これからの季節、気温や湿度の上昇とともに増えてくる害虫。

「環境変化だけでなく、インバウンド化で新たな害虫が発生。不快なだけでなく、健康被害をもたらす場合もあるので要注意です」と警鐘を鳴らすのは、害虫駆除を専門におこなっている「ダスキンターミニックス」の齋藤祐輔さん。今年の夏に気をつけるべき害虫について伺いました。

今年の夏に気をつけるべき害虫
害虫発生防止のポイントは、「掃除×整理整頓
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北海道にゴキブリが!害虫を取り巻く、経済・環境の変化

過去50年を振り返ると、経済や環境と共に発生する害虫の種類も変化し続けています。50年前は団地などが新造され、ネズミやハエ、ゴキブリなどが多かったですが、2000年あたりから新種の外来種を国内でも見かけるようになりました。最近では、ヒアリが湾岸エリアで発生したという報道がなされています。

駆除薬剤も環境に影響を与えないような優しいものに移り変わっており、害虫駆除依頼も年々増加しています。

●北海道にゴキブリが発生。現地の状況は?

物流網の発達や空調システムの向上で、害虫の生息域は更に拡大しています。住宅環境も高気密高断熱化により、ゴキブリなど害虫が年中を通して生息しやすくなっています。

北海道にはいないと言われていたチャバネゴキブリも、近年では札幌市でも見られるように。オホーツク海沿いの街で、冬場は極寒な紋別市でも、ゴキブリ駆除のニーズがあることから、最近になってダスキンのお店も誕生しました。

●社会問題となっているあき家は、害虫の温床となっている可能性が…

あき家は、害虫の温床となっている可能性が

お住まいの地域で、老朽化したあき家などは見かけないでしょうか。総務省の統計では、あき家の推移は年々増加の一方となっています。

あき家が増えると安全・防犯面が気になりますが、家屋を食い荒らす害虫のシロアリの発生拡大にも要注意です。シロアリは一度発生すると隣接した住宅に被害を及ぼすことになりますので、定期的に点検をしてください。

インバウンドで激増!?これから屋内で注意すべき「トコジラミ」

海外渡航者や訪日外国人の増加と共に、ダスキンへのトコジラミ駆除依頼も5年で5倍ほどに増加しています。

トコジラミは別名で南京虫と呼ばれ、国内で見られなくなっていましたが、最近では海外からの荷物や衣服に付着して持ち込まれるケースが増えており、行政などが注意を呼びかけています。
噛まれると猛烈なかゆさを伴い、繁殖すると駆除が厄介です。

東京都福祉保健局の調査によると、トコジラミに関する家庭からの相談件数はこの10年で約14倍に!

トコジラミの特徴としては、下記のようなものがあります。

・成虫の体長は5~8ミリ、幼虫の場合は1~5ミリ程度。

・人間の衣類から露出している皮膚のやわらかな部分を刺すことが多い。

・人間の放つ二酸化炭素や熱に集まるとされる。

・寿命は半年~1年程度。

・普段は茶褐色で扁平だが、吸血すると濃褐色になり、丸く膨れあがる。

・生涯に200~500個の卵を生む(1日の産卵数は5~6個)。

・飢餓に対する耐性が強く、吸血しなくても半年以上生きるとされている。

トコジラミはこんな姿です!

トコジラミ

●家庭内でトコジラミの発生を確認するポイントとは

トコジラミは人の目が届かないものの裏や暗い所に生息しています。トコジラミの痕跡である血糞がないかを掃除をかねて点検することをおすすめします。

・掛け時計の裏
・コンセント周り
・デスクの裏、内側
・巾木
・鏡裏
・イスの裏
・エアコンと壁のすき間
・クローゼットの内側
・カーテンの折り目
・カーテンボックス内側
・部屋の角隅
・額裏
・ヘッドボード裏
・ナイトテーブル裏
・シーツの縫い目、折り目
・ベッドボトム裏

万が一発生していることが確認されたら、拡大も考えられるので、直接手で触れることはせず、駆除業者に相談しましょう。

●トコジラミの被害を受けないための予防策(外泊編)

外泊編

トコジラミ駆除の多い依頼先として、宿泊施設があります。海外からの旅行者も多いので、発生や生息する可能性が低くありません。

宿泊の際は下記の箇所を目視して事前に被害をなくすようにしましょう。トコジラミは洗濯だけでは駆除できないので、帰宅したら衣類を乾燥機使うのもよい方法です。

・宿泊先(ホテル)にチェックインしたら、ベッド、家具、じゅう器の周辺をチェックする。

・ベッドのシーツをはがし、マットレスなども確認する。

・痕跡(フン、死骸など)を発見したら、離れた部屋に変更してもらう。

・荷物は直接床にはおかず、ラックなどにおく。気になる場合は、ビニール袋に荷物を入れる。

・帰宅したら、服を洗濯して乾燥機で乾かす。洗うだけではトコジラミは駆除できない。

●害虫発生防止のポイントは、「掃除×整理整頓=環境改善」

掃除や整理整頓は、害虫発生予防は切っても切れない関係です。汚れは害虫のエサとなり、ものが整理されていないと害虫の住み処や隠れ場となります。

また、湿気の多い場所は、害虫の住処として適所。とくに梅雨の時期はカビなども生えやすく、衛生面からも気配りが必要です。

害虫が繁殖しにくい環境づくりには清掃がいちばんです。害虫のタマゴや痕跡が確認できて予防効果も高まります。
「掃除=害虫発生の防止」と認識して環境改善を行うことで、害虫発生や生息を防ぐことができ、清潔で健康的な生活が送れます。