家族ぞれぞれが家で過ごす時間が多くなり、部屋の使い方も変わってきました。ただでさえ狭いのに、居場所がなくて困る…と悩む声も多いようです。でもその悩み、単に広さだけの問題ではなく、部屋の使い方が合っていないことに原因があるのかも?
快適に暮らすコツを、インテリアコーディネーターの経験を生かして“モヨウ替え”を提案する、三木智有さんに教えてもらいました。
新しい暮らしに合わせた“モヨウ替え”のすすめ
「家を快適にするために必要なのは、部屋の使い方や家具の置き方を見直す“モヨウ替え”。ほんの少しの工夫で見違えるほど快適になります」と話すのは、ライフスタイルに合わせた“モヨウ替え”を提案する三木さん。
リモートワークや自宅学習など、家での過ごし方が変わった今、暮らしの変化に戸惑っているという悩みが多く寄せられるそう。
「『この部屋はこう使うべき』という思い込みにとらわれていると、変化をストレスに感じるもの。まずは新しい暮らしを上手に回すことを優先しましょう」
●家族が集まる場の役割は変化している
<ダイニング>
以前は…
食事だけをする場所としてリビングに比べコンパクトなスペースになりがち。
↓
こう変わった! 学びと仕事の拠点となるコワーキングスペースに
食事用の大きなテーブルは、勉強や仕事にも使いやすい。周りにさっと片づけられる場所があれば便利。
<リビング>
以前は…
家族や来客用に大型ソファセットが鎮座している。
↓
こう変わった! アクティビティに合わせて配置を変えられる自由度の高い“広場”に
子どもが遊んだり、家族がくつろいだり、家事をしたり。床を広くとって、自由度を高くするのがおすすめ。
思い込みにとらわれない!モヨウ替えのレシピで暮らしやすさがアップ
じつは、モヨウ替えには失敗しない「レシピ」があるそう。新しい暮らしの悩みを解消するモヨウ替えの考え方を教わります。
●家族のものが散らからないための「個人別ロッカー」
人別に分けてほかの人は触らない!
仕事や勉強道具など、個人のものを置く専用スペースがあれば、リビングやダイニングで作業しても片づけが簡単。
「カゴや棚の1段などを人別に充てて。収納は各自にまかせるのがポイント!」
<POINT>
・人のものが交ざらないから探し物のストレス解消。
・管理をまかせることで個人の責任で整理できる。
●散らかってもいい場所の目印「一時置き用マット」
場所を限定することでだらしなく見えない
リビングの一角にタイルカーペットを敷き、取り込んですぐ片づける時間のない洗濯物などの一時置き場に。ゾーンを区切ればだらしなく見えず、「散らかっている」というストレスも軽減。
<POINT>
・区切りをはっきりさせれば乱雑な印象にならない。
・移動可能なマットなら、キッズスペースにも使える。
●置きっぱなしのカバンの定位置に「フック式収納」
ストレスの原因!置きっぱなしがなくなる
リビングに置きっぱなしになりがちな家族のカバン。玄関やリビングの入り口近くの壁などに、人別のフックを用意すれば、サッとかけられて散らかりません。
<POINT>
・かける収納は片づけが面倒にならない。
・家族の帰宅後の動線上に設置するのが大切。
●リビングに“広場”を生み出す「移動式ソファ」
リビングが多目的広場に
大きなソファは場所をとり、その上にものを置いて散らかることも。大きめのクッションや折り畳みイスなど、移動できるものにすれば、遊んだり家事をしたり、空間を自由に使えます。
<POINT>
・動かしやすい家具にすると空間を自由に使える。
●変化に合わせてどこでも置ける!組み合わせて使える「モジュール家具」
環境の変化や家族の成長に合わせて使い回す
収納家具は極力シンプルな形で、同じ規格のもの同士で組み合わせても使えるものがベスト。子どもがリビング学習のうちはダイニング、大きくなったら子ども部屋に置くなど柔軟に使えます。
<POINT>
・家具は動かさないものと思わず、場所を変えても使い回せるものを選ぶ。
●紙類が散らからずダイニングすっきり!「タスクボックス」
ダイニングテーブルが散らかるおもな原因がDMや書類。個人別のファイルケースを置いて紙類を収めるようにすれば、置きっぱなし防止になり、必要なときも探しやすい。
●共有スペースを使う時間を分ければイライラ解消に
会社の会議室を予約するように、ダイニングテーブルを使う時間を午前は夫、午後は妻、夕方は子どもなど、時間を決めるのも一案。お互いの作業をジャマすることなく、集中力もアップ。
三木家では朝礼が日課に。お互いのスケジュールを把握し、やることを調整。
カレンダーアプリで、打ち合わせなどの予定を夫婦で共有。どの場所をいつ使うか把握できます。
まずはここから!“モヨウ替え”3ステップ
場当たり的なモヨウ替えは失敗のもと。家族でしっかり話し合ってからトライしてみましょう。
●ステップ1:家族の「やりたいこと」をふせんに書き出す
今、家のなににストレスを感じているのか、やりたいことはなにか、家族みんなでふせんに書き出して。1人で考えるのではなく、家族で考えれば、課題を共有しやすくなります。
●ステップ2:3枚に絞ったふせんを間取りの上に貼る
やりたいことを3枚に絞り、どの場所でやるか、間取り図にそのふせんをのせます。このとき、現状の家具の位置は気にしないことが大事。意見が合わなければ、代替案を一緒に考えて。
●ステップ3:コーナー単位で見直すことが失敗しないコツ
部屋全体を一気に変えるのは大変なので、共有した目的をどの場所でやるのか、コーナーごとに焦点を絞ります。そこだけをやろうと決めて手をつければ、必要なことが明確に。
おうち時間を心地よく過ごせる家にモヨウ替えするには、共有スペースの使い方をどうするか? がカギになります。どんなふうに部屋を使うか、家族で話し合ってみることからはじめてみませんか。