マンガ家でありながら、整理収納アドバイザーの世界に足を踏み入れ、さまざまなお宅をウォッチングし続ける葛西りいちさん。部屋見せアプリ系ヘビーユーザーに代表される、雑貨に囲まれた暮らしが、最近少し気になる様子です。インテリア&整理収納の常識にとらわれず、独特の観察眼と思考から、葛西さんが今はやりのインテリアに一石投じます。
掃除のしやすさで考えると、雑貨はひとつもない方がいい!
こんにちは、先日、知人から「アドバイザーさんってやせてる人多いよね?“汚部屋”の人って太ってる人多いし」と言われ、苦笑いしかできなかった体脂肪率33%の葛西りいちです。【整理・収納アドバイザーは見た!】どうぞおつき合いください。
みなさんは極力シンプルな部屋と、好きな雑貨がたくさんディスプレイされたお部屋、どちらがお好きですか?SNSなどで部屋を見せるアプリなどでは、圧倒的に後者のほうが多いような気がします。見せるものが多いから写真の撮りがいもあるでしょう。見せびらかしがいもあるのでしょう。
結局どちらのほうが暮らしやすいのでしょうか?
それは確実に前者です。こんなことを書くと、毎日のように3コインズやセリア、サリュ!などで雑貨を見るのが大好き!という部屋見せアプリ系ヘビーユーザーを激怒させそうですが、恐れずに言います。「暮らしやすさ」だけで言えば確実にシンプルの勝利です。雑貨なんか、本来ならひとつもない方がいい。
なぜそう言い切れるか。それは掃除量が関係しています。たとえば図のようにウォールラックになにか雑貨を並べたとします。ここをハタキで掃除する場合、何回のアクションが必要でしょうか?まず置物や写真をおろし、棚の上面を掃除し、ホコリのついた置物などもきれいにし、そして棚に戻します。最低でもこの4アクションが必要です。
しかし、ここにウォールラックそのものがなかったら?アクション数はゼロです。
シンプルな部屋が最強!雑貨を飾ればホコリとの戦いが待っている
だから「暮らしやすさ」の点だけでいったらシンプルが最強なのです。雑貨は生活の必需品ではありません。後者を選んで生きる場合、ほぼ毎日「ホコリとの戦い」が待っています。しなくていい苦労を自らお金で買うようなものです。
ただ、人間はロボットではありませんから、好きな雑貨に囲まれてゆっくりお茶したいとか、今度のお休みは、このウォールラックに飾る可愛いオーナメントを見に行こう!とか、日々の疲れをこういったもので癒すという方も多いでしょう。
そこまで雑貨に重きを置いているならば、多少の掃除はガマン。そして、掃除がマメにできないと自覚している方は、雑貨とのつき合い方を見直してみませんか?今どきはたくさん、自分のごちゃごちゃした部屋を見せびらかすアプリがあります。そういう人の部屋を見て「私もこうしてみたいけど、お金も時間もセンスもない…」などと悲観的にならず、「私の目の保養のために、こんな掃除のめんどくさそうな部屋を維持してくれてる」くらいに思ってみませんか?なんて卑屈な考え方…とか言わないで!
【葛西りいち(かさいりいち)】
漫画家。結婚とともに整理収納に目覚める。2015年に整理収納アドバイザー2級を取得。1級所持の先輩にくっついていってアシスタント的なことをやったり、家事代行の仕事をちらほらやりつつ現在1級取得を目指し勉強中。近著に『
零戦少年』(秋田書店)、『
へっぽこママはギブ寸前!!』(ぶんか社)。