「夫が家事をしない」「上司に理不尽なことで責められた」…。日々さまざまな場面でわいてくる「怒り」の感情。相手に強くぶつけすぎてしまったり、ため込んで爆発させてしまったり。そんな失敗を経験をした人は多いのではないでしょうか。

今回登場する相談者も、そんなひとり。子育てにつきまとう怒りについて悩んでいます。今注目されている心理トレーニング「アンガ―マネジメント」の専門家に、解決法について語っていただきました。

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<相談者>

神奈川県在住、ゆうこさん(32歳)

<相談内容>

5歳になる娘は、私が注意する口調が少し強いだけで「ママまた怒ってる?」と言います。注意しているのは、ご飯のときに落ち着きがないなど些細なこと。怒っているわけではないので「怒ってないよ」と返すのですが、それに対しても「ほら、やっぱり怒ってるじゃん」と口答えしてきます。

するとつい、こちらもむきになってしまい「怒ってない」「怒ってる」の応酬に。最終的には娘が「ママとけんかしたくなかったのに」と泣き出してしまうのが、お決まりのパターンです。私は、泣き始めた娘をハグしながら、またこのパターンをやってしまったといつも後悔…。怒っていなかったはずが、気づくと本当に怒ってしまっています。イライラを抑えて、この負のループから抜け出す方法はありますか?

感情をコントルールする3つの方法で、怒りのループを断ちきって

<回答者>
日本アンガーマネジメント協会 理事の長縄史子さん

またやってしまった…というイライラの負のループ。「どうにかしたい!」と思っているのは、ゆうこさんだけではないはずです。

ひとつ誤解してほしくないのは、“怒ることは悪いことではない”ということ。怒ってなんていなかったのに、「また怒ってる?」と言われては黙っていられませんよね。人間にとって怒りの感情はなくならないしなくすこともできないものです。

ただし、怒りに任せて言い過ぎてしまったり、本当は怒らないといけなかったのに怒れなかったりして後悔することがあるならば、なんとかしていきましょう。

以下に、怒りの感情をコントロールする方法を3つ紹介していきます。薬にも相性があるように、これらを試して必ず効果があるわけではありません。
いくつか紹介したなかに、ゆうこさんの助けになるものがあれば幸いです。

●6秒やり過ごす

6秒やり過ごす

怒ったときに絶対にやってはいけないこと。それは「すぐに言い返す・やり返す」です。感情のピークは6秒と言われており、とにかく6秒やり過ごすことがポイント。

イライラする出来事から頭をきり離して、深呼吸をしたり、いったんその場を離れたりしましょう。6秒の間は感情のピークを逃すために気持ちを落ち着かせることを心がけてみてくださいね。

●怒りスイッチを押さない

ゆうこさんにとって「また怒ってる?」は、イライラへと誘うスイッチ。まるで“悪魔のささやき”のように、気がついたら負のループへ堕ちていきます。

そこで今度から「ママ、また怒ってる?」と言われたら、まともに受けずに“来た!悪魔のささやき”と、いったん横におきましょう。怒りスイッチを押すか、押さないかは、じつは自ら選べるのです。

●パターン崩しをしよう!

じつはイライラはパターン化しやすいもの。「いつもだよね!」「何度も言っているでしょ!」と思わず口から出てしまうほど、同じことで怒ってしまうのです。こんなときはパターン崩しが効果的。次から違う方法で切り返してみましょう。

これまで、鬼の形相で「怒ってないよ」と言い返していたのでしたらニッコリ笑ってみるとか、「怒ってないよ!」と早口で言っていたのであればゆっくりと「そんなことないよ」と言ってみるとかです。同じ土俵にあがらずにすむ、“今までとは違う方法”を取り入れてみましょう。

人から怒りを消すことはできません。怒りは「なくす」のではなく「うまくつき合う」ものなのです。

また、行動が習慣化するためには、最低21日かかると言われています。今日からできることをお子さんと一緒に続けてみてください。