スカッとした晴天続きから一転、ついに梅雨入り。「梅雨」と書いて「つゆ」と読むのは、よく考えると不思議ではありませんか?
この疑問に答えてくれたのは、漢字や言語学の研究を行う、笹原宏之さん。だれかに話したくなること間違いなしの豆知識を語ってくれました。
梅雨のルーツ…じつは中国大陸にあった!?
そもそも、夏に入る前に雨が続くのは日本だけの現象ではありません。朝鮮半島や中国の長江沿いの地域でも、夏前に雨の日が続く現象が。
今から1200年ほど前、唐の時代の文献にはすでに「梅雨」という文字が見られます。これは「梅の実がなる頃に始まる雨」という意味。
中国で梅は、日本でいう桜のようなポピュラーな木ですから、このような表現が出てくるのは不思議ではありません。
●一方、日本では「つゆけし」という表現が!
日本では平安時代から「つゆけし」という形容詞がありました。これは水滴の「露」からきた表現で、「ジメジメしている」という状態を意味するもの。
これと中国から伝わった「梅雨」が合わさり、近世に入ってから「梅雨」で「つゆ」と読むようになったのです。梅の字を「黴(かび)」に代えて、「黴雨」で「つゆ」と読むこともあります。
雨が降って水があるのに「水無月」なのはなぜ!?
そして、さらなる疑問も。6月の陰暦での名称は「水無月(みなづき)」。雨が一年でいちばん降る月なのに、「水が無い」というのはなぜでしょう。
●日本人は当て字好き。本来は「水の月」だった
もともとは「水の月」という意味で「水な月(みなづき)」と言っていました。それが、「な」の音に「無」という当て字がされ、現在の形になったと考えられています。本来の意味から、まったく反対になってしまうなんて、おもしろいですよね。
同様に、10月の陰暦での名称「神無月(かんなづき)」も「神の月」という意味でしたが、当て字で「神無月」となったと考えられています。
身近な言葉や漢字も、よく注目するとこんなにおもしろいのですね。こんな雑学を楽しみつつ、梅雨を楽しくのりきりましょう。