子どもには、ためになる習い事をさせたいもの。スポーツ、お習字、英会話などさまざまですが、アメリカでは小学生から「お料理教室」に通うこともあるそう。
ここではアメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するエディターのNorikoさんに、アメリカの子どもに人気のおけいこのひとつ、料理教室についてレポートしてもらいました。
アメリカの習い事事情!キッズ料理教室は子どもも大人もためになります
●ママ大助かり!一石二鳥のおけいこ
小学校に上がり、年齢制限の壁も取れ、できるおけいこの種類も増えてきました。以前から個人的に興味があったのは、料理教室。
普段から、野菜を切ったり、ハンバーグを引っくり返したり、少しずつお手伝いを始めていた息子に、さらに料理に興味をもってもらおうと、学校の放課後に参加できる料理教室に入れることにしました。
最初のクラスは、包丁の使い方など基本を学ぶことを目的に、メニューはサラダと決まっているようです。色とりどりの野菜が入ったサラダができ上がり、どっさりお土産に持ち帰りました。
この料理教室は、「料理を自分でつくって食べる」のではなく、「その日の家族のディナーをつくる」という趣旨で行われています。というわけで、そのサラダも、アメリカの4人家族を想定した量。その晩は、パンとサラダで夕食、となりました。
2回目からは、さまざまなアメリカ家庭料理のレシピを学びます。サラダ同様、どれもかなりのボリュームで、ディナーのメインディッシュとして十分の存在感。子どものおけいことしての価値はもちろん、親にも家事を減らせるうれしいメリットがありました。
●基本は焼くだけ、煮るだけ
子どもが料理するといっても、「仕上げは、お母さん」。というのも、料理教室はキッチン設備のある場所で行っているわけではなく、子どもたちは学校の廊下にテーブルを並べ、その上で調理しています。
そう聞くと「一体、どういうこと?」と不思議に思うかもしれません。要は切ったり、混ぜたり、入れたりの「下ごしらえ」に当たる工程を子どもが担当し、焼いたり煮たりと実際に火を使う作業は家に帰ってから行うのです。安全面からも、できたてを味わうためにも、理にかなってますよね。
料理はだいたい、アルミ容器に入った状態で持ち帰ります。レシピが書かれた紙には、親向けに「その晩に食べるための手順」と「別の日に食べるために保存する方法」の説明もあります。
ほとんどのレシピは、アルミ容器ごとオーブンに入れて焼くだけ。もしくは、アルミ容器の中身を大鍋に移して火にかけるだけです。子ども向け料理だけあって、超ラクチン!
●キッシュからピザまで、大人も満足
子どもでも手軽にできるからといって、なかなか侮れない内容。なかでも目からウロコだったのが、キッシュでした。
カフェご飯の定番、オシャレな卵料理という印象がありますが、材料を切って卵液と混ぜ、市販のパイシートを敷いたアルミ容器に入れて、オーブンで焼けば完成します。子どもにもできる料理とわかり、新鮮な発見でした。
知らなかったアメリカ家庭料理にも出合いました。たとえば、「チーズバーガー・キャセロール」。
その名のとおり、チーズバーガーの中身をオーブンで焼いたような料理です。牛ひき肉とみじん切りの野菜でつくったミートソースにピクルスを混ぜ、チーズ、市販のパイシートを載せて焼き上げます。ミートソースも市販品を使えば、時短になりますね。
いちばんのお気に入りはピザ! ちゃんとピザ用の箱が用意され、子どもはピザ屋さん気分が味わえ、どこか誇らしげです。
生地からつくるのも、貴重な体験。家庭では土台は市販品を使い、親子でトッピングを工夫するだけでも楽しめそうです。
日本では時代は令和に変わり、ますます料理は男子のたしなみとなりそうな予感。息子にはこれからもどんどん料理を学んでもらい、ママの時短を助けて欲しいものです。
【Norikoさん】
アメリカ・シアトル在住。現地の日系タウン誌編集長職を経てフリーランス・エディター/ライターとなり、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『
アメリカ西海岸ママ~日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産~』(海外書き人クラブ刊)、共著書に
『ビックリ!!世界の小学生』(角川つばさ文庫)