季節はずれになってしまった正月用のおもち、「ストック用」と称するもいつまでストックするのかわからない缶詰、好みに合わなかった海外土産の調味料…。使いきれない、でも捨てるにはしのびない。そういったもてあましている食材をどうしていますか?

 じつは今、「サルベージ・パーティ」というイベントが注目されています。これは、もてあましている食材を参加者が持ち寄って、その場でみんながメニューを考えて料理するシェア・パーティのこと。一体どのようなものなのか、事情に詳しい野菜ソムリエの和田順子さんに詳しく話を聞きました。

イベント性のあるサルベージパーティ
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イベント性のあるサルベージパーティで、食べずに捨てる「フードロス」を減らす!

 サルベージ・パーティは、2013年から始まった、家庭から出るフードロスを減らすための取り組みです。私は昨年10月に、サルベージパーティを開催することのできる資格「サルベージ・プロデューサー」を取得しました。

 サルベージ・パーティではその場に集まった食材のみを使って、みんなで料理をします。私が準備するのは基本的な調味料だけで、まさにぶっつけ本番。これまで7回開催してきたサルベージ・パーティで、じつに51品の全く新しい料理が生まれてくるのを目の当たりにしました。

 なかにはもちろん、大きな声では言いにくいのですが、あまりおいしくなかったものもありました(笑)。けれど一方で、おいしい料理はもちろん、新しい食材の使い方や組み合わせとの出会いもたくさん経験。今回はそのなかから、主婦目線で選んだ「これは使える!」レシピをいくつかご紹介したいと思います。

1.ちらし寿司の素で時短中華サラダ

使われずに余っていたもの:ちらし寿司の素

ちらし寿司の素で時短中華サラダ

 ちらし寿司の素はひと袋にだいたい2パック入っています。ひな祭りのときに1パック使い、もうひとパックをあまらせる…ということが起こりがち。

そこでおすすめなのがサラダです。ちらし寿司の素だけをちょっと味見してみると、「ニンジンやシイタケなどの野菜が、濃いめの甘酸っぱい調味液で味つけされているもの」だということがわかりました。そこで、タマネギやジャガイモを細切りにしてレンジでチン。春雨も湯通しして食べやすい長さに切ります。素・野菜・春雨を合わせて最後にごま油をひと回しすると、あっという間に甘酸っぱい中華サラダのできあがり!

 調味済みの「素」は味つけに失敗がないので、忙しいときにパッと味が決まるのはうれしいですよね。サラダのほかにも、野菜炒めに入れてみたり甘酢あんに転用してみたり、いろいろ活用できそうです!

2.根菜チップス、ホットチリ味

使われずに余っていたもの:ホットチリ味のポテトチップス

根菜チップス、ホットチリ味
余った食材を「サルベージ・パーティ」で楽しむ!

 いただいたもののなかなか手が出なかったというホットチリ味のポテトチップス。それを「おやつ」としてではなく「おつまみ」に変身させました。

 ジャガイモやカボチャなどの根菜をスライスして揚げ、チップスに。そこにポテトチップスを混ぜてホットチリ味のチップスにしました。味の濃い加工品はこうして薄味の野菜などと混ぜると、飽きずに食べることができます。

 おやつの食事への転用は意外とできるもので、ポップコーンをクルトン代わりに使ってみたこともありました。

3.甘酒のとろとろ煮

使われずに余っていたもの:甘酒

甘酒のとろとろ煮

 甘酒は、体によいとわかっていても好き嫌いの分かれる食材です。私も酒粕の香りがちょっと苦手で、飲めてもほんのひと口だけです。その甘酒を調味料として使うことで、酒粕の香りを感じさせず、でもコクのある煮物ができました。

 持ち寄られた夕顔(かんぴょうの原料になるウリ科の植物)と絹豆腐を食べやすい大きさに切り、夕顔を油で少し炒めてから甘酒でコトコト煮ます。豆腐を入れてひと煮立ち、仕上げに味噌を加えてできあがりです。夕顔・絹豆腐・甘酒、どれもとろりとした食感で、白ごはんが欲しくなる絶品おかずができました。

4.ゴーヤの肉詰め

使われずに余っていたもの:ゴーヤ

ゴーヤの肉詰め

 ゴーヤは、これからの時期の家庭菜園で人気の野菜のひとつです。ゴーヤカーテンも、夏になるとよく見かけますね。

 ゴーヤの使い道、「ゴーヤチャンプルー」以外に知っていますか? 特有の苦みで子どもが食べにくい食材のひとつでもあり、お子さんが小さいご家庭では食卓になかなか並びにくいのではないでしょうか。そんなゴーヤを豪快に、かつ苦味を押さえて食べられるのが「ゴーヤの肉詰め」。

 ゴーヤを横に割って種を取り除き、ボートのような形にします。種を取ったくぼみに、ひき肉・みじん切りのタマネギ・卵・塩・コショウを混ぜてつくったあんを詰め、チーズをかけてオーブンで焼きました。高温のオーブンでじっくり焼くと苦味が薄まり、みんなが好きなひき肉&チーズと組み合わせることで、子どもでも食べやすいひと品に。また見た目にインパクトがあるので、ミートローフ感覚でパーティー料理にもなります。

5.サバ缶とトマト缶の焼きうどん

使われずに余っていたもの:サバ缶と乾麺

サバ缶とトマト缶の焼きうどん

 缶詰と乾麺は、じつはサルベージ・パーティで持ち寄られるもののベスト3に入ります。つまり、どのご家庭にもありがちな食材ということ。この組み合わせを知っていたら急な来客でも困らないかもしれません!

 サバに含まれるうま味成分イノシン酸と、トマトに含まれるうま味成分グルタミン酸。合わせると相乗効果でうま味が何倍にもなります。サバ缶にもしっかり味つけされており、さらにうま味ぎっしり、「おいしい!」が必ず聞ける焼きうどんです。

 いかがでしたか? 私たちは「レシピどおりにつくらなければ…」「肉じゃがとはこういうもの!」という、ある種の正解を求めて料理をしています。けれど本来料理は、おいしく楽しく食べられればそれでOKなはず。サルベージ・パーティでは「レシピから卒業しよう!」を合言葉に、新しいチャレンジをどんどん推奨しています。気になったレシピがあれば、ぜひやってみてくださいね!