器を選ぶとき、色やサイズと同じくらい大事なのが、形です。

「どの家庭にも丸い器は必ずあると思いますが、四角い器はどうでしょう。基本の丸い器のコーディネートに四角い器を組み合わせると、形の違いがリズムを生んで、いつもと違った雰囲気を演出することができます」と教えてくれたのは、ESSEが注目する料理ブロガーのぶち猫さん。

ぶち猫さんは自宅での日々の料理から、おもてなし、大人数でのパーティまで、季節感のある食卓がお得意。料理はもちろん、洗練されたテーブルコーディネートにもマネしたくなるアイデアがあふれています。

ここでは、一見難しそうな、四角い器の使い方を教えてもらいました。

一見難しそうな、四角い器の使い方を教えてもらいました
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四角い器を上手に使って、食卓をワンランクアップ

ひと口に四角い器といっても、正方形のもの、長方形のもの、大きいもの、小さいものといろいろな種類があります。

また、形によっていろいろな使い方ができるところもおもしろいところ。

●細長い食材は、形を生かして長方形の器に盛りつける

四角い器のなかでいちばん使い勝手がいいと感じるのは、長方形の器です。これから器を集めたいという方には、ラインナップに長方形の器を入れることをおすすめします。

理由は、細長い形の料理を盛りつける場面で収まりがいいからです。実例を見てみましょう。

七寸の白い和皿です。

写真は、金目鯛の切り身をしょうゆとみりんのタレに漬けてから、香ばしく焼いたものです。これを基本の丸いお皿に盛りつけてみました。七寸の白い和皿です。

上下の余白が多く、ちょっとバランスが悪い印象を受けますね。かといって、もう一つ小さいサイズを選ぶと、今度は窮屈に見えてしまいます。

お店であれば、余白を埋めるために、ちょっとしたあしらいや箸休めになるお漬物を添えるところですが、家庭でそこまで用意するのはなかなか難しい。そんなときは、無理をせず、器を変えることで対応しちゃいましょう。

ただ置いただけでも収まりがよいのがおわかりいただけるでしょうか。

同じ料理を長方形の器に盛りつけてみました。上下の余白がない分、ただ置いただけでも収まりがよいのがおわかりいただけるでしょうか。

細長い食材を調理したときに長方形の器を使うと、とくに工夫しなくともスッキリと盛りつけることができます。

配置のバランスが難しく感じます。

さらに、丸皿のほうに、ご飯とおみそ汁、お漬物を合わせてみました。ご飯は、塩ゆでした大根の葉を混ぜ込んだ青菜飯です。
あえてすべてベーシックな丸い器に盛りつけたのですが、配置のバランスが難しく感じます。

配置が安定します

一方、焼き魚を長方形の器に盛りつけると、奥に配置した長方形の器がフレームのような役割を果たして、配置が安定します。

一般的なご飯茶碗と汁椀は丸いので、ご飯とお味噌汁のセットにメインのおかずのために大きめの器を追加する場合には、同じ系統の丸い器ではなく、長方形の器の方が配置のバランスがとりやすいのです。

野菜の形に合わせて長方形の器に盛りつけました。

こちらは、旬のヤングコーンの外側の皮を半分ほど剥いてから、魚焼きグリルで表面が焦げるまで焼いたもの。野菜の形に合わせて長方形の器に盛りつけました。

熱々のうちに切れ込みを入れて、ひげごと取り出した身に少量の塩をつけて食べると、甘くて香ばしくて本当においしい。

旬の野菜をシンプルに丸ごと焼くのはとてもおいしいものですが、野菜の形に合わせた器を使うことで、その美しさや瑞々しさを食卓でよりいっそう楽しむことができます。

●四角いお皿に小さなお惣菜を並べて、小料理屋風に

四角いお皿に小さなお惣菜を並べて、小料理屋風に

長方形の器は、小さなおかずを盛りつけるときにも活用できます。

写真は、左側から、米ナスのみそ田楽、空豆の塩ゆで、ピリ辛モヤシ、カボチャの塩煮。旬の野菜を使った小さなおかずも、長方形の器に規則的に並べると小料理屋のようなおしゃれな雰囲気になります。

盛りつけのコツとして、豆皿を使って高低差をつけると、よりお店っぽさが増します。前述のフレーム効果により、ご飯茶碗と汁椀とのバランスもとりやすいですね。

ご飯茶碗と汁椀とのバランスもとりやすいですね。

正方形の器を組み合わせることでも、同じような演出ができます。

同サイズの丸い小皿をいくつも並べるとバランスがとりにくく散漫な印象になりがちですが、同じように正方形の器を規則的に並べると、多少柄や雰囲気が異なっていても、さほど違和感は生じません。

むしろ大きさと形が同じで柄や雰囲気が対称的な器を並べることで、絶妙な調和を楽しむことができます。

一枚の大きな長方形の器のように見せるという使い方もできます。

一方で、とくに大皿であれば、同じ器を二枚並べることで、一枚の大きな長方形の器のように見せるという使い方もできます。

写真は、春先のごちそうとして、セリや山ウドを使ったすき焼きをつくったときのもの。普通のすき焼きの野菜を春の野菜におき換えてつくります。

肉と野菜は別の器に盛りつけたいけれど、同じ鍋に入れるものなので、統一感のある雰囲気にしたい。そんなときに、正方形の大皿を二枚並べて使うというテクニックが役に立ちます。

●正方形の大皿はメインのおかずを印象的に見せる

正方形の大皿はメインのおかずを印象的に見せる

四角い器には、その規則的な形ゆえに、丸いお皿よりも盛りつけた料理をモダンな印象に見せる効果があるように感じます。

いつもの料理をいつもの小鉢ではなく、四角いお皿に盛りつけてみると、目先が変わっておもしろいかもしれません。

写真は、温かい季節のうちの定番の豚しゃぶサラダです。ゴマダレに自家製辣油をトッピング。定番料理ですが、四角い器にまとめて盛りつけるだけで、よそゆきの雰囲気になった気がします。

モダンな雰囲気を演出できます

最後に、オーブン料理に使う耐熱皿も長方形のものがおすすめです。理由は、オーブンの鉄板に収まりやすく、加熱の効率がよいから。

写真は、パスタの代わりに米ナスを使ったラザニアですが、ラザニアやグラタンは仕上げにチーズをかけることで似た印象になりがちなところ、器の形を丸や楕円という定番から四角に変えることで、いつもとはちょっと違う、モダンな雰囲気を演出できます。

食卓に手軽にリズムをつけたいなら、ぜひ四角い器を取り入れてみてください。