夫婦間で家事を分け合う“家事シェア”が話題です。
「夫側に家事経験がなく、どうやって分担すればいいのかわからない」というのはよく聞かれる声。

「家事を仕事単位で割り振るのではなく、一緒にいる時間にふたりで家事を片づけるようにすると、ストレスが減り、チームとしての結束が強くなります」と言うのは、家事シェアを推進するNPO法人の代表、三木智有さん。

具体的にどう行えばいいのかを教えてもらいました。

家事シェアのカギは「自分は家事をしているのに、相手がスマホ」の不満を解消すること

家事シェア
同じ時間に一斉に家事をやると、夫婦の結束力が高まる(写真はイメージです)
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三木さんによると、「“パラレル家事”ならば、夫が不在がちでも家事シェアが可能に。パラレルというのは『並行』という意味で、パラレル家事は、夫婦で並行して家事をすることを言います」。

ルールは2つだけ。

(1)一緒にいる時間にほぼ一斉に家事をすること。
(2)『〇〇していない方が△△をする』と決めること。

その時間に、そのときやらなくてはいけない家事をふたりで片づけていくのです。

●ジャンルではなく、同じ仕事を時間で分けて分担する

ご自身の家庭でもパラレル家事をされているという三木さんの、平日朝の家事分担を例にとってみましょう。

朝家事

左側に書いてある「朝食づくり」「娘のおむつ替え」などが、朝のタスク。ざっと見ただけでもやることはたくさんあります。

その分担をタイムスケジュールで可視化したのが、右の表です。

「たとえば娘に朝ご飯を食べさせるという家事。娘は食べるのがゆっくりなので、夫婦交代で行います。先に妻が担当し、その間に僕は自分の身支度をします。それが終わり次第、妻からバトンを引き継ぎ、今度は僕が娘にご飯を食べさせ、その間に妻が自分の身支度をするという具合です」

「娘にご飯を食べさせる」という家事を2人で担当。順番に自分の身支度をするので、不公平感がなく、バタバタしません。

●一緒にいる時間帯でできることを考える

「パラレル家事は、一緒にいる時間のなかで完結できるので、夫が不在がちな家庭でも有効です」と三木さんは言います。

「家事にはタイミングが重要な家事とそうではない家事があります。たとえば食事づくりを、夜中に帰ってきた夫が担当するというのは無理があります。なのでタイミングがそこまで重要ではないもので、一緒にいる時間帯でできることはなにかを考えた方がずっと建設的。そういう意味では、平日の朝の時間帯はおすすめです」

●まずは時間帯を決め、その時間にやる家事を洗い出す

パラレル家事を始めるときは、まず時間帯を決め、その時間にやる家事の洗い出しをします。

「『洗濯は妻、掃除は夫』と分けてもいいのですが、やらなくてはならないことをざっくり書き出し、『じゃあこれをやっている間にこれができるかな』と相談するのがおすすめです。ジャンルで分けてしまうと、どうしてもお互いの担当の分野ができてしまい、それ以外の分野には無関心になってしまいがちだからです」

時間をきっちり決めすぎないこと、やるべき家事を事前に共有することも、うまく進めるポイントだそう。

「休日の場合、ストック品の買い出しなど、イレギュラー的に発生する家事も多いです。急に頼まれるとその後の行動が制限されストレスになるので、なるべく情報を共有しておくといいでしょう」

「一緒に進める」と、夫婦の結束力は強まる

三木さんがパラレル家事を考えたのは、自身の経験がきっかけ。

「わが家では大体僕が料理をつくって、妻がそれ以外の家事をする、というのがだいたいの分担です。でもある休日、僕が料理をしているときに、子どもが寄ってきたことがありました。そのとき妻はなにをしているのかなと思って見てみたら、ソファでスマホをずっといじっていた(笑)。たまたまだったと思うんですけど、やっぱり気分はよくなかったんです」と三木さん。

同じようなストレスを感じている人が多いのではと思い、家事シェアに関心をもつようになったそう。

夫婦
※写真はイメージです

●家事シェアで夫婦の不公平感がなくなり、関係がよくなる

実際、あるアンケートの「妻が家事をしているとき夫はなにをしていますか」という設問には、「スマホやテレビを見ている」という答えが大半だったそう。

「いない時間は仕方ないけれど、一緒にいる時間に、自分だけ家事で大変な思いをしていて、暇そうにされていたら、腹が立ちますよね。そこで、すべての家事をシェアするのではなく、せめて片方が家事をしているときは、もう片方も一緒に動くという分担方法がいいのではと考えました。戦力して役に立つということも大事ですが、それ以上に関係性やコミュニケーションがよくなる方が大事だと思います」

パラレル家事は妻側にとってメリットがあるだけでなく、夫側にも大きなメリットとなると言います。

「家に居場所がないという男性も数多くいます。少しのきっかけがあれば、男性だって家庭に貢献して輝けると思います」