コロナ禍で人気が高まるキャンプ。本場・アメリカでも、キャンピングカーの売り上げが前年同時期から170%もアップしているといいます。

アメリカ・シアトル在住のライターNorikoさんに、この夏実際に体験した、withコロナ時代のキャンプをレポートしてもらいました。

マシュマロを焼く様子
定番・マシュマロ焼きを楽しんで
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アメリカの最新キャンプ事情。ソーシャル・ディスタンスを守りつつ楽しむ

アメリカでは、海外渡航制限がある中で海外旅行をキャンセルした代わりのレジャーとして、車で行ける範囲の近場で自然を満喫する人が続出しています。
とくに自然の中のキャンプ場は連日満員御礼。わが家も小学生の子どもを連れて、毎年恒例のキャンプに出かけましたが、ちょっといつもとは違うスタイルになりました。

●人混みを避けて自然を楽しむレジャーにシフト

アメリカのキャンプ場は日本と違って、もともと個々のソーシャル・ディスタンスが守られる広々としたスペース。とくに緑豊かなシアトルは個々のサイトが木々で囲まれていることがほとんどで、プライバシーを保つ目隠しになっていると同時に場を仕切る壁のような役割を果たしています。薪をくべて調理が可能なファイヤーピットと、大きなピクニックテーブルも、個々のサイトに完備されています。

ブランケットを羽織る様子

水栓、ゴミ捨て場、トイレ、トークン式のシャワーは共用ですが、水はタンク買いすれば共用の水栓を使わずにすみますし、シャワーも2、3日のことですからわざわざリスクを取ってまで浴びなくてもいいですよね。湖や川で水遊びをすれば、シャワー代わりに汗を流せてリフレッシュできるというもの。

キャンピングカーではなくテント派のわが家の場合、トイレだけはどうしても使わざるを得ませんでしたが、キャンピングカー派の割合が増え、多くの人が共用スペースを避けているせいか、「密」になることはまったくなく、常にガラガラでした。

●友だち家族とのキャンプもソーシャル・ディスタンスで

ファミリーキャンプはそんな感じで、目くじらを立てて対策を徹底しなくても、普段よりちょっと気をつける程度ですんだのですが、それでは友だち家族とのキャンプはどうするのが正解なのでしょうか?
とくに感染リスクが高いと言われているのが他人との「会食」なので、食事の時間をどうするかが悩みどころですよね。

みんなでマシュマロ焼き

結局、わが家の場合、お友だち家族と同じサイトではなく隣同士のサイトをそれぞれ予約し、メインの食事は別々に家族だけで取って、食後のデザートだけ一緒に楽しみました。それは、アメリカの子どもがキャンプ体験でいちばん心待ちにしている「スモア」です。

スモアは、キャンプファイヤーで焼き色をつけたマシュマロをチョコレートとクラッカーでサンドイッチにして食べるキャンプの定番スイーツ。キャンプファイヤーを囲んでそれぞれ距離を取って折り畳みイスに座り、長いスティックまたは木の枝に刺したマシュマロを火にかざして焼いて、スモアづくりを満喫しました。

子どもたちはみんな、終始満面の笑みを浮かべ、楽しそう。スモアだけでも一緒に食べられて本当によかったと思いました。大人たちもドリンク片手にのんびりと語らいながら、長い夜は過ぎていきます。

浜辺

昼間もまた、キャンプ場では水遊びやハイキングと、低リスクで密にならないアウトドア・アクティビティーが充実。子どもたちは隣の家同士で行き来するかのように、隣のサイトに遊びに行ったり来られたりで、常に広いキャンプ場を走りまわって遊んでいました。

小さな子どもたちならではの、ナチュラルなソーシャル・ディスタンス(笑)。来る前はどうなることかと少し不安でしたが、幸運にも杞憂に終わってホッとしました。息子にとっては、久しぶりに家から出られたばかりか、3月の休校からずっと会えていなかったお友だちと一緒に過ごせ、貴重な夏の思い出のひとつとなったに違いありません。

SUPをする人たち

ちなみに、今年のキャンプ場で非常によく見かけたアクティビティーがSUP(スタンドアップパドルボード)。サーフィンのようなボードで水面を立ちこぎする遊びですが、これも間違いなくソーシャル・ディスタンスですよね。釣りをする人々の姿も多くありました。

今年いっぱいは続きそうなwithコロナの生活。適切に恐れつつも、精一杯の息抜きは取り入れながら、うまく乗りきりたいですね。

【Norikoさん】

アメリカ・シアトル在住で現地の日系タウン誌編集長。フリーランス・エディター/ライターとしても、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『

アメリカ西海岸ママ~日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産~

』(海外書き人クラブ刊)、共著書に『

ビックリ!! 世界の小学生

』(角川つばさ文庫)。