50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した5歳の長男・うーちゃん、里子の2歳の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、足の遅いうーちゃんがランニングを始めたお話です。
「ぼくはいつも鬼になるんだ」。足を速くするためにランニングスタート!
すべての画像を見る(全4枚)5歳のうーちゃんは足が遅いのが悩みです。鬼ごっこをしているとすぐに捕まって鬼にされてしまうようで、悲しそうです。足が遅いと自分より足の遅い子を捕まえるしかなく、非常に惨めなものです。
短距離はセンスが問われますが、長距離なら根性で速くなることができます。長く走れば、足が速い子を捕まえることもできるかもしれません。
僕も足はクラスで2番目くらいに遅くて、残念な子ども時代を過ごしました。僕より遅いのは肥満児の子だけで、僕はガリガリだったのですが遅くて、遅い理由が体型にないことが言い訳の効かない感じで、本当にセンスがないだけみたいな、太っていてで遅い方がずっとましだと思っていました。
そんな僕もフルマラソンを走りました。記録は5時間半とじつにみっともないものですが、それでも走ったことがない自分より、完走できた自分の方が誇らしい気持ちです。
●3km離れた隣駅までランニング!2歳のぽんこちゃんも走ると言い出して…
うーちゃんとは、4歳のときに3km離れた一つ隣のE駅まで走りました。ずっと継続して走る習慣にしたかったのですが、それから誘っても断られるばかりでした。でも今回は本当に足が速くなりたいようで、久しぶりにE駅まで走ることにしました。
前に走ったときはE駅からはご褒美的に電車で帰りました。でも今はコロナのリスクがあるのでママに車で迎えに来てもらうことにしました。
ところが2歳の里子のぽんこちゃんも一緒に行くといいます。ぽんこちゃんはまさか3km離れたE駅まで走らせるわけにはいかないので、近くのK駅まで走ってママに迎えに来てもらうことにしました。K駅でも1kmくらいはあります。
ぽんこちゃんと僕が手をつないで走っていると、うーちゃんがどんどん先に行きます。5歳と2歳では足の速さが全然違います。うーちゃんが横道を全く気にせず走るので、車や自転車が急に出てきたらと思うとハラハラします。車や人の通りが少なくて見通しのいい道を選んでいますが、それでもいくつか交差点はあります。
手をつないだまま、ぽんこちゃんは「はあはあ」と息を荒くしますが、休みたいとか、抱っことか言わず懸命に息をきらして走ります。ぽんこちゃんがつまずいて、つないでいた手が離れて転んでしまいました。
「ふわ~」
一瞬、泣き声を漏らしましたがすぐに泣きやみました。手をつないでいたので、衝撃は大したことなかったようです。手が土で黒く汚れました。その後も2回つまずきましたが、しっかり手を握って転ばずにすみました。
そうしてK駅まで約1kmを完走しました。ママの車を見つけるとスピードを上げてたどり着きました。お兄ちゃんは先に到着していました。
出迎えたママに、ぽんこちゃんは汚れた手をかざしました。「こんなに苦労したんだ」と見せつけるようでした。
そこでぽんこちゃんと別れ、うーちゃんと僕とでE駅を目指します。
ところがしばらく走ると、うーちゃんが脇腹を抑えて苦しそうな顔をして「おなかが痛い」と言います。僕も子どもの頃味わった脇腹痛です。
無理をさせて走ることそのものが嫌いになったり、苦手に思ったりしたらよくないので、そこでリタイヤを決断しママに車で迎えに来てもらいました。
●後日、公園までの往復路でリベンジ!結果は…?
この日はそこで終わりにしましたが、数日後1.5km離れたK公園まで走ることにしました。ぽんこちゃんも走ることが嫌じゃないようでまた一緒に行くと言います。
その日、うーちゃんはK公園までの往復を見事完走しました。ぽんこちゃんは往路は完走しましたが、帰路は「じぶんではしる」と手をつなぐことを拒否して、歩くので僕が無理矢理おんぶして帰りました。それでもちょっと無理しすぎなくらい走ったので、熱でも出さないか心配でした。うーちゃんにはK公園までの往復はE駅に行くのと同じくらいだよ、と教えました。
2人とも毎週2回くらいずつ一緒に走るようになったらいいなと思います。
【古泉智浩さん】
漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ『
うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ『
うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(
@koizumi69)をチェック!