今、ESSE編集部が注目する料理ブロガーで、自宅での日々の料理から、おもてなし、大人数でのパーティまで、季節感のある食卓を得意とするぶち猫さん。料理はもちろん、洗練されたテーブルコーディネートにもマネしたくなるアイデアがあふれています。

そんなぶち猫さんに、器を中心とした食卓の楽しみ方について提案していただきました。今回のテーマは、難しいと思われがちな「絵皿の取り入れ方」について。

絵皿を活用して雰囲気のある食卓をつくる

器のコーディネートでよく聞く悩みのひとつ。それは「絵皿の選び方や組み合わせ方がよく分からない」こと。
和洋を問わず、器には無地のものと柄が描かれているものがありますが、料理やほかの器との組み合わせを難しく考える必要がないため、つい無地のものを多用してしまいがちです。

つい無地のものを多用してしまいがち
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もちろん無地の器だけを使っても、色や形の組み合わせを工夫すれば、十分にすてきな食卓を仕立てることはできます。しかし、毎日の食卓で使い続けることを考えると、似た雰囲気が続くのでマンネリ感は否めません。

そんなときに活躍するのが絵皿。無地の器の中に絵皿を一枚取り入れるだけで、食卓をちょっと華やかに、いつもと違う雰囲気に変えてくれます。

といっても、絵皿にも本当にいろいろな種類があります。和洋の別に加えて、色や柄、雰囲気(伝統的なものか、現代的なものか)など。一方で、食器棚に収納できる数には限りがあるので、できるだけいろいろな料理に合わせやすく、かつ、手持ちの器に合わせやすいものを選びたいですよね。

そこで、今回は料理にもほかの器にも合わせやすい「使い回しやすい絵皿」について、考えていきたいと思います。

●使い回しやすい絵皿は、「染付」

使い回しやすい絵皿は、「染付」

最初に結論を書いてしまいますが、私が使い回しやすいと考える絵皿は、「染付(そめつけ)」です。染付とは、白地に青い顔料(「呉須(ごす)」と呼ばれています)で模様が描かれた器を指します。

こちらの中皿は、大胆な絵柄が藍に近い濃い色で描かれているためドラマチックな雰囲気。染付には、もっと濃い紺色に近いものから、ごく薄い青色を使ったものまで、さまざまなバリエーションがあります。つくられた時代、産地や製造元(作家)により、色合いは異なるようです。

●小鉢をひとつ加えるだけで、華やかさがアップ

小鉢をひとつ加えるだけで、華やかさがアップ

白と青の二色というシンプルな構成の染付ですが、絵つけの効果で、無地の器のコーディネートに加えるととても映えます。

まずは、無地の器で構成した食卓に、取り皿として染付の小鉢を取り入れてみました。小皿に合わせて箸置きも染付に。
無地の器だけで構成した冒頭の写真と比べると、染付の小皿が視線を集めて、おもてなしにも使えそうな、華やかな雰囲気になったのではないかと思います。

●白い器に近い感覚で料理と合わせやすい

白い器に近い感覚で料理と合わせやすい

料理と合わせやすいのも染付の魅力のひとつです。食材や料理と色がかぶらないので、白い器に近い感覚で、いろいろな料理と合わせることができます。

たとえば、上で紹介した大胆な絵つけの中皿。器だけを見ると、全面に大きめの柄が入っていることもあり、どんな料理に合わせたらいいか迷いそうですが、実際に使ってみると、幅広い料理に映えるとても便利な器です。

今回は、ホットサンドとキャロットラペというカジュアルな軽食を盛りつけてみました。染付を使うと、ブラウンや色鮮やかなオレンジ色とぶつかることなく調和して見せることができます。

色の構成が単純な料理の場合、白い器を使うと単調に見えてしまいがちですが、絵つけのお皿を使うことで、視覚的なおもしろさを加えるという楽しみ方もあります。

●柄と形のバリエーションが豊富

柄と形のバリエーションが豊富

染付は非常にポピュラーな器なので、さまざまな種類の形、大きさ、テイストのものが広く販売されています。そのため、自分の好みに合うものを探しやすいところも魅力です。

食卓に変化をつける目的で染付を新しく購入する場合には、普段使っている無地の器を出発点にして、その器と組み合わせて使えるサイズや形のものを選ぶのがおすすめです。
メインで使っている無地の中皿や大皿があるならば、染付は小鉢や取り皿が取り入れやすいでしょう。しょうゆ小皿や箸置きといった小物から取り入れてみる方法もあります。
無地の器は取り皿や小鉢くらいという場合には、思いきって華やかな染付の中皿を取り入れると、食卓の雰囲気を大きく変えることができそうです。

●洋食や洋食器とも組み合わせやすい

洋食や洋食器とも組み合わせやすい

染付は和食器に固有のものではなく、アジアやヨーロッパでも同じ技法を使った器がつくられています。鮮やかな藍色で繊細な絵つけがなされた洋食器は有名なので、見覚えのある方も多いのでは。

そのため、染付は少し工夫すれば、洋食や洋食器とも組み合わせて使うこともできます。コツは、盛りつける料理(今回はシュークリーム)と、組み合わせる洋食器をできるだけシンプルなものにすることです。

複数の絵皿を使ってもゴチャゴチャした印象になりにくい

染付同士であれば、かなり華やかな絵柄のものでも、複数組み合わせて使うことも難しくありません。器の色合いが統一されるので、複数の絵皿を使ってもゴチャゴチャした印象になりにくいのです。

そのような意味でも、シンプルな食卓をもう少し華やかにしたい、新しく絵皿を使ってみたいという方には、染付をおすすめします。
新しく購入するのもいいのですが、非常にポピュラーな器なので、どのご家庭でも食器棚を探せばひとつはあるはず。今まであまり使っていなかった染付を発掘して、新しい使い道を試してみるのも楽しいのではないでしょうか。