日本人ならだれでも一度は使ったことのあるタワシ。
「身近すぎて注目することの少ない存在ですが、じつは水回りの掃除や焦げ落としに使えるだけじゃないんです!」と教えてくれたのは、今年で創業111周年を迎える、老舗タワシメーカー・亀の子束子西尾商店の石井さん。
7月2日、大正4年に亀の子束子が特許を取得した「たわしの日」を記念したイベントで、タワシの便利な使い方を教えてもらいました。
焦げ落としだけじゃない!タワシは野菜の泥落としや皮むきに最適
タワシといえば、ナベやフライパンについた焦げの削ぎ落としに使うイメージですが、じつは泥野菜を洗うとき使える優れもの。
包丁で皮をむくことで失ってしまう栄養素も、タワシなら表面を薄くこするだけ。簡単なだけでなく、栄養素を多く残すことができるんです!
●まずはタワシの素材をチェック!
タワシは、繊維の種類によって硬さが異なるそう。洗いたいものによって、使うタワシを選びましょう。
●シュロタワシ
シュロというのは繊維の名前。ヤシ科の植物で、きめ細やかで、やわらかな毛が特徴です。
古くからタワシやホウキの材料として使われてきた素材で、払うような洗い方で汚れを落とすのに向いています。木のまな板のほか、テフロンやほうろう、ステンレス製品にも使用可能。
●パームタワシ
パームとはヤシの実の繊維のこと。原料として、シュロが不足し始めた頃から、より安価なパームが用いられ始めたんだそう。
シュロよりも硬いのが特徴です。ゴボウなどの泥を落としながら薄皮をむいたり、ザルの目の汚れを落としたりに使います。強度があるため、テフロン加工のフライパンなど傷つきやすいものには不向きです。
泥を落としたい野菜によって異なる硬さのタワシを使いわけて
泥だけ落としたいときは、やわらかいシュロのタワシを。泥と薄皮も落としたいという場合は、硬いパームタワシが向いています。
今回はシュロのタワシでジャガイモを、パームのタワシでゴボウの泥を落としてみました。
●ジャガイモ×シュロタワシ
まずはタワシを手に取る前に、ひと工夫。あらかじめ野菜を水につけておくと泥を落としやすくなるそう。さっと泥を落としたら、その水は捨ててしまいましょう。
水につけながら洗うと、せっかく落とした泥がまた野菜についてしまいます。
さっと水洗いしたら準備はOK。タワシを使って洗っていきます。勢いよく水を当てるのではなく、弱い流水で十分!
力を入れすぎないようにし、タワシでサッサッと払うように泥を落とします。ジャガイモはくぼみがあるので、タワシで汚れをかき出すようにしましょう。
手でさっと洗ったジャガイモと比較してみると…?
その差は歴然! タワシで洗うと、ジャガイモが白く輝きました!
ニンジンやダイコンも同様にシュロタワシで洗いましょう。
●泥つきゴボウ×パームタワシ
泥だけでなく、薄皮も落としたいというときには、かためのパームタワシを使って。
流水で流しながら、力を入れ過ぎないようにしてこすりましょう。皮をさらに落とす場合は、少し強めに。
ジャガイモもゴボウもこんなにきれいになりました!
ジャガイモもこんなにきれいに泥を落とせば、皮ごと料理してもおいしそう。ゴボウの皮むきもあっという間にできて、時短になりました。意外と知らない便利な使い方、ぜひ覚えておきたいですね。