簡単に調理できて、いろんな食材と相性ばっちり。しかも安い!そんな優秀な食材「卵」。卵しかなくても、卵かけご飯や目玉焼きなど、十分おいしく食べられます。それがよいのか、悪いのか今日も私の冷蔵庫には卵だけ…。
さて、いったいなにをつくろうか?
そう言えば、以前取材でもお世話になったあの人がいた!科学的な視点で料理を研究している松浦達也氏。最近『新しい卵ドリル』という本を執筆されておりましたっけ。これはおすすめを聞いてみるしかない!ということで、図々しくも電話して相談してみることに!
冷蔵庫に卵とご飯しかない!2素材でできる料理を教えてください
こんにちは。松浦さん、うちの冷蔵庫に卵とご飯しかなくて… おなかを満たしてくれる、ご飯をつかったレシピを教えていただけないでしょうか?
「オーケー。わかりました、教えましょう。僕がおすすめするのはチャーハンです」
油で炒められたご飯に、何種類もの具材が輝くみんな大好きなチャーハン。考えただけで、よだれがでてきそうです!って、松浦さん!うちの冷蔵庫には卵とご飯しかないんですってば!
「大丈夫!卵とご飯だけでも最高においしいチャーハンができるんです」
チャーハンに卵はいつ入れる?パラパラに仕上がるコツ
「卵とご飯だけでおいしいチャーハンができる!」
なんと心強い言葉でしょう。しかも家庭用のコンロでも中華料理屋さんのようなチャーハンができるとか。ポイントを聞いてみました。
ポイント1:ご飯はあたたかいものを用意する
「できるだけ短時間で炒めるのがコツ。冷たいご飯からだと、炒める時間が長すぎて水分がぬけてしまいます。ご飯を必ず温かいものを用意しましょう。冷や飯なら、レンジで軽く温めて。冷凍のご飯を使うときは、最後の20秒だけラップを外すと水分が少し飛んで、チャーハンにぴったりのご飯になります」
なるほど。冷たいほうがパラパラになるのかと思っていました。
*残り約20秒でいったんストップ
*ラップを外して加熱を再開します
ポイント2:TKG式はダメ!卵に含ませた油を米全体にまとわせる
巷でよく聞く「TKG式チャーハン」。あらかじめ卵かけご飯をつくっておき、フライパンで炒めることでパラパラのチャーハンをつくる方法です。
「確かにパラパラのチャーハンをつくるのは達成感があるけど。おいしさという点ではおすすめできません」
むむ、その心は!
「コメ全体が卵に包まれることで、もっさりとした味と食感に。卵だけが炒められすぎて、パラパラではなく、食感が『パサパサ』になってしまうんです。また、コメが直接、鍋肌で炒められないので、コメの香りも立ちません。まずはフライパンを強火で熱し、温まったら油を入れます、溶き卵を加えたらすぐにご飯を入れて短時間で炒めましょう。この時、フライパンをあおるのは鍋が熱源から遠ざかってしまうのでNG。強い火力がしっかり鍋に当たるよう、置いたまま炒めましょう」
*卵を入れたらすぐご飯を入れる
なるほど。“コメを炒めてこそチャーハン”というわけですね!
ポイント3:「醤油をこがして風味をプラス」はウソ!調味料はご飯にかけて
「醤油をこがすと、調理中は香ばしい香りがしてテンションが上がるのですが、じつはやってはいけない方法。そんなことをしなくても、しょうゆは香ばしさを持ち合わせていますから、ご安心を。鍋肌でこがすと、全体に混ざらないうえに一瞬で蒸発してしまい、妙な味ムラが生じてしまいます」
一瞬の楽しさだけでなく、味を重視するべし、ということですね。
ポイント4:最後に水分を加えると香りがホワァ~っと立ちのぼる!
「最後にスープや水を大さじ1ほど加え、全体に水蒸気をまとわせます。この水分がホワァ~と香るポイントに。好みでうま味調味料を投入してもいいですよ」
なるほど、この4つのポイントを守れば、中華料理屋さんのようなチャーハンができるんですね。
さて、できあがりました!実食してみたら、確かにいつものチャーハンとは違って、おいしいぞ!
具材がないから物足りないかも…と思っていましたが、卵だけでも十分満足!炒めたコメの香りが食欲をそそります。ぜひお試しを!
【松浦達也さん】
フード・アクティビスト。編集者/ライター。食専門誌から新書まで、幅広いジャンルで執筆。テレビ・ラジオでは食のトレンド解説を行うほか、マンガ大賞の選考委員もつとめる。著書に『
家で肉食を極める! 肉バカ秘蔵レシピ 大人の肉ドリル』『
新しい卵ドリル おうちの卵料理が見違える!』(ともにマガジンハウス刊)ほか、『家メシ道場』『家呑み道場』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)はシリーズ10万部を突破。