人生の大きな買い物といえば、家です。自由にわが家をつくるのは憧れですが、そこで気になるのは、やはりコスト。最近では中古マンションを買って自分好みにリノベーションするのも人気です。でも、「興味はあるけど、いくらぐらいかかるかわからない」という漠然とした不安から、あきらめている人もいるのではないでしょうか。

「最近は在宅勤務など、働き方が多様化してきていることもあり、都心へのアクセスや駅からの距離よりも、環境のよさを優先して物件探しをする人も増えてきています。そうすれば物件選びの幅が広がり、比較的リーズナブルに中古マンションを購入して、その分リノベーションに費用をかけることができます」
そう教えてくれたのは、リノベーション雑誌『リライフプラス』の編集に携わる君島喜美子さんです。

リノベーション
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「駅近」だけが正解ではない!自分の環境に合わせて柔軟なリノベーションを

横浜市の築31年の低層マンション

それを裏づけるのが、君島さんが最近出合ったOさん夫妻。横浜市の築31年の低層マンションをリノベーションし、暮らしています。

最寄り駅からはやや離れているものの、緑が豊かでゆったりとした環境が魅力です。物件価格は1550万円、リノベーション費用は1100万円(税・設計料込)、広さは約72平米。トータル3000万円以内で理想の住まいを手に入れました。

リノベーションは選択肢がいろいろとあるだけに、予算とバランスを取るのが難しいという一面もありそう…。Oさん夫妻は、どのようにしてプランを絞り込んでいったのでしょう?

玄関からLDKまで続く美しいヘリンボーンの床

「Oさんがいちばんこだわったのは、玄関からLDKまで続く美しいヘリンボーンの床。そこにコストがかかる分、壁や天井はクロスをはがしたままにするなどして、バランスを取っています。でもそれは決して我慢しているわけではなく、その質感がかっこいいから、という前向きな理由によるもの。優先順位をきちんと決めて、柔軟な発想で臨めば、楽しみながら、オリジナリティのある家づくりができる。それがリノベーションのよさだと思います」(君島さん)

壁や天井はクロスをはがしたままにするなどして、バランスを取っています

以前は横浜駅近くの賃貸マンションに住んでいたOさん夫婦。総予算を3000万円と決めていましたが、「そもそも総予算が現実的じゃない金額なので、内装には少し手を加えるだけになるかも」と思っていたそう。そのなかで安っぽくならず、自分好みにするにはどうすればいいか、ということについて、物件探しと同時にリノベーション会社に相談に乗ってもらうことにしました。

緑が豊かな南西角部屋のマンションにひと目ぼれ

エリアを広げて探すうち、駅からはやや遠いものの、緑が豊かな南西角部屋のマンションにひと目ぼれ。物件価格が1550万円と抑えられたことで、リノベーションに予算を振り分けることができました。

カフェのようなコンクリート現しの壁がインパクト大!

カフェのようなコンクリート現しの壁がインパクト大! 「壁紙をはがしたら抽象画のようで、気に入ってそのままにしたそう。好みのインダストリアルな雰囲気が出てよかった、とOさん夫妻も満足しています」と君島さん。

各居室の引き戸は天井までの高さがあり、閉めきると壁と一体化するつくり。比較的低価格な合板を使用してコストも抑えています。

リノベした空間を上手に住みこなしています。

好みの空間を手に入れたO夫妻。コンクリート現しの壁に好きな絵を飾ったり、お気に入りの小物を窓際に並べたりと、リノベした空間を上手に住みこなしています。

「うちは予算が潤沢にあるから悩まない」というケースはまれ。でも逆に予算が限られているからこそ、自分たちの優先順位を考えて、納得しながらプランを絞り込んでいくことができるのかもしれません。発売中の『

リライフプラスvol.27

』では、ほかにも「家とお金」について考え抜かれたお宅が多数取り上げられています。ぜひチェックしてみてください。