増えすぎたものに囲まれて、毎日イライラしている人はいませんか?「ものが多くても、気持ちよく暮らすことはできますよ」と教えてくれたのは、雑貨店「hal」オーナー・後藤由紀子さん。好きなものにこだわることや、愛用品を大切に使うことなど、もの好きだからこそわかる、ものとのつき合い方を伺ってみました。

1つより3つ。同じテイストなら、ものが多くてもすっきり暮らせる!

く使える、使い回せるものの選び方
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「よく人から『10年前と同じ格好だね』と言われるんですが、それって私にとってはほめ言葉。好みがブレないことは、じつはすっきり暮らすことにもつながっているように思うんです」と後藤さん。

 身にまとう洋服はもちろん、家で使う器や家具も、流行に左右されない自分の好きなものばかり。長く使っても飽きのこない「そっけないほどスタンダードなデザイン」で、色も白や茶、紺などのベーシックなトーンがお気に入りです。

「こう見えてわが家は、ものが多い方で(笑)。でも、それが悪いこととは思いません。たくさんあってもテイストがそろっていれば、すっきり感じるんです。それに、たとえば他人が見たら似たものに見えるかもしれないけれど、自分が気に入った3足の靴をもてば、1足ずつの使用頻度は低くなり、それぞれが長もちすることに。結果的にムダな買い物をせずにすむし、自分のスタイルをつくりやすいように思うんです」

気に入ったものは手入れをしながら長く使います

「40歳を過ぎてからは、余生をともにするつもりでものを選んでいるので、ますます自分の『好き』にこだわるようになった気がします」

 そうやって手に入れたものたちは、メンテナンスや修理をしながら、10年、20年と使い続けます。

 靴は、下ろす前に底ばりし、シューキーパーで型崩れを予防。器も小さな欠けならヤスリで磨き、気にせずに使います。洋服はできるだけ家で洗える素材を選びますが、ニットは大事をとってクリーニングに。

「これから先は、今あるものでなんとかし、必要に応じて少し買いたすくらいになるのが理想です」

後藤さんが長く使っているものたち

・10年選手のボーダーシャツ

10年選手のボーダーシャツ

フランスのマリンシャツメーカー「オーシバル」のボーダーは10年来のおつき合い。「シルエットがコンパクトでカジュアルになりすぎないのが好き。黒いスカートと合わせることが多いかな」

・父と買った思い出のお盆

父と買った思い出のお盆

20代のときに、お父さまに連れられて訪れた園芸店兼リサイクルショップで見つけた木のお盆。「ふちの漆と花模様に魅せられて、父にお金を立て替えてもらって買ったのを覚えています」

・独身時代から使っているバターケース

・独身時代から使っているバターケース

使い込んだあめ色のバターケースは、三谷龍二さん作。「『ファーマーズテーブル』という雑貨店で働いていた22、23歳頃に出合ったもので、これは一生ものです」。バターがかたくならず塗りやすいそう

・結婚披露宴で履いた靴

結婚披露宴で履いた靴

20年来愛用している「オーロラシューズ」。サンフランシスコの靴職人による手づくりで、細部まで気の利いたつくりに感動しました。最初はかたかった革も、今ではすっかり後藤さんの足形に

・18歳で出合ってから何代も愛用している置き時計

18歳で出合ってから何代も愛用している置き時計

高校時代に雑誌で見て、東京まで買いに走った「ブラウン」の時計。写真は2、3代目で、各部屋の置き時計として使っています。「ドイツ製らしい質実剛健さ。シンプルな数字もかわいい!」

・結婚祝いに母からもらった鉄ビン

結婚祝いに母からもらった鉄ビン

26歳の結婚時に、お母さまがもたせてくれた記念の品。後藤さん自ら、シンプルで飽きのこないデザインのものをリクエストしたそう。ヤカンはもたず、お湯を沸かすときはもっぱらこれを使用

【後藤由紀子さん】

静岡県・沼津にある雑貨店「

hal

」オーナー。そのセンスのある確かな品ぞろえが人気となる。近著に『

狭くても、料理が楽しい 台所のつくり方

』(日本文芸社刊)『

毎日のことだから。7分目くらいがちょうどいい

』(PHP研究所刊)など hal/10:30~16:00 水曜定休