マンガ家でありながら、整理収納アドバイザーの世界に足を踏み入れ、さまざまなお宅をウォッチングし続ける葛西りいちさん。最近、流行のファイルボックスを使った収納術が気になると言います。インテリア&整理収納の常識にとらわれず、独特の観察眼と思考から葛西さんが感じたこの収納術の落とし穴とは、はたして?

はやりのファイルボックス収納の落とし穴

 こんにちは。掃除をしていたら、ガスレンジの五徳の汚れがどうしても取れず、ガス会社に勤める知人から「五徳って消耗品だよ。一個2000~3000円だから掃除するより汚れきったら買い替えたほうがラクだよ」と言われてびっくりした葛西りいちです。五徳って消耗品なの!?というか、売ってるんだ! でもたぶん買わずに今後も五徳の汚れと格闘します…。そんな貧乏性・葛西の【整理・収納アドバイザーは見た!】どうぞおつき合いください。

はやりのファイルボックス収納の落とし穴
はやりのファイルボックス収納の落とし穴

 パントリーや階段下の収納にぎっしりとカゴや書類ケースが詰まっているという記事を、雑誌やネットなどで見かけませんか?とくに最近のファイルボックスは服を入れてよし、薄いバッグを入れてよし、大きめの調味料だってすっきり3本入れたりできます。しかも整理後の見た目が非常にキレイですばらしい!ファイルボックスが誕生してから何年たつのかはわかりませんが、これほど用途がここにきて劇的に変化したアイテムも珍しいのではないでしょうか。

 そしてよくその手の記事には、「入れものを買う際はきちんと測って、何個入るかを考えて」みたいなことが書いてあります。でもこれって少しおかしくないですか?その棚の中を片づけたい場合、問題になるのは「ボックスが何個入るか」ではなく、「ボックスになにをどれだけしまうのか」ですよね?

収納したら使いにくくなっては本末転倒!

 私のお客様にもいらっしゃいました。パントリーの上から3段目を調味料入れにしたいと。しょうゆとお酒とみりんでファイルボックスを1個、油2種とめんつゆで1個。合計2個のファイルボックスで十分なのに、その方は棚に入るだけのケース(7個)を購入し、収納に使っていました。そして、ファイルボックスの中をのぞくと、背の低い調味料が取り出しにくい状態に。「使いにくいんですよねぇ」とおっしゃりますが、そ、そりゃそうでしょう。

 このように中に入れるものはあとから考えればいいやとばかりに「とりあえずキレイに箱やカゴを並べて置く」というのが目的になってしまっている人、非常に多いです。そして使いにくいさに困って他人に整理をお願いする。こういったお客様にヒアリングするとやはり雑誌やネットなどでそういった整理術の特集記事を「ちゃんと読みすぎて」いるのです。ある意味真面目ということですね。

 もちろんそろっていることはとても気持ちがいいですし、できればそうしたい気持ちもわかります。しかし、入れるものの量より多く買うことはおすすめしません。散らかる元です。隙間があったって、スカスカだっていいのです。ぎっしりと詰めることからまず離れてみましょう!「いつかここになんか入れるかも」と言って入れ物を先に買ってしまうと「使いもしないレトルトを適当に入れるボックス」になることになるのがおちです。

【葛西りいち(かさいりいち)】

漫画家。結婚とともに整理収納に目覚める。2015年に整理収納アドバイザー2級を取得。1級所持の先輩にくっついていってアシスタント的なことをやったり、家事代行の仕事をちらほらやりつつ現在1級取得を目指し勉強中。近著に『

零戦少年

』(秋田書店)、『

へっぽこママはギブ寸前!!

』(ぶんか社)。