調味料やコーヒー豆、パスタ、シャンプーや洗剤…。こうした商品から生活感を隠すために、「詰め替え容器」は、おしゃれな人にとって欠かせないアイテムに。インスタグラムを見ると、欧文のラベルシールをはりつけた100均や雑貨ショップの詰め替え容器が並ぶキッチンやランドリーの写真がたくさん見つかります。

「見た目にこだわりすぎると、暮らしやすさをかえって損なうことになりかねません」と警鐘を鳴らすのは、テレビや雑誌などで、スマートに暮らすためのアイデアを披露している、整えアドバイザー・阪口ゆうこさん。自身もその「ムダ」に気づくまでに、洗剤や食料品など、暮らし回りのものを軒並み詰め替えていたそう。詰め替えにつきまとう、さまざまなデメリットについて、ESSE編集部に語っていただきました。

「詰め替え」は抜群のおしゃれさと自己肯定感を与えてくれる

詰め替え
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昨今の収納ブーム、個人的には疲れを感じることも多々あります。SNSには、さまざまなおしゃれ収納、インテリア、ライフスタイルの投稿の数々が。さながら、暮らしのおしゃれさを競うかのよう。そのために、収納テクニックもどんどん技巧的に、マニアックに進化している気がします。

やっぱり見た目って大事ですもんね。たとえ日用品でも、おしゃれな見た目の方が使うときも手入れするときも気分が上がるし、おしゃれな生活空間にいる自分を想像したら家事のやる気もアップしようというもの。そのためか、今や収納のプロだけでなく、多くの人が実践してるのが「詰め替え」です。

買ってきたままの洗剤や調味料を並べたり収納したりすると、どうしても興ざめしちゃうんですよね。パッケージのバラつきで生じる、隠しきれない生活感を見た瞬間に気持ちがどんより。

でも、消耗品を入れる容器を同じものに替えるだけで、見た目に統一感が出て生活感を一掃! 驚くほどおしゃれに見えるんです。本当に見た目って重要。おしゃれな空間で生活してる自分をほめちゃったりして、それだけでテンションはうなぎ上りになるわけです。

見た目を優先するあまり、生活感が犠牲になることも

しかし、おしゃれな暮らしを追求していくと、必ずぶち当たるのが生活感と見た目をいかに両立するかという問題。正直に申せば、おしゃれさの半面、詰め替え作業の面倒くささがずっとついて回ることになります。
焦って調味料をこぼしたり、液だれして詰め替え容器の底がヌタヌタになったり、容器を洗って乾かす手間にもうんざり…。初めて見たときは衝撃的だったおしゃれな見た目も、飽きてきた頃に必ずだるさを感じるようになります。

詰め替えに失敗してぶちまけた塩コショウの前で、「この詰め替え作業、暮らしやすさに本当に必要?」って自問自答。そしてやっとこさ初心を思い出すのです。「あれ? なんで私、詰め替え作業始めたんだっけ」と…。
そうなんです、最初は暮らしやすさを求めて始めていたはず。よかれと思ったその作業でストレスがたまっていたら本末転倒ですよね。

詰め替え中毒だった私が詰め替えをやめたアイテム

私は最初の目的を見失っていたことに、最近気がつき、詰め替え作業を大幅に見直しました。
たとえば、調味料。

調味料

ラベルシールをはった詰め替え容器を長く愛用していましたが、すっぱり廃止。徳用サイズを詰め替えるのをやめて使いきりタイプのものを選んで買うようにしたら、引き出しにもすっきり収まるように。
同じようにコーヒー豆やみそも、どんどん詰め替え作業を撤廃。おかげで暮らしがラクになりました。

冷蔵庫

最近はパッケージがシンプルだったり、ラベルが簡単にはがせたりする容器の日用品も増えています。見た目にこだわりたい人は、そういった商品を選べば、詰め替えに煩わされることもなくなるかもしれません。

見た目は私にとって、とても大事ですが、見た目が最優先では暮らしやすさは手に入りませんでした。なにごとも過剰になれば本来の目的を見失います。重要なのは自分が心地よいと感じるレベルで暮らすことではないでしょうか。

【阪口ゆうこさん】

整えアドバイザー。夫、小学生の長男、長女の4人暮らし。自宅セミナーで収納や時短家事など暮らしをスムーズに回す工夫をレクチャーする。著書に『

家族がいちばん。だからきちんと選べる。きちんと使える。ゆるミニマルのススメ

』(日本文芸社刊)がある。月間200万PVのブログ「

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