アメリカ・シアトルに住んで十数年。子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、現地で話題のフードやライフスタイルを紹介してもらいます。
今回は、アメリカの年末の過ごし方について。
感謝祭にブラック・フライデー、『クルミ割り人形』…アメリカの年末年始は盛りだくさん!
●感謝祭から始まるホリデー・シーズン
毎年11月第4木曜は、サンクスギビング(感謝祭)というアメリカの祝日。一般的にこの日からお正月までの期間をホリデー・シーズンと呼び、イベントや休みが多いこともあって、街はお祝いムードに包まれます。
家族が集まる感謝祭の食卓は、ロースト・ターキー(七面鳥)が主役。お尻から(失礼!)スタッフィングと呼ばれるつめ物をして、オーブンで焼き上げます。
スタッフィングは家庭によってさまざまなレシピがあり、便利な「スタッフィング・ミックス」なるものも市販されています。
感謝祭のディナーは毎年夫の実家にお呼ばれするのですが、義母のレシピでは、このミックスに刻んだセロリ、タマネギ、生ガキ、そして溶かしバターを混ぜます。
海の幸がおいしいシアトルで生まれ育った義母らしさが出ていますね。
焼いたときに出た肉汁を使ってつくるグレービー・ソース、またはクランベリー・ソースも添えられます。
ターキーの肉汁のうま味がしみているスタッフィングは、中から取り出してつけ合わせに。そのほかには、マッシュポテト、ニンジンのグラッセ、芽キャベツのローストなども定番です。
●ブラック・フライデーのセールは争奪戦!
感謝祭が終われば、街並みはすっかりクリスマス一色に。それと同時に、年末年始商戦も本格的にスタートします。
感謝祭翌日の金曜は「ブラック・フライデー」と呼ばれ、アメリカでは1年のうちでも最大級のセール日と言われます。日本でもアメリカの影響で、導入する店が増えていますよね。
テレビのニュースや新聞で必ずと言っていいほど、ブラック・フライデーのセール目当てに行列し、開店と同時に中になだれ込む人たちの様子が取り上げられますが、このセールのことを「ドアバスター」と言います。日本の初売りみたいですね。
このドアバスターは、ここ数年で開始時間がどんどん早まっていて、感謝祭当日の夜からオープンという店まであります。
オンラインでは11月に入ったとたんに始まっていますから、最安値を見極めたい消費者としては油断できません(笑)。
今年は久しぶりにブラック・フライデーのショッピング・モールを体験しました。まず、駐車場探しだけでひと苦労。中も、ものすごい人です!
それでもがんばって、目当てのデパートとファッション・ブランドのショップで、いくつか買うことができました。すべて半額以上の割り引きで購入できたので、達成感があります。
ちなみに私が買い物する間、夫と息子はなにをしていたかというと、同じショッピング・モール内にある映画館で、その日から公開となった話題作を観ていました。
この時期に次々封切りとなる映画もまた、ホリデー・シーズンの楽しみです。
ちなみに、翌日の土曜は「スモール・ビジネス・サタデー」と呼ばれ、近所の個人商店での買い物が推奨される日。週明けの月曜は日本でもすでにおなじみの「サイバー・マンデー」で、オンラインでさまざまなセール合戦が繰り広げられます。
最近では、その翌日の火曜を「ギビング・チューズデー」と呼び、寄付をする日として認知されるようになりました。
また、街中ではあちこちで、「クラフト・フェア」と呼ばれるクリスマス・ギフト用のマーケットや、クリスマス・ツリー売り場ができます。
人々のショッピングはクリスマス・イブまで終わりません。正確には、クリスマス翌日の「ボクシング・デー」と呼ばれる残り物処分セール日まで続きます。
●ついに『クルミ割り人形』デビュー!
クリスマスのファミリー向けイベントとして、とくに女の子とその親に絶大な人気なのが、チャイコフスキー3大バレエ組曲『クルミ割り人形』の舞台鑑賞です。
主人公クララのキラキラした夢物語は、女の子の永遠の憧れ。今年はディズニー映画も公開されましたね。
シアトルでは、パシフィック・ノースウエスト・バレエによる公演が有名です。著名なジョージ・バランシン振付による伝統芸術を、今年はわが家も体験してきました。
まだまだやんちゃな小学1年生の息子に2時間もの舞台鑑賞ということで、不安もありましたが、結構ちゃんと観てくれてびっくり。
踊りというよりは、ユニークなキャラクターのコスチュームや豪華な舞台装置に興味を引かれたようです。子ども心をわしづかみにする演出は、さすが。
華やかにドレスアップした女の子たちよりは控えめながら、いつもよりおめかしして出かけた初バレエ、生オーケストラの鑑賞は、大成功でした。
『クルミ割り人形』でおなじみの「ねずみの王さま」をイメージした、特製クリスマス・クッキーもおいしくいただきました。
あとはクリスマス本番を待つばかり。日本の皆さんにとって、すてきなクリスマスとなりますように。ハッピー・ホリデー!
【Norikoさん】アメリカ・シアトル在住。現地の日系タウン誌編集長職を経てフリーランス・エディター/ライターとなり、日米のメディアに旅行情報からライフスタイル、子育て事情まで多数の記事を寄稿する。著書に『
アメリカ西海岸ママ~日本とは少し違うかもしれない、はじめての妊娠&出産~』(海外書き人クラブ刊)、共著書に
『ビックリ!!世界の小学生』(角川つばさ文庫)