スポンジは、毎日使うキッチンの必需品。洗剤をつけて使うので衛生的な印象がありますが、「スポンジで洗ったあと、食べカスなどの汚れが残り、湿ったまま放置すると、栄養、水、湿度と、細菌が増殖する3つの条件がそろいます。また、細菌の多くは10~45℃、とくに20~37℃でもっとも活性化。人にとって快適な温度は細菌の繁殖にも好都合なんです」と警告するのは、食中毒に詳しい医学博士の中村明子先生。
「いくら手をきれいに洗って調理をしても、キッチンのスポンジが汚染されていると、食べ物に菌がつくこともあるんです。菌が繁殖したスポンジを使っていると、O-157やサルモネラ感染症などの病気を引き起こす可能性もあります」。

じつは使い方に要注意のスポンジについて、ESSEがいろいろ調べてみました。除菌法もご紹介します。

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劣化を早めて菌を招く!スポンジのやりがちNG例8つ

「熱湯で煮沸したり、漂白剤をつけたり、といった行為もじつはNG。スポンジの劣化を招いて、菌が繁殖しやすい環境をつくってしまうんです」と教えてくれたのは、“スポンジ博士”こと原井敬さん。スリーエム ジャパンでスポンジの開発を担当しています。

除菌のためにとしがちなことが、かえって逆効果とは驚きです。そこで、やってはいけないスポンジの扱い方と正しい除菌法を教えてもらいました。

●NG例その1 熱湯で煮沸する

鍋

多くのスポンジの耐熱温度は90℃。熱湯をかけて除菌するのはOKですが、グラグラと煮沸すると100℃になってしまうため、スポンジが変形するなど、劣化の原因になります。

●NG例その2 漂白剤につける

漂白剤

漂白剤は除菌効果はあるものの、繊維を傷つけるなどスポンジの劣化を早めてしまいます。とくに、塩素系漂白剤はNG。酸素系漂白剤も塩素系ほど強くはないものの、おすすめはできません。

●NG例その3 食洗機や洗濯機にかける

強い水流やほかのものにもまれ、劣化を早める原因に。とくに食洗機に入れるのは、スポンジがヒーターに接触して火事を引き起こす可能性があるので絶対に避けて。

●NG例その4 電子レンジで加熱する

電子レンジ

レンジ加熱できるのは、耐熱温度が140℃以上のものなのでNG。多くのスポンジは90℃までしか対応しておらず、スポンジが変形したり、劣化したりする原因に。

●NG例その5 天日干しする

一見、除菌効果がありそうですが、スポンジの素材は紫外線に弱いため、劣化を早める原因に。風通しがよく、直射日光の当たらない場所で保管しましょう。

●NG例その6 ピンチでつまんで干す

つるす

つまんだ部分が乾燥せず、雑菌が繁殖したり、劣化しやすくなることも。つるして干すなら専用のループつきのものにして、風通しのいい場所へ。

●NG例その7 熱湯につけて放置する

スポンジの除菌には、75~90℃の熱湯をかけるのがおすすめですが、そのまま放置はNG。すぐに細菌が繁殖しやすい温度帯(20~37℃)に下がってしまうため、即、水で冷やして。

●NG例その8 汚れた部分をカッターで切り落とす

汚れ部分だけをカッターで切って使うのは、もってのほか。カッターやハサミで切り口をなめらかに切るのは難しく、凹凸ができて引っかかり、ボロボロになりやすくなります。

一見、正しい除菌法に思える分、長く実践していた方も多いのでは? それでは、どうすれば正しく除菌できるのでしょうか? 教えて、スポンジ博士!

正しいお手入れ法はコレ!

まず第一に、使ったあとは汚れや洗剤をよく洗い、水気をきって風通しのよい場所で保管するのが重要。これを守って劣化する前にスポンジを交換していれば、特別なお手入れは必要ありません。とくに雑菌が気になった場合は、以下の除菌法を実践しましょう。

(1)1分以上、熱湯にさらす

熱湯にさらす

耐熱ガラスボウルにスポンジを入れ、やかんで沸かした熱湯を全体にゆっくりとかける。スポンジ全体を75~90℃以上の湯に1分以上さらすようにしましょう。

(2)すぐに水で冷まして水気をしっかりきる

水で冷ます

そのまま放置すると雑菌が繁殖しやすい20~37℃に冷めてしまうので、トングなどで湯から出し、すぐに冷たい水をかけて冷ます。その後、水気をよくきって風通しのよい場所で保管して。
「劣化しているスポンジを使い続けるのも菌の繁殖の引き金になるので、3週間を目安に取り換えましょう」(原井さん)

ほかにも、

ESSE3月号

では、なかなか注目されることのない台所スポンジを徹底解剖。家族の健康を守ってくれる、正しいスポンジの使い方を紹介しています。こちらもぜひチェックを!