アメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するエディターのNorikoさんに、現地で話題のフードやライフスタイルを紹介してもらいます。
今回は、シアトルの雪事情について。今年は記録的な大雪となりましたが、街にはどこかのんびりしたムードが漂っていたようで…。

雪事情
3月なのに大雪!シアトル雪事情
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雪が降るといろんな理由で休むアメリカ人たち

●カナダと国境を接するも、雪に脆弱なシアトル

暖流の関係から高緯度でも温暖な気候となっているシアトルでも、年に1、2度雪が降ることはあります。ただ、今年は記録的な大雪となり、3月に入っても雪が降ったほど寒い日が続きました。もともと夏以外は「雨季」と言ってもいいほど雨が多い地域ですから、寒ければ当然、その雨が雪に変わるわけです。

大雪

シアトルで暮らし始めて最初に大雪に見舞われたときは、いろんな意味で衝撃でした。当時、バス通勤だった私は、その日の朝も「シアトルで雪なんて珍しいなぁ」と思いつつも、普段どおりにバスでオフィスに向かいました。

シアトルは坂が多いことでも知られる街ですが、バスから目にしたのは、坂でスノーボードやソリ遊びを楽しむ人たちの姿(!)。街全体がゲレンデと化していました。

オフィスに着くと、出社したのは私ともうひとりだけ…。ちなみに、ふたりとも「雪国出身」という共通点があることがわかりました(笑)。

同じアメリカでも、東海岸など毎年の積雪が当たり前の地域では除雪のシステムが整っていますが、シアトルはそうではありません。5cmも積もれば交通はマヒ状態となり、学校は休校、オフィスもクローズということになりがちです。

学校だと前日の夜か当日の朝に休校の知らせが各家庭にありますが、オフィスの場合は「自主的に」来ない人も多そうです。

「家の前に雪があってドアがあかないから」だの、「犬が散歩中に滑ってケガをしたから」だの、よくわからない理由で休むのはアメリカでは「あるある」なのですが、日本人の感覚だとびっくりしますよね。

●雪道でも車は平常運転

雪道でも車は平常運転

そんな感じなので、当然車のタイヤも雪仕様にはなっていません。スノータイヤやチェーンの使用は一般的ではないのか、多くの人が普通タイヤで雪道を運転しています。

アメリカ人の夫いわく「4輪駆動なら大丈夫」。その割には、スリップしたり電信柱に突っ込んだりする車を見かけるのはいったい…?

そして、今年の大雪は1回大きいのが来たところで、もう1回という状態でしたので、1回目の教訓からか2回目の大雪の直前には、スーパーマーケットの棚から商品がきれいさっぱりなくなる事態に。車社会で、日本のようにコンビニがあちらこちらにあるわけでもないですし、大雪になると家の中から一歩も出られないという人も少なくないのです。

買いだめにも落とし穴はあります。とにかく雪に脆弱なシアトルは、ライフラインも大雪に対応していません。案の定、今年の大雪でもシアトル市内を含む広い範囲で停電となり、わが家でも冷蔵庫が使えなくなりました。冷蔵・冷凍食品の買いだめは要注意ですね。

オフィス街のあるダウンタウン、高速道路や主要幹線道路は行政や企業で除雪を行うので雪解けも早いのですが、ちょっと奥に入ると大雪はいつまでも居座り続けます。日本のように「家の前は雪かきを」という意識もとくになく、そもそも雪かきの道具すら持っていないので、雪はなかなかなくなりません。最初の頃は見慣れない雪景色にはしゃいでいたシアトル人たちも、今年の度重なる大雪による混乱には、さすがにもう「お腹いっぱい」の心境でしょう。

●子どもと犬は大喜び?

子どもと犬は大喜び?

「雪が降ってるよ」の第一声に興奮した息子は、すぐに外へ出たくてたまりません。母も父も重い腰を上げ、近所の公園での息子の雪遊びに代わるがわるつき合いました。別の日には、坂のある公園に行ってそり遊び。学校もオフィスも休みが続く街はスノーウエアの人たちであふれ、どこかのんびりしたムードが漂います。

早めの就寝

停電になったらなったで、普段はなかなかしないアナログなカードゲームで家族団らんの時間を過ごし、早めの就寝。息子は、そんな非日常のひとときを楽しんでいたのですが、学校がようやく始まると、やはり友達との再会がとてもうれしかったようです。

大寒波のせいか、桜の開花も例年より遅くなりそうなシアトルの春ですが、暖かい日も増えてきました。やっぱり晴れた日がうれしいと感じる今日この頃です。

【Norikoさん】

アメリカ・シアトル在住。現地の日系タウン誌編集長職を経てフリーランス・エディター/ライターとなり、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『

アメリカ西海岸ママ~日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産~

』(海外書き人クラブ刊)、共著書に

『ビックリ!!世界の小学生』

(角川つばさ文庫)