夏の勢いを感じさせる、暑い日が続いています。こんなときこそ、暑中お見舞いなど、「季節のお見舞い」の手紙を書いてはいかがでしょうか。
日頃お世話になっている家族や友人、習い事の先生や仲間、職場の上司・先輩や同僚、取引先の方などに、感謝の気持ちを伝えるにもよい機会。普段メールやSNSしか使っていない人にとって、なにもないときに、いきなり手紙を出すのは少し勇気がいりますが、「暑中お見舞い」なら、そのきっかけになります。
「暑いだろうな」が出しどき
暑中お見舞いを出す時期については、諸説あります。二十四節気の小暑(7/7頃)、梅雨明け後、または夏の土用(立秋の前の約18日間。7/30ごろ)から、立秋(8/7ごろ)までといわれています。
「結局、いつ!?」といわれそうですが、暑中お見舞いは、夏のもっとも暑い時期に、相手の健康を気づかって送る手紙。相手の地域が、「とくに暑そうなときに出す」と覚えておくとよいのではないでしょうか。「暑いだろうな」「お元気にされているかしら」と思ったときが、出しどきです。
立秋(8/7ごろ)をすぎてから出す場合は、“秋になってもまだ暑さが残っている”と言う意味で、「残暑お見舞い」となり、処暑(暑さが和らぐという意味)(8/23ごろ)~8月末ごろまでが、出す時期の目安です。
紙選びは清涼感を意識して
手紙の見た目の印象は、レターセットやポストカードの絵柄によってぐっと変わります。
たとえば、風鈴、金魚、貝殻、ビーチ、かき氷、ビール、スイカなどは、手紙を手にした瞬間に「涼やかさ」が伝わり喜ばれます。また、朝顔、ヒマワリ、ハイビスカス、ホオヅキなど、夏の植物も季節感が伝わり◎。絵柄に合わせて、切手を選べば、あなたは手紙上級者。コーディネートを楽しみましょう。
差がつく! 暑中見舞いの便利なフレーズ
書き出しのフレーズは、ご存じのとおり「暑中お見舞い申し上げます」。ほかの文字より、やや大きめに書きます。そして、季節感のある言葉とともに、相手を気づかうひとことを。
季節感のある言葉といっても、「うっとうしい蒸し暑さ」「毎日耐えがたい暑さが続き」など、暑さをネガティブに捉えた表現は、相手を不快にさせてしまうのでNG。暑いからこそ感じる「涼」、夏の「パワー」に目を向けてみては、いかがでしょうか。
NG例:
・うだるような蒸し暑さにグッタリな毎日、お元気ですか。
OK例:
・太陽がサンサンと輝く夏
・ビールがおいしい季節
・風鈴の音に涼しさを感じるこの頃
・青空をあおぐヒマワリに元気をもらいますね。
・遠くからにぎやかな祭囃子が聞こえてきます。
上記のOK例に、お元気ですか/いかがおすごしでしょうか/お変わりありませんか/お元気におすごしのことと存じます などを組み合わせれば、それだけで季節感も相手への気づかいもばっちり! メールの書き出しに使ってもいいですね。
近況報告は相手を安心させる表現を
書き出しに続く本文では、自分の近況報告をします。このとき、注意したいのは、相手を心配させるような表現は避けるということです。
NG例:
・連日の暑さに、すっかり夏バテぎみで…
・クーラー病で食欲不振ですが…
OK例:
・小学校のプールから聞こえてくる子供たちの声に、元気をもらっています。
・暑さに負けず、毎朝のウォーキングに励んでいます。
・雑草たちの生命力にパワーをもらいながら、ガーデニングを楽しんでいます。
勢いが感じられる元気な表現で近況報告することで、相手に安心してもらうと同時に、元気なエネルギーが相手にも届けられます。
手紙の最後には、「くれぐれもお体を大切に」「ご自愛ください」「元気な夏をおすごしください」「ハッピーな夏になりますように」など、相手の健康や幸せを祈ることばを添えましょう。
相手を思い、心を込めて書き終えたころには、書いた自分自身も、なんだかパワーがあふれ、元気になっているから不思議。相手も自分もハッピーになる手紙の力ですね。
【青木多香子さん】
(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント。「人を癒し、励まし、幸せにする」手紙を広めるために雑誌、書籍、セミナーなどで活動。ブログ「
手紙、おくります。」