かけがえのない毎日の散歩。今日はどこ行く?<inubot回覧板>第12回
2019.06.09

ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inubot。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。
第12回は、犬との散歩で見られる、とびっきりの行動や表情のこと。

犬が最速で突進するほど欲しがる、畑や山で手に入る遊び道具。それは木の棒です

土砂降りでなければ朝と夕方に1日2回、主に私と母のどちらかが犬と散歩に行っている。
散歩コースはいくつかあって「今日はどこに行こうか」と決めるところからがスタートだ。同じように散歩に行く母から「近所でそんなに選択肢あるんか?」とツッコミが入るが、地区ぐるりコース・公園コース・山道コースなどなど…そして帰り道を一本変えるだけでも新コースに追加するので、どんどん増えていく。

地区ぐるりコース・公園コース・山道コースなどなど公園は少し遠いので毎日は行かないが、犬のお気に入りのコースではないだろうか。まず公園に着くと敷地内に植えられている木を一本ずつ入念に嗅いでいく。調べつくしては次の木に移ってまた嗅ぎはじめる。

犬が木や電柱のにおいを嗅ぐのは、人にとっては新聞を読んだり、インターネットで調べ物をしたりする行為と同じで、情報収集活動なのだと本で読んだことがあって、大切なことだから時間が許す限り待つようにしている。その間「ふんふんふんふん…」と聞こえてくる犬の鼻息に耳を澄ませる。

鼻息に耳を澄ませるにおいを嗅ぐことに集中しているとき、犬は吸って吸って、吐いていなくて、よく息継ぎを忘れる。そしたら嗅いでいたいという気持ちと裏腹に身体が辛抱ならんといって「ふぅんっ!」と大きく息を吐くのだが、自分でああ驚いたと目を丸くしている。一拍おいて、すぐにまた再開だ。

車を運転して隣の市の公園コースというのもあるが、そこでは自分のなわばりという意識がないのか、そこまでにおいを嗅いだりはしない。

別の散歩コースを選択すると手に入るアイテムがある。山へ行くか、もしくは母が栽培しているカキ畑に行くと、犬はそれを使って遊ぶことができる。

カキ畑カキ畑に立ち寄れば、木や土のにおいを嗅ぐのはもちろん、うちの畑だと示すためにマーキングに勤しみ、リードは外さないが自由にあちこちを走り回って、忙しそうにしている。

時期にもよるが畑内には剪定した木の枝が落ちていて、私がそれを拾うべく屈もうとすると、それまで熱心に穴を掘っていた犬の動きがぴたっと止まって、意識をこちらに向ける。遠くから目を輝かせた犬が、ビョン! ビョーン! と大ジャンプを繰り返してやってくる。

この移動は「走る」とはまた違う。大ジャンプで前進を繰り返す合間に足をついていて、走るよりも滞空時間が長く、大げさかもしれないが低空飛行しているようにすら見える。

低空飛行しているようにすら見える
雪原にて
最速で突進するほど欲しくて、畑や山で手に入る遊び道具、それが木の棒です。

木の棒

小ジャンプをして急かしてくる木の棒を手に持っている私のところまで駆け寄ってくると、いつ投げるのかとうずうずしながら、小ジャンプをして急かしてくる。

走って追いかけていく期待に応えるべく遠くへ投げれば、今度も大ジャンプ…ではなく走って追いかけていく。そういえばボール遊びをするときもだが、ものを追いかけるのに大ジャンプでの移動を使ったりはしない。

木を拾ってくわえたら、私のもとにまっすぐ帰ってくる。が、木を渡すわけではなく、目の前でしゃがみ込むと木の棒を文字通り噛み締めている。木は噛み心地がよいのだろう。
木は噛み心地がよいのだろうこのとき犬は木の棒がふらふらしないように両手を使って固定するのだが、支える箇所や力の入れ方が抜群なのだ。犬の四肢を前足・後ろ足と呼ぶ人もいるけれど、この動きを見ていると右手左手としか思えなくなってくる。

右手左手としか思えなくなってくるそして右足左足である。

そして右足左足

ちいさな頃から木製のオモチャを噛んでは口を大きくあけて見せてくれた
2014/11/4日 齢0歳6ヶ月
ちいさな頃から木製のオモチャを噛んでは口を大きくあけて見せてくれた。すぐに噛み跡だらけにして、それでも飽きるまで噛んでいるのは今も相変わらず。この前は庭に放っておいたスコップを見つけては、木製の持ち手の部分を甘噛みして、離したくない様子だったが、ボロボロにならないうちに回収した。

ボロボロにならないうちに回収した

犬自ら木の棒を拾ってくる私が動かなくとも、犬自ら木の棒を拾ってくることもある。そんなときはよく口にくわえた棒を思いっきりブンブン振り回しているのだが、結構な勢いなのでヒュッヒュッと風をきる威勢のいい音が無人の山でよく聞こえる。

長さやカーブの反りがぴったりまた別の木では、長さやカーブの反りがぴったりだったのか、くわえて勢いよく振り回している間に、くるりと上向きに巻かれたしっぽの輪っかをくぐっていたことがあった。そのときも犬は振り回すことに熱中していたので、自分がどんな状態になっているか分かっていなかったが、少しして違和感に気づいた。

少しして違和感に気づいた

なんて万能なのか木の棒
投げて遊ぶもよし、噛むもよし、振り回すもよし、なんて万能なのか木の棒。そして、ご満悦そうな表情、獰猛な表情、犬のいろんな表情を引き出してくれてありがとう。

いろんな表情を引き出してくれてありがとう
あじさい

体の状態や気分で反応が日々変わるとはいえ散歩は毎日のことだから、体の状態や気分で反応が日々変わる。
もう一度投げてと素直に木を渡してきたり、疲れて関心を示さなかったり、ほかのものに興味があったり、行き道はスルーしたのに帰り道でくわえて持って帰ろうとしたり、いろんな日があるのが生活を続けるということだと、犬を見ていて思うようになった。

今日の朝は山道で木の棒で遊んで
川に転がっていた竹をくわえていた日もあった
今日の朝は山道で木の棒で遊んで、夕方は橋を渡った。明日の朝はどこに行こうか。

明日の朝はどこに行こうか
にっこり【写真・文/北田瑞絵】
1991年和歌山生まれ。バンタンデザイン研究所大阪校フォトグラファー専攻卒業。「一枚皮だからな、我々は。」で、塩竈フォトフェスティバル大賞を受賞。愛犬の写真を投稿するアカウント@inubotを運営

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