インスタグラムでは見栄えのいい収納の投稿が大人気。「いかにおしゃれにしまうか」が重視される時代です。

そんな風潮に「おしゃれを最優先させると、暮らしやすさを損なうことになります」と警鐘を鳴らすのが、テレビや雑誌などで、スマートに暮らすためのアイデアを披露している整えアドバイザー・阪口ゆうこさん。

阪口さん自身、一時は収納の工夫に夢中でしたが、その結果「暮らしやすさの本質を見誤っていた」と感じる事態になったのだそう。
自らの経験をもとに、落とし穴だらけのおしゃれ収納のデメリットを教わりました。

片づけの第一優先が「おしゃれ」になると危険!家族が苦労するNG収納例3つ

収納
すべての画像を見る(全3枚)

わが家では、最近どんどん収納の工夫を撤廃しています。なぜかというと、元々は「片づけておしゃれにしたい」と思っていたのが、いつの日からか、「おしゃれに片づけたい」に変わっていっていることに気がついたから。

一見同じ意味に見えるかもしれませんが、全然違います。おしゃれが目的の最優先にきてしまうと、人はどこか無理をしてしまうもの。
おしゃれだけど落とし穴がある収納の一例を紹介しましょう。

●コンロ周りに調理器具をいっぱいつるして、見せる収納に

<落とし穴>いちいちどかしたり避けたりするのが面倒になり、掃除がおっくうになる。

●中のものがまったく見えないボックスにラベルをはり、ずらっと並べて統一感を演出

<落とし穴>個人的には満足しても、使い勝手が悪くて、片づけが苦手な家族がついてこれず、中のものを家族が使わなくなる。

●収納アイテムとその中身がピタッとハマった「#シンデレラフィット」

<落とし穴>ぴったりフィットしたもの同士はしまうのも出すのも、少しのズレも許してくれずひと苦労。無意識にストレスがたまって触れるのを避けるようになる。

じつは、これらはほとんどが私がやってきた収納でもあります。「見栄えをよくしたい」「おしゃれにしたい」と思って、ひとりでがんばってきたものの、使いにくいことがわかり、今は撤廃しました。

インスタグラムではおしゃれな収納がはやっていますし、影響を受けるのはある意味仕方のないことですが、やりすぎたらただの自己満足。いくつもの落とし穴にはまって、やっとそんな基本に気がつくことができました。

収納用品を減らすと、相乗効果でものが増えない

暮らしやすくするためにものを片づけたいなら、なにより重要なのはものの量です。ものが適正量だったら、そもそも収納に複雑な工夫なんていりません。まずは工夫がいらないように、ものを減らすことが最優先なんです。

わが家も適正量にものを減らしていったら、過去に実践していた収納の工夫がほとんど必要なくなり、驚きました。

今は収納アイテムやらケースやボックスをどんどん破棄していってます。

竹串がバラバラバラ~ッと豪快に散らばったときに気がつきました

たとえば、竹串。写真のようなぴったりサイズの収納容器にしまっていたのですが、フタのあけしめが面倒くさいことこのうえなし。

それでも見た目のすっきり感に浮かれていましたが、あるとき力加減を間違って、竹串がバラバラバラ~ッと豪快に散らばったときに気がつきました。「これ、必要?」と…。

今では輪ゴムで束ねて、そのまま置くだけの収納に

今では輪ゴムで束ねて、そのまま置くだけの収納に。ワンアクションで取り出せて快適このうえなしです。

こんな風に、お役御免となった収納容器を改めて見てみると、そのどれもが汚れています。
収納アイテムも、ひとつのもの。あまりにたくさん使用していたせいで、ふいたり洗ったりのメンテナンスがおろそかになって、汚れてしまうのも当然のことでした。

こういった収納用品を減らしていくと、「ものを置いてもいい場所」が減って、自然とものの数が増えなくなりました。相乗効果でどんどんすっきりしていったわけです。

今では、収納の工夫をいかに減らすかを模索している日々です。

暮らしづくりに夢中で、家族に「私のやり方についてきてよ!」とこめかみに青筋を立てていた時代の私も、時間がたりなくなって「収納に凝るのに疲れた」なんて言ってる現在の私も、どれもすべて私自身。思い返せば、家族は一貫して、冷ややかな目で見ていたような気がします。

自分ひとりががんばっている半面、じつは家族は「おしゃれじゃなくとも、工夫がされてなくともいい」と思っている…そんな状況は少なくないのではないでしょうか。

それよりも、家族が笑って暮らせるような、その家その家のちょうどいいやり方を実践するのが、暮らしやすさの本質ではないかと思います。