幸栄です。パン教室「toiro(トイロ)」を主宰しています。初めてパンを焼いたのは、長女の出産から1か月後のこと。あの日から試行錯誤を重ね、今は卵とバターを使わないパンのレシピをつくっています。パンを焼きながら、2人の娘の母としても、楽しみや大変さをたくさん感じる日々。毎日のなかで見つける、ささやかな幸せや楽しみをつづっていこうと思います。
色とりどりの花を愛でて、春を感じる季節がやってきましたね。今回は、チューリップを使った春のテーブルコーディネートと、チューリップの楽しみ方をご紹介します。
チューリップを主役にするだけでテーブルが春らしく
チューリップは、束でテーブルに飾るだけで、ぐんと華やかな印象が演出できます。こちらは、春が近いとある日のパン教室の風景。ピンクが大好きなので、優しい春のピンク色をテーマにしたテーブルに仕上げました。
主役はテーブルの中央に。少し高さのある、IKEAの透明の花ビンに飾り存在感を出しました。淡いピンクが映える、やわらかい白のリトアニアリネンのテーブルクロスは、最近新調したnotPERFECTLINEN(ノットパーフェクトリネン)のもの。
紙ナフキンや、デザートなどでピンクを取り入れると、テーブルに一体感が出てきます。その際、チューリップよりも淡めの色を選ぶとまとまりがあり優しい雰囲気に仕上がります。
チューリップの種類をちょっと変えるのも楽しい
同じピンクのようですが、じつはチューリップの種類によっても1本ごとに色が微妙に違うので、そのわずかな違いを楽しむのが好きです。あえて同系色で濃さが違うチューリップを選び、グラデーションにするのもすてきだと思います。また今回は、普通の形のものプラス、ふちがギザギザの花びらがフリルのように広がった、「フリンジ咲き」のものを2本だけ混ぜました。同じ色で種類を変えるのも、動きが出ておすすめです。
チューリップは時間とともに、花がふわあっと開いてくるのですが、寒いところへ移すとその花がまたゆっくり閉じてゆきます。その姿を見ていると、「ああっ、あなたも生きているんだよね」と、たくさんの元気をもらうことができます。花ビンを置く場所を変えて楽しんでみてくださいね。
チューリップは開ききってからも、しばらく楽しめます!
そして、開ききったチューリップも魅力的なのですよ。たとえばこちらは、フリンジ咲きのチューリップたち。花が大きく開くとともに首を垂れて、なんとも言えないやわらかな美しさ。もちろん普通の形のものも、大きく開くと大胆な美しさがあります。
いかがでしょう、とてもきれいですよね。ほかのお花だと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。先日、行きつけのお花屋さんに行ったとき、そこにも開ききった白いチューリップが飾ってありました。本当になんとも言えない美しさにうっとりしながら、「この美しさに気づけば、チューリップに魅了される人は増えるはずだ!」と、オーナーさんと熱く語り合いました(笑)。
いちばんきれいな瞬間ももちろんいいのですが、少しずつ朽ちてゆく、そんな花のはかない美しさを、じっくりと楽しんでみてはいかがでしょう。
【幸栄(ゆきえ)】
1979年広島県生まれ。「はな」と「ひな」2人の娘をもつ。モデルとして活躍したのち、長女の出産を機にパンづくりに出合う。ベッカライダブルハウスにて、製造補助をしながらパンについて学び、 2010年から卵とバターを使わないパン教室、
toiroを始める。 著書に『
「ちょっとのイースト」で作る ベーグルとピザの本 (生活シリーズ)』(主婦と生活社刊)、『
パウンド型で焼けるおいしい食パン』(家の光協会刊)、『
あかちゃん、こども、おとなのパン―はじめてのパンづくり』(アノニマスタジオ刊)などがある。