2018年12月、フィンランドの首都ヘルシンキの中央駅の近くにオープンした公共図書館「Oodi(オーディ)」。
翌年には国際図書館連盟によって「世界一優れた図書館(Public Library of the year)」に選出されました。
フィンランドの公共図書館は、日本の図書館とどのような違いがあるのでしょうか。
北欧に詳しいライターのルミコ・ハーモニーさんが現地レポートしてくれました。
フィンランドにある「世界一優れた図書館」。その魅力とは?
「Oodi」の建物は3階建て。
3階は私たちのイメージするような普通の図書館と同じような設備を有しており、約10万冊の蔵書が自由に楽しめるほか、雑誌・映画・楽譜・ゲームの貸し出しも行われています。
普通の図書館と違うのは、それ以外の空間や貸し出しアイテムが充実していること。
フィンランドの法律では、「図書館は趣味ができる場を確保する役割がある」と記載されていますが、それを体現するような場所です。
1階はおもにイベント用スペース・会議用スペース・シネマ・カフェスペース。2階には楽器の演奏や写真の撮影・現像などが可能な複数のスタジオが用意されているほか、3Dスキャナー・レーザーカッター・ヒートプレス機・ミシン・刺繍機などが置かれた作業スペースなどが用意されています。予約は必要ですが、すべて無料で使えます。
●本だけじゃない、フィンランドの図書館
たとえば音楽スタジオには、マイクや電子ギターやドラムなどがあり、一般的なバンド練習もすぐにできます。
場合によっては、楽器を借りて家に持ち帰ることも可能な場合さえあるそうです。
この春には、ヘルシンキフィルハーモニーのシーズンパスも借りられることになりました。そのシーズンパスを借りれば、有料のオーケストラの演奏会に無料で席を予約をすることができます。
3Dプリンターも予約すれば無料で使えます。
ミシンや缶バッチも予約すれば無料で使用可能。
ラボ的な部屋もありました。
●ジェンダーフリーなトイレ!
ジェンダーフリー先進国の北欧・フィンランド。最近日本でも、「だれでもトイレ」という施設を見かけるようになりましたが、まだまだトイレは男女別というのが公共の場では多いです。
個室で男女兼用というのも、小さな建物や戸建では一般的ですよね。
Oodiのトイレは、ジェンダーフリーな公共の手洗い場。
さらに、個室も、中に入っている人影が浮かび上がるライティング仕様。だれがどのような動作をしているか、一目瞭然なのです。
日本は、用をたす音すら人に聞かれないために、水を流す音が流れるボタンがあるほどですから、こういった施設ができることはまだまだ想像がつきません。
さすがにTOO MUCHじゃない? とフィンランド人の友人に尋ねると、「中に人がいるかどうかすぐわかって便利だし、ドラッグなど、犯罪行為もしにくいのでいいと思う」というサバサバした感想でした。
「たしかに、日本では女子トイレに長蛇の列ができる一方、男子トイレはすいていることも多いから、このスタイルの方が便利だとは思うけど…やっぱり慣れてないから小っ恥ずかしかったです」と感想を漏らしました。
すると
「自分は男であるとか女であるとか言及したくない人もいるよね。だからこのスタイルはいいことだと思うよ」とのお答え。彼らの視点にハッとしました。さすがはジェンダーフリー先進国だと感じました。