防災グッズをアップデート!行政の備蓄はすぐ手に入らないことも
2018.09.06
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台風21号や北海道地震で大きな被害が出ています。避難するような災害に備えて普段から防災グッズを入れたリュックを用意したいものですが、「本当に必要なものがよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。

全国1万2000人が参加する備災講座「防災ママカフェ」を主宰するかもんまゆさんに、防災グッズの選び方について伺いました。

災害時、本当に役に立つ備蓄品とは?
災害時、本当に役に立つ備蓄品とは?(写真はイメージです)

オムツや薬、使う人が限定されるものは、被災時にすぐ手に入らない!

「まず、家族構成や年齢によって、必要な備蓄や防災グッズは大きく違います」とかもんさん。

「講座でも『いちばんいい防災リュックはどんなものですか?』と聞かれますが、残念ながら『これがあれば必ず命が助かる』なんて正解はありません。いつどこでどんな災害が起こるかわからないし、家族構成や子どもの年齢などによって、必要なものは違ってくるからです。自分の家族を思い浮かべて、なにがあればみんなが安心できるか? を考えながら準備をしましょう」

●持って逃げられる量には限りがある

防災リュックは入る量にも限りがあります。どのようなことをポイントに準備するのがいいのでしょうか。

「災害の翌日から物資がすぐ届くと思っている方がいますが、道路が壊れ、物流が途絶えてしまうことも。災害後数日間はお金があってもなにも買えず、家にあるものだけで耐えしのぐことになります。また、防災リュックにものをつめ込んでいる方がいますが、もっとも大事なのは、『リュックを持って逃げること』」

女性が持てる量は、大体10kgと言われています。
つまり、5kgの赤ちゃんが一緒なら、あと5kgしか持てないということ。中身を厳選する必要があるのです。

<被災した母親にとって役に立つ可能性が高いもの>

・マスク、子ども用のマスク(被災地はホコリが非常に出る)
・離乳食、粉ミルク(なかなか配給されない)
・ペットボトルの水
・洗眼剤(ホコリで目が痛いが、水がなく洗えなかったという事態がある)
・おしりふき(水がなくても手がふける)
・ヘッドライト(両手が使える)

マンションや自治体、避難場所など、さまざまな場所に備蓄がされていますが、災害後は混乱もあり、すぐに受け取れないことも。

「自治体が備蓄しているものは、水や毛布など、だれでも使う、5年以上もつもの。そしてこの物資を受け取るにも、体制が整うまで時間がかかり、長時間子連れで外で行列することになります。ミルクやオムツ、薬、生理用品など、使う人が限られるものは必要数備蓄されていないと考え、必ず自分の家族の分は準備しておきましょう」

また、備蓄を準備する自治体の防災担当者=防災のスペシャリストとは限らないそう。

「自治体には異動があり、担当者は数年で変わります。以前話を伺ったとある自治体では、オムツを備蓄しているとのことでしたが、よくよく聞くとオムツにサイズがあることもご存知ありませんでした。乳幼児の食べ物、飲み物を中心に、ないと困るもの、あると安心できるものを準備しておきましょう」

●乾パンが食べられない!?子どものいる家庭の備蓄のポイントとは

写真はイメージです
食べ慣れていない子どもは、乾パンを食べられないことも…(写真はイメージです)
次に、子どもがいる家庭の備蓄のポイントについて伺いました。

「東北のママが、防災リュックの中に乾パンを入れていたそうなのですが、3歳のお子さんがまったく食べられなかったそうです。子どもは食べ慣れないものや、まずいと思ったものは食べません。防災の定番だから乾パンを備蓄すればいいと考えるのではなく、自分の家族が実際に食べられるものを用意しておきましょう」

大人であれば「今はそんなことを言ってる場合じゃない」と、どんなものでも食べることができますが、小さい子どもには状況がわかりません。
子どもが普段から食べ慣れているもの、食べると元気が出る好物を入れておくことが大切です。

「防災グッズというと食べ物や飲み物などのことばかりを考えてしまいますが、子どもたちは慣れない避難生活で遊ぶこともままならず、ストレスをためることが考えられます。年齢に合わせて、少し気を紛らわせることができる、遊べるものを入れてあげて」

<避難所で子どもがリラックスできるグッズ>

・折り紙
・塗り絵
・トランプ
・お気に入りのキャラクターのシール
・好きなタオル、体にかけるタオルケットなど

子どもはどんどん成長するので、最低半年に一度は防災リュックの中を確認することが重要です。

●家にいるときに被災するとは限らない!普段のバッグも防災を意識して

写真はイメージです
いつものバッグに防災ポーチを入れておくと、いざというときに役立ちます(写真はイメージです)
せっかくきちんと防災リュックを準備しても、家にいるときに被災するとは限りません。外出時はどうしたらいいのでしょうか。

「普段使っているバッグの中に入れておく『防災ポーチ』をつくりましょう。子どもと突然家以外の場所で一夜を過ごすことになったら? という想定で必要なものを考えます」

<防災ポーチに入れておくと便利なもの>

・マスク
・常備薬(頭痛薬など)
・ばんそうこう
・ウェットティッシュ
・生理用品
・携帯トイレ
・モバイルバッテリー(ソーラーパネルつきが便利)
・アメなどのお菓子
・アルミブランケット
・ミニライト

●普段の生活のなかで、子どもにいろいろな体験を

想定外の災害が起きると、8割を超える人がパニックになったり、頭が真っ白になってしまい、普段と同じ行動ができなくなるそう。

「毎日ずっと地震のことを考えて緊張している必要はありませんが、いつそのときがきてもいいように、『今ここで地震が来たらどうなる? どうする?』と、自問自答してみたり、親子でクイズのように質問し合うのもいいトレーニングになります」

被災すれば、外で真っ暗な夜を過ごしたり、いつもと違う環境でいつもと違う食事をとったりすることになります。

「熊本地震の避難所で『机がないから食べられない!』と泣き叫んでいる子を見ました。『今は非常時だから仕方がない』と理解できない子どもたちは、なかなか状況に順応することができず、大変な思いをすることに。外でご飯を食べてみる、真っ暗ななかで過ごすなど、どんなことがあっても対応できるように、普段からいろいろな体験を与えることを意識したいものです」

万能な防災グッズはありませんが、想像力を働かせて備えること、心をきたえておくことはできます。
「あのときこうしておけばよかった」と後悔する前に、今できることから始めてみませんか?

●教えてくれた人
【かもんまゆさん】

一般社団法人スマートサバイバープロジェクト特別講師。東日本大震災の物資支援を機に、ママのための防災ブック『そのときママがすることは?』を企画制作。現在、全国190か所以上、1万2000人以上が参加する「防災ママカフェ」で子どものいのちを守るためのリアルな情報と対策について伝えている。NHK 教育『すくすく子育て』など、メディアにも多数出演。

<取材・文/ESSE編集部>