忙しくて簡単な料理しかできないけど、食卓に変化をつけたい…。そう感じている人は、濃い色の器を取り入れてみてはいかがでしょうか。
提案してくれたのは、ESSE編集部が注目する料理ブロガーのぶち猫さんです。
ぶち猫さんは自宅での日々の料理から、おもてなし、大人数でのパーティまで、季節感のある食卓がお得意。料理はもちろん、洗練されたテーブルコーディネートにもマネしたくなるアイデアがあふれています。そんなぶち猫さんの、濃い色の器を取り入れるテクニックを教えてもらいました。
じつは使いやすい濃い色の食器。淡い色の食べ物が引き立ちます
濃い色の器はお持ちですか。淡い色の器と比べると、どんな料理を合わせたらいいのか難しいと感じる方もいるかもしれません。
しかし、うまく活用することでいつものおかずをドラマチックに見せたり、取り入れ方次第でテーブルコーディネートを引き締めてくれたりする優れものです。
また、濃い色の器には、質感や色のグラデーションが美しいものが多く、つい集めたくなってしまう魅力もあります。
とくに、日常使いしやすい小鉢や中鉢は、濃い色のものと淡い色のものの両方をそろえておくと、その日の気分や料理によって使い分けができて便利です。
濃い色の器には、いったいどんな料理を盛りつけたらいいのか。
私がいちばん合わせやすいと思うのは、淡い色合いの料理です。手始めに、旬の山ウドを黒ゴマであえたものを盛りつけました。
料理自体はごく簡単ですが、深緑色のグラデーションが美しい中鉢に淡い色合いの山ウドが映えて、印象的になったのではないでしょうか。
淡い色合いの料理を淡い色の器に盛りつけると、全体がぼやけた印象になってしまいがち。そんなときこそ、濃い器の出番です。
また、濃い器にはシンプルな料理を引き立てて見せる効果もあります。写真は、タケノコを魚焼きグリルで焼いてから、しょうゆとみりんを混ぜたタレを塗ったもの。
おもな材料はタケノコだけというごくシンプルな料理ですが、鮮やかな色合いの小鉢に盛りつければ、寂しい印象になってしまうことを防げます。
今回使ったターコイズ色の器はインパクトの強い一品ですが、濃い色の料理にも淡い色の料理にも合ううえに、ひとつ取り入れるだけで全体がぐっとおしゃれに見えるので、濃い色の器のなかでもとくにおすすめです。
鮮やかな色の器を使い慣れていなくて不安だという方の場合には、面積が狭くて試しやすい小鉢から始めてみてください。
●濃い器の効用を写真で確認する
シンプルな料理を濃い器に盛りつける場合と淡い器に盛りつける場合で、どのくらい印象が異なるのか、写真で比較してみましょう。
まずは、夏の定番冷ややっこを、深緑色の中鉢に盛りつけました。木綿豆腐を切って、上からカツオ節、ゆでて刻んだカブの葉とショウガをのせただけです。
ごくありふれたいつもの料理が、深緑色の中鉢の色に引き立てられ、ちょっとおしゃれな雰囲気になっているのではないでしょうか。
同じ材料でつくった冷ややっこを、淡い色の中鉢に盛りつけて、右側に並べてみました。
個人的には淡い色の組み合わせも好きですが、比較してみると、深緑色の中鉢に盛りつけた冷ややっこのほうが、より料理が引き立っているはず。
どちらの盛りつけが好みかは人によりますが、同じ料理を盛りつけても、器によってこんなにも違う雰囲気になるということを知っていれば、器選びの幅が広がります。
忙しくて料理に手をかけられないけれど、毎日の食事を楽しみたいというときには、盛りつける器で工夫をしてみるのも、ひとつの生活の知恵だと思います。
●ご飯を引き立てる濃い色の器
ほかに濃い色の器の取り入れ方としては、ご飯茶碗もおすすめです。ご飯は基本的に白系なので、濃い色に映えます。
写真では、「姫ウコギ」という山菜をゆでて刻んで、白ゴマと一緒に混ぜ込んだご飯を盛りつけました。独特の匂いが香ばしい春のごちそうです。
ツヤのある漆黒のご飯茶碗に、青菜の混ぜご飯を盛りつけることで、料理の色鮮やかさがより際立つ仕上がりになったと思います。
●濃い器でテーブルコーディネートを引き締める
単体でもいろいろな使い方ができる濃い色の器ですが、ほかの器と組み合わせて使うと、全体を引き締めたり、バランスを整えてくれたりする効果もあります。
写真は、パン屋さんで買ってきたキッシュと、サラダという簡単な朝ご飯。
白いシンプルなサラダボウルが主役ですが、脇を固めるキッシュをのせたプレートとカトラリーレストを濃い色で統一することで、全体を引き締めつつ、シックな雰囲気になるように合わせてみました。ちょっと大人っぽい組み合わせかと思います。
和のコーディネートもつくってみました。「あやめ雪」という生食向きの小カブを半割にして、バーニャカウダ風のソースと一緒に黒い石のプレートに盛りつけたもの。
黒いプレートに盛りつけることで、カブ自体の美しい色合いがより際立ちます。また、華やかな徳利や箸置きとのバランスもとりやすくなります。
意外に使いやすく、食卓にリズムをもたらしてくれる濃い色の器。ぜひ活用してみてください。