暮らしのことは、毎日のこと。食べることは、生きること。 「SDGs」が注目される今よりずっと前から、食と社会と自分に真正面から向き合ってきた料理研究家の枝元なほみさん。まずはキッチンや日々の食事のなかで心がけられる工夫を教わりました。

旅館で過ごす女性
雑誌の取材のために訪れた「星のや軽井沢」で。自然に触れることで、次の世代に「いいもの」を残したいという気持ちが新たになる
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料理研究家の枝元なほみさんと考える暮らしと環境のこと

「食べ物のことを仕事にして、何十年もきたの。だから、食べることについてはとくに、すごく責任があると思っているんです」と話す枝元なほみさん。

「SDGsって、なんだろう? まずは丈夫で長生き?(笑) 大きく言うとね、この地球を次の世代にきちんと渡すことだと思うんです。オリンピックでお弁当がたくさん捨てられたと知って、ものすごくショックだったの。泣けてきた」

料理研究家としてのキャリアは34年。

生産者と知り合い、教えられたことも多い。地方のパン屋さんやハム屋さんも「いいな」と思うと、積極的につながりたい。

「つくった人を見たら、食材を捨てたりなんかできない」

自宅兼仕事場は東京の真ん中にある。

「窓いっぱいに緑が見えるの。全身をアロママッサージするのが朝の習慣。ここで料理をつくって、食べ物を大切に、自分を大切に…ってひとりで暮らしてる。難しいことも簡単なことも、ちゃんと見て、選んで暮らしたいなあ」

●まずは、キッチンからでも。目先の“ラク”を見直してみる

食材はおいしく食べきる

ひとり暮らしの枝元さんには「食べきれない」ときもある。いただきものの果物は、まず新鮮なうちに食べて、残ったらシロップ漬けに。野菜はお酢に漬けて長期保存。「冷蔵庫にしまい込んで干からびさせたくないの」。そんなビンづめや干し野菜が並ぶキッチン、なんて豊かなんだろう!

こまごま切ったピクルス

「こまごまピクルス」。こまごまと残った野菜をひと口大に刻み、米酢、水各1/2カップ、砂糖大さじ3、塩小さじ1、昆布茶小さじ1/2弱に漬ける。

パン炒め

かたくなったパンは、炒め物にするとおいしく食べられる。たとえば、パンとカリフラワーの組み合わせ。ひと口大に切ってオイルで炒め、塩コショウと、カレー粉少しで風味づけしてパセリを散らしたら、ほら!

身の回りはなるべくプラスチックフリーに

「ペットボトルはなるべくやめたい。外出のときは使いまわしのボトルにお気に入りのお茶を入れて。キッチンでもラップや保存袋をやめたいなぁ…と思って出合ったのが“さらし”」

土鍋で炊いたご飯を、濡らしてかたく絞ったさらしに包んで1食ずつ冷凍保存。使い捨ての素材はなるべく使わない。「環境に配慮」も大切だけど、なにより「ラップご飯より断然おいしい」から。

さらし

さらしは幅34cm長さ10mで1000円ほど。

「20cmくらいに切って使います。洗濯機で洗って何度でも使えるし、干す様子もかわいい」

●“捨てちゃう”ものでもうひと働き

「だしをとった昆布は、ジッパーつき保存袋に入れて冷凍庫にためています。半年に一度くらい、解凍してひたすら刻んでつくだ煮にするの。使ったあとの豆苗は、根のついた豆の部分を水に浸けておくともう一度芽を出して食べられるしね」

キッチンのタワシから発芽した! なんて経験も。

出がらしの茶葉

毎日沸かすジンジャーティーやルイボス茶、ほうじ茶。出がらしの茶葉をプランターの土に混ぜ、おおいをかけておくと腐葉土みたいに。「土に還れて喜んでくれるかな」。

発売中の『これからの暮らし by ESSE vol.1』では、環境への配慮を実践する星のや軽井沢を枝元なほみさんが訪れました。自然と共存する取り組みをぜひチェックしてみてください。

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