、家でワインを飲む機会も多くなりました。そうなると欲しくなってくるのがワイングラス。
お店でワインを飲むときには、写真の右から二番目のような形の、華奢で背の高いグラスを目にすることが多いのではないでしょうか。
このタイプのグラスは食卓に並べると映えるのですが、華奢なので洗うときに気を使う、背が高いので収納時にかさばる、ガラスが薄いので汚れや曇りが目立ってしまうなど、管理に少々手間がかかるので、日常使いとなるとハードルが高くなりがちです。
毎日の食卓で気軽に使うことを念頭においた場合、個人的におすすめなのは、背の低いワイングラス。
たとえば、写真いちばん右のようにステム(足)部分が短いものを選ぶと、ほろ酔いで注意力が散漫になってワイングラスを派手に倒してしまうといった事故も防ぎやすくなります。また、写真いちばん左のような厚手のものを選ぶと、洗うときや収納するときにさほど気を使わずにすむので、登場回数が多くなりそうです。
新しくワイングラスを収納するスペースを用意できないという場合には、写真中央のようなステムのないグラスをワイングラスとして使う方法もあります。
そもそもワイングラスはワインの種類に合わせてさまざまな形のものが用意されていて、一般家庭でそのすべてを管理するのは難しいので、「ワインを楽しみたい気持ち」と「グラスの管理にかけられる労力」のバランスが折り合うものを選ぶのがよいと思います。
今回は、ドライフルーツとナッツがぎっしりとつまった濃厚なパンをスライスしてチーズを添えて、甘口の微発泡赤ワインを合わせてみました。
週末の夕暮れどきにリラックスした気分で楽しむ軽食としては、このくらいのカジュアルさがちょうどよく感じます。
●日本酒を楽しむ酒器の種類と形
和の食卓に合わせやすいお酒といえば日本酒ですが、伝統的なものだけあって合わせる酒器も本当にさまざまあり、どれを選ぶのがよいのか、ワイングラス以上に迷うところです。
実用的な面から考えると、お気に入りのぐい呑みがひとつあれば十分だと思います。冷やしておいた四合瓶から、飲みたい分のお酒を直接ぐい呑みに注ぐ。
最近の日本酒はラベルがおしゃれなものも多いので、食卓に置いて眺めながらお酒を飲むのも粋な演出です。
ぐい呑みであれば、お猪口と違って食事中にこまめにつぎたす必要もありません。また、大き目のものを選べば、そば猪口と兼用にもできます。
そうは言っても、一応徳利とお猪口をセットでそろえておきたい。そういう場合には、透明なガラス製がおすすめです。
透明なガラスであれば、大抵の和食器と違和感なく合わせることができるので、汎用性が高く、冷酒の涼しげなたたずまいにもぴったりです。
寒い季節には、燗酒を飲みたくなります。これも実用面から考えると、耐熱のぐい呑みに日本酒を注いで、電子レンジで好みの温度に加熱するのがいちばん手軽です。
もう少し風情を楽しみたいという向きには、陶磁器の徳利や写真のようなチロリに日本酒を注いで、湯をはった鍋でゆっくりと温める方法もあります。
その場合には、お猪口もガラスではなく少し厚手のものを用意すると気分が盛り上がります。
●ウィスキーやカクテルを楽しむための特別なグラス
日常的にウィスキーを飲む方はそれほど多くないかもしれませんが、飲む機会が増えるとロックグラスが欲しくなってきますね。
ロックグラスはクラシックなデザインのものより、少しカジュアルなタイプを選ぶとほかの飲み物にも活用しやすくなります。
写真は、赤が印象的な切子のロックグラス。デザインがモダンなので、お酒以外の飲み物を注いでも違和感がなく、ちょっといい気分で使えます。
こちらは少しスリムで透明なロックグラス。夏にぴったりなカクテル、モヒートをつくってみました。
モヒートはグラスの中でミントの葉をすり潰して香りを立てるので、厚手のグラスでつくるのが安心です。カジュアルなロックグラスはこんな場面でも使うことができます。
最後はちょっとしたおまけ。いただきものの佐藤錦があったので、製菓用に買ってあったキルシュワッサー(さくらんぼのブランデー)の水割りと合わせて、フレッシュなさくらんぼのカクテルをつくってみました。
写真では少し変わった形のグラスを使っていますが、ロックグラスでつくるのにもちょうどいいと思います。
※電子レンジで液体を温めると、温め過ぎて突沸(急激な沸騰)が発生することがあります。取扱説明書に従った方法で行いましょう。