画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん。高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。年金暮らしの小笠原さんは、自他ともにみとめる節約家で、1日1000円というルールで生活をしています。そんな小笠原さんの節約を意識した食事について紹介します。

小笠原洋子さん
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節約家が食べる「粉もの」レシピ

お好み焼きやもんじゃ焼き、パンケーキ、クレープにガレットなど、「粉もの」料理やスナックは人気ですね。だいたいが卵や乳製品が入っています。節約家の私も朝に「粉もの」を食べることもありますが、卵も牛乳も入れない、安価な「粉焼き」をよくつくります。なかでも、薄力粉やてんぷら粉などよりは全粒粉が好きで、粒子の荒い粉を水で溶いて焼くのが好きです。ふくらみがない点では、ニラの入らないチジミに近いかとも思いますが、味つけもしない点が風変りだと思います。

「えー? まずそー」。だいたいの方がそう思われるかもしれません。粉の素朴な味が私は好きなのです。粉には深ーいところに味わいがあると思っています。

粉焼き
粉焼き

これを時々ご飯代わりに、そう、ナンのように食べる「粉焼き」が好物です。バターが入っていると風味も口当たりもまろやかになるし、栄養価も高めますが…なにしろ高価です。私はむしろこのモソモソして食べにくい粉焼きの、「手ごわい」生地の食感を、楽しみたいのです。

パンをほとんど買わなくなった理由

ライ麦パン
ライ麦パン

市販のパンでも、白くて柔らかい日本の食パンではなく、黒くて固いドイツ式パンが、私の絶対的好みです。「食は脳にあり、食は想像にあり」とは自説ですが、『アルプスの少女ハイジ』にでもなったような気分になれるからかもしれません。ハイジは、焼きたてのふわふわパンをペーターと一緒に牧草地で食べたそうですが、小麦粉よりライ麦や雑穀の生産が土地柄なら、実際は黒パンのことが多かったことでしょう。

近頃、新しいパン屋に行くと、バターたっぷりのデニッシュタイプが多く、しかも一個の値段がどんどん高くなっていくので、節約家の私はほとんどパンを買わなくなってしまいました。それで「小笠原式粉焼き」一筋になっていったのです。

ところで全粒粉焼きにしても、黒(ライ麦)パンにしても、私はオリーブオイルをつけて食べることがあります。オリーブオイルもわが家の経済状況からいえば高価ですが、ほかの油は一切使わず、すべてオリーブオイルに統一してシンプル化を図りつつ、体を気遣っているつもりです。シンプルイズベストです。