多少ムチャなお願いでも、なんとか相手に聞いてもらいたい!そんなシチュエーションって、結構ありませんか?「相手にうまく伝えられない」という悩みを持つ方にアンケートをとったところ、様々な相談が寄せられました。そのなかからお困りのケースをピックアップ。状況にぴったりのスマートなお願いの仕方をご紹介します。教えてくれたのは、大人のコミュニケーションに詳しいコラムニストの石原壮一郎さんと、話し方研修を数多く手がける大嶋利佳さんです。
【お願い上手になる方法】相手にYes!と言わす
●Case1 伊藤涼子さん(仮名・42歳)
<お悩み>今週末に回ってくる町内会の当番。都合が悪くなってしまい、できればだれかに代わって欲しい
すべての画像を見る(全2枚)あらかじめ予定がわかっていたはずの当番を代わってほしいとお願いするのは心苦しいもの。“お願い上手”になるにはどうすれば…?
大嶋さんいわく「あれこれ言いわけをするよりも、単刀直入に『代わってもらえない?』と聞いてみるといいですよ」。
不特定多数の相手に「だれか代わってもらえない?」と聞くより、1対1で交渉する方が効果的。「申しわけないんだけれど」「言いづらいんだけれど」ときり出せば、雰囲気もやわらかくなり、言いやすくなるそう。
交代してほしい理由は「どうしたの?」と質問されてから答えるのがポイント。最初からくどくど説明すると、「面倒なことを頼まれそうだ」と相手を身がまえさせてしまいます。
「相手に断る口実を考えさせないためにも、シンプルにズバッとお願いするのがコツです(笑)」
<ベストなお願いの「ものの言い方」>「申しわけないんだけれど、日曜日の××代わってもらえない?」
●Case2 湯川美智子さん(仮名・32歳)
<お悩み>「ありがとう」「さすがだね」とリップサービスばかりの夫。もっと家事を手伝ってほしい
「優しい言葉をかけてくれるのはいいけれど、口ばかり達者でちっとも手を動かしてくれない。洗い物をするとか、洗濯物をたたむとかできることはあるはずなのに!」という、湯川さん。感謝の言葉を言わないよりはマシだけれど…とモヤモヤをため込んでいる人が少なくないよう。
夫にもっと家事を手伝ってほしい。そんな願いをかなえる「ものの言い方」のポイントは「してほしいことを具体的に、感謝の言葉とともに伝えること」(大嶋さん)。
こまごま指示しないとわからないなんて、自分でやった方が早い…と思うかもしれません。でも、そこでの辛抱が“家事ができる夫”を育てることにつながります。
「ときには『あなたの掃除機をかける姿ってホントすてき!』と大げさにおだててみることも効果的です」(石原さん)
<ベストなお願いの「ものの言い方」>「いつもありがとう。流しにあるお皿を洗って、洗いカゴに伏せておいてもらえると助かるわ」
ママ友と義母では「ベストな言い方」が違います
今回の調査結果では、9割以上の読者がママ友または義母への「ものの言い方」に悩んでいました。
前出の大嶋さんによると、言いたいことを言いながらも、人間関係がうまくいく人の「言い方」の特徴は主張がわかりやすく、さっぱりしていること。
「さらに、ママ友同士の場合は『筋がとおっていること』も大事です。性格も価値観も違うママ友たちとうまくやっていくには“ルール”が必要不可欠。感情に振り回されず、理詰めで話すよう、心がけて」
一方、相手が義母の場合は筋をとおしすぎるとプライドを傷つけ、かえって話がこじれることも。
「義母はひとりしかいませんし、一生つき合わざるをえない相手でもあります。家庭ではルールより気持ちを重視し、義母の性格に合わせた『ものの言い方』でアプローチすることをおすすめします」
●人間関係がうまくいく『言い方』の3箇条
1:わかりやすい
2:さっぱりしている
3:筋がとおっている
【石原壮一郎さん】
コラムニスト。’93年に『大人養成講座』でデビュー。『大人モノ』の元祖&本家として活躍。大人のコミュニケーションに造詣が深く、人生相談本の収集家でもある。「
「大人の言葉の選び方」」(日本文芸社)『
大人力検定』(文春文庫PLUS刊)、『
石原壮一郎のオトナの怒り方』(青春新書プレイブックス刊)など著書多数
「大人マガジン」
【大嶋利佳さん】
株式会社スピーキングエッセイ取締役講師代表。ビジネスコミュニケーション全般の研修を手がける傍ら、雑誌や書籍の執筆監修、講演なども多数行う。著書に「
なぜあの女(ひと)の話し方は「強くて美しい」のか?」(三笠書房 知的生きかた文庫)『恥をかかない、“さすが”と思わせる言葉づかいの技術』(産業能率大学出版部刊)など
「大嶋利佳の書く・語る・空手の日々」