50歳の漫画家・古泉智浩さん。古泉さん夫婦と母(おばあちゃん)、里子から養子縁組した5歳の長男・うーちゃん、里子の2歳の長女・ぽんこちゃんという家族5人で暮らしています。
今回は、舌ったらずなぽんこちゃんのかわいいお話です。

なんでもやってみたい、伝えたい2歳児。こんなかわいい言い間違いも…

2才の里子のぽんこちゃんが言葉をたくさん覚えてきました。こちらが話すことがどこまで通じているのか不明ですが、伝わらなくてもしょうがないと思いながらも試しに言ってみています。

洗濯機に靴下を入れる子ども
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「ぽんこちゃん、靴下洗濯機に入れて来て」

すると、床に落ちていた僕が脱いだ靴下を手に持ち、廊下に出てバタバタと足早に洗面所に向かい、すぐに戻ってきます。

「ありがとう」

面倒くさがらず素直に応じてくれたことに申し訳ない気持ちになりました。

部屋の戸をあけっ放しにして出入りするので「ぽんこちゃんがあけたんだから閉めてよ」

そう言うと、なにも言わずに閉めてくれることもあります。

朝、ぽんこちゃんが起きて僕の部屋に来ます。早い日で6時、遅くても7時には現れます。

「おねえちゃんのママがいい」

お姉ちゃんのママとはBS日テレで朝8時から放送している『アンパンマンクラブ』という番組に出ている、りさおねえさんのことです。きれいな女性を全体的に「ママ」と言います。りさおねえさんは『サンサン体操』という冒頭のコーナーを担当していて、それがとくに好きです。

「はいはいわかったよ」

リモコンでテレビをつけて録画した昨日の放送分を再生します。せめて7時までは寝ていたいので、ゆっくり見てくれると助かります。

毎朝ぽんこちゃんに起こされると部屋のテレビとストーブを点けてトイレに行って用をたして、洗濯機を回して、リビングのストーブを点けます。

「トイレに行ってくるから、いい子で見てるんだよ」

そう言って部屋を出て行こうとすると

「ママはいってるよ」

「ママがはいってる」

「え?」

なんのことかわかりませんでした。ちょっと考えて、ママがトイレに入っていることを伝えていると気づきました。トイレに行くと本当にママがいました。

ぽんこちゃんの方からそのような僕の行動を先取りする情報を教えてもらったことは初めてだったのでびっくりしました。

●スーパーヒーローを貶めるかのような言い間違いがおもしろい!

言葉の成長が目覚ましい反面、まだ不安定な面が多々あります。「できない」は「ききない」と言います。上着のボタンをいつも自分で留めようとします。
「ぽんこちゃんがする」

懸命にボタンの穴に、ボタンを入れようとするのですができません。
「ききない、パパやって」

お風呂の湯船から出ることも「はいる」、洋服を脱がせることも「きせて」と言います。箸のことも「スプーン」、「くつした」は「くった」です。

スプーンを投げ出す子ども

「おにいちゃんのスプーンがいい」と言うのでカーズのスプーンを渡すと「やだ」と言って怒ります。スプーンはいくつもあって、ほかのをあれこれ渡すと全部嫌がって怒ります。ひどいときは怒って手渡したスプーンを投げます。正解は箸なので難問です。

「アンパンマン」は「アパマン」、アパートを仲介してくれる不動産屋のようです。引き戸をあけて自分が帰ってきたのに「おかえりー」。「ありがとう」「おやすみ」は上手に言います。

歌を歌う子ども

「アンパンマンはきみっだ~」という歌を「アンパンマンがいきった~」と歌います。アンパンマンはいきったりせず、どちらかというと謙虚で控えめです。「バイキンマン」を「サイキンマン」というのは、より深刻な病気になりそうです。

【古泉智浩さん】

漫画家。1969年、新潟県生まれ。93年にヤングマガジンちばてつや賞大賞を受賞してデビュー。里子を受け入れて生活する日々をつづったエッセイ

『うちの子になりなよ ある漫画家の里親入門』

、その里子と特別養子縁組制度をめぐるエピソードをまとめたコミックエッセイ

『うちの子になりなよ 里子を特別養子縁組しました』

など著書多数。古泉さんの最新情報はツイッター(

@koizumi69

)をチェック!