共働き家庭が増えるにつれ注目される、夫と家事を分担する「家事シェア」という考え方。
ESSE読者にアンケートを実施したところ、「なるべく家事シェアをしたい」という声が多く見られた一方で、「一時期は家事シェアをしていたが、結局やらない方向に戻ってしまった」という人も。
家事シェアを長続きさせるにはどうすればいいのか、専門家に聞きました。
家事のやり方の正解を押しつけていては、家事シェアは進まない
「家事をやってもらっても、夫はやり方がわかっておらず、結局自分が手伝っている」(Kさん・45歳)
「夫は洗濯や食器洗いなどやってくれるが、自分の思うようにならず、結局やり直してしまう」(Sさん・39歳)
「自分がやった方が早いと思ってしまい、夫がやるのを待てない」(Yさん・37歳)
このように、家事を分担したくても「夫のやり方では満足できず、結局自分が家事をやってしまう」というケースが少なくないよう。
せっかくお互いが歩み寄り始まった家事シェアも、ストレスがたまる結果になっては意味がありません。
●自分のやり方を100%とおすのはNG
家事シェアを推進するNPO法人代表で、ご自身の家庭でも家事シェアを実践する三木智有さんは、「極論ですが、『家事を100%自分のやり方に合わせてほしい』という人は、家事シェアはあまり向いていません」と語ります。
家事のやり方は、人によってやり方や優先順位、気になることが違います。
家事シェアをやると決めたら、最初にやるべきは、家庭内で家事のやり方についてきちんと話し合うこと。
「一方的にこれが正解と決めるのではなく、柔軟にお互いがストレスを感じない方法を模索していく必要があります。『教える』とか『教育する』というスタンスではなく、夫側の意見もきちんとくみ、ルールをつくり上げていくことが大切。そうすることで夫側にも、家事を自分自身の課題ととらえる責任感が出てくるはずです」
●「夫が指示待ち」の不満を解消するには?
家事シェアの不満でよく聞かれる「お願いされないと、夫が動いてくれない」という問題の原因も、ここに隠されていると三木さんは言います。
「指示待ちになってしまっているのだとしたら、最初の話し合いがうまくいっていないのかもしれません。もちろん妻側が家事に慣れているので、主導権をもって進めるのもいいですが、夫の意見も取り入れることで、もっとスムーズに家事シェアが進むと思います」
●「間違っている」ではなく「こうするといいよ」と伝えよう
家事の仕上がりに不満があるときは、ため込まず、その場で伝えることが大事。ただ「間違ってるよ」と指摘するだけでは、お互いのストレスがたまってしまいます。
「たとえば食器に洗い残しがあれば、『ここに残ってるよ』とシンプルに伝えます。洗濯物のたたみ方が下手な場合なら、『こうやってたたんだほうが取りだしやすいよね』とか、『いっぱい収納できるよね』というような形で、なぜそうするのかという理由をきちんと伝えれば、夫も納得しやすいはず」
また、洗濯物のように分けて管理できるものについては、自分の分は自分で管理するという方法も有効だそう。夫だけでなく、ある程度大きくなった子どもにも応用できるテクニックです。
不満を感じても我慢している、という人も多いかもしれませんが、それでは状況が改善することはありません。お互いが歩み寄りながら、意見を交換できるような家庭を心がけることが、家事シェアにおいても大切なのかもしれません。