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品薄マスク売り場の現状。転売のハードルが下がった2つの事情とは

中野一気
2020.03.06
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●時間に余裕のある人しか買えない現状

周辺の別のドラッグストアでも状況を聞きました。ここの駅周辺では、先の店舗以外では入荷がない店舗が多くを占めました。一方、駅から少々離れたところにある食料品も売っている広い店舗では数個以上の入荷があったと答えるところが多く、ドラッグストアによっても入荷に偏りが見られました。

整理券配布制をとる、とあるドラッグストアの店員は「正直、『この人、毎日来てるよね?』と、転売屋かなと感じるお客さんもいます」と話します。
「うちは朝確実に並んで10番以内なら、どんな種類でもよければマスクは手に入ります。逆に言うと、一部商品以外は朝に入荷しているので、それ以外の時間帯だと商品がないんです」

朝早い時間の開店に万全の準備で備えられるという、時間にかなり余裕のある生活をしている人以外は、購入が難しいのが実情のようです。

●転売の参入障壁が低くなった理由

依然として品薄が続くマスクですが、多くの一般人転売ヤーが参入している背景にはいったいなにがあるのでしょうか? ネット転売事情に詳しいライターの村田らむ氏に聞きました。

「一般の人が転売しやすくなった背景は、おもに2点あるでしょう。
ひとつは、出品登録が簡単に無料でできるようになったこと。以前はヤフオクの出品者になる場合は、本人の手元に届く書類を受け取るのに、免許証や保険証等の公的証明書を配達員に提示しなければなりませんでしたし、数百円の月会費を払う必要がありました。

しかし、スマホの登場で、本人確認が証明書の写真で瞬時にすませられるようになり、出品者登録も原則無料。販売が成立したときのみ、その分の手数料が引かれて振り込まれる仕組みに、業界全体が変わったんです。今ではスマホと身分証が手元にあればだれでも出品者になれます。

もうひとつは取引の匿名化です。以前は落札されたら出品者も購入者もお互い住所や名前を明かしたうえに、銀行口座を明かしてお金を振り込んでもらう必要がありました。悪質な転売ヤーは、ネットで住所や名前を晒されるリスクが常にあったんです。
一方、今は郵便局やヤマト運輸の協力により、出品者も購入者もお互いの住所や名前、銀行口座を明かさないまま取引ができます。このことが身バレを防げるということで、主婦など一般人の転売ヤー化を助けている面はあるでしょう」

●政府もマスク転売規制、しかし…

こうした状況を受けて、3月5日、政府はマスクの転売を禁止し、違反したら懲役5年以下、または、300万円以下の罰金を科すことを検討していることが一部メディアによって報じられました。

現時点では、規制の詳細がわからないためなんともいえませんが、オークションサイトやフリマアプリでの高額転売のみを規制したところで、主婦転売ヤーのような素人転売は一掃できても、プロ転売屋はどうでしょうか。Amazonや楽天などECサイトを使って本格的に高額転売をする人・業者も同時に規制しなければ、高額転売が横行する事態の収束ははかれなさそうです。

そもそもマスクは、感染を防ぐ意味ではあまり効果がないと、専門機関も指摘しています。高額なマスクを求めるよりも、手洗いうがいを徹底することや、人の密集する場所に極力行かないことが、今できる最善策ではないでしょうか。

<撮影・取材・文/中野一気>

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