フィンランド人の男性と国際結婚をし、3児の母としてグローバルな子育てをしているルミコ・ハーモニーさん。親子での国際交流を支援するNPO法人でも活躍するルミコさんが、さまざまな海外事情を紹介してくれます。
今回のテーマは、男女平等が進んでいる北欧式の家事シェアについて。
ワンオペ育児でもけんかにならない、北欧式家事シェアのスタイル
私の夫はフィンランド人。フィンランドを含む北欧諸国は、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表する「世界男女平等ランキング」で軒並みトップ入りしています。
共働きは当たり前であり、家事育児も平等にやって当たり前。なので、「北欧には“イクメン”という言葉はない」と夫は言います。
一方で、日本でよくある「男性が女性におごるべき」という習慣もありません。私は夫の貯金額も知らないし、お互い食費や住宅費を渡し合ったりしません。
買い物へ行った人が払う、といった自由なスタイルです。食費は平日に買い物へ行く私が、旅行などの大きな出費はチケットを購入する夫が支払う、という感じで成り立っています。
とはいえ、私たちが家事を完全に分担できているかといえば、そうではありません。
夫は1番目の子どもが生まれたときは、夕方17時には帰宅し、「ベイビーをお風呂に入れるのは自分の役目」と張りきっていました。
が、徐々に日本人化したのか、3人の保育園児を抱える今、仕事が忙しいこともあり、21時前に帰宅することは非常に珍しい状況。
平日は私のワンオペ育児といっても過言ではありません。
でも、それで不満を感じたり、けんかになることはありません。それは、いくつかのポイントを、お互いに守っているからだと思います。
家事のクオリティに対するハードルを下げる!お互いに文句を言わない!北欧式家事シェアのポイント
ここでは、けんかにならずに家事シェアする北欧式暮らしのポイントをお伝えします。
●1:「~するべき」と思わない
日本では「栄養を考えて、食事は最低でも一汁三菜、たくさんの料理を手づくりするべき!」という考えが根強くあります。
しかし北欧では、普段の食事はそんなに豪華なものは食べません。ドイツ以北のヨーロッパでは、たいてい温かい料理を食べるのは1日に1回程度で、夕食も“コールドミール”といって、パンとハムとチーズというのが一般的です。つくっても大体ワンプレート。
朝ご飯も、フィンランドではオートミールがゆやフルーツを食べるくらいです。
自分の設定しているハードルが高すぎるのかもしれないと思えば、気がラクになり、もっと毎日を楽しめるのではないでしょうか。
●2:家電を駆使する
平日は、夫が朝食の用意をしつつ、私が子どもたちの保育園の準備をします。そこで活躍するのが、現代の家電機器。
洗濯機は乾燥までの全自動、食器は食洗機へ。ルンバをONにしてから、子どもたちを保育園に連れて行き、出勤します。
最近の家電は本当に便利。時短になるし、活用しない手はないと思います。
日本でもようやく食器洗浄機が一般化しつつありますが、フィンランドの家庭には、日本の倍くらいの大きさの食器洗浄機がどの家庭にもキッチンにはめ込んであり、鍋なども入れられます。
なので、どっちが食器を洗うかとけんかになる前に、ただ食洗機に入れるだけなので、子どもでもできちゃうわけです。
●3:夜にビジネスの予定が入ったら、夫に代わってもらう
私も仕事をしているので、夜に大切な用事が入ることもあります。そんなとき、お迎えから寝かしつけまでを夫にまかせています。
ビジネスの用事は、月1回程度。それほど多いわけではありません。そんな機会も逃すならば、私は自分の生活を犠牲にしていると感じてしまうと思います。
●4:週末は絶対に家族で過ごす
北欧では、平日夜も定時で仕事をきり上げ、家族で夕食を食べたり、週末は家族で過ごすのが当然という考え方をします。
なので、日本の「花金は宴会」といったカルチャーは見受けられません。
夫が「家族サービスってなに? 自分が一緒に過ごしたいから家族と過ごすのではないんですか? 家族と過ごすのがサービスなのですか?」と言ったこともありました。
「子どもが小さくて家族一緒にいられるのは、本当にわずかな時間」ということをあらためて考えてみると、週末の過ごし方を大事にしたくなるのではないでしょうか。
●5:お互いに文句を言わない
たとえば、お皿が洗えてないと気づいたら、気づいた方が片づけるようにしています。
ちょっと散らかったまま出かけてしまっても、文句を言いません。いやだと思った人がやればいいのですから。
夫の仕事が忙しくても、「今、彼は仕事をがんばりたいのだから、応援したい。がんばって納得のいく結果を出してほしい」と素直に思っています。
それは今回挙げたことをお互いに実践し、たとえば週末に私がひとりで出かけることがあっても、尊重してくれているからだと思います。
家庭によって事情は異なると思いますが、家事シェアを考えるとき、北欧のスタイルも参考にしてみてください。