震災で故郷を離れた母に伝えた「あなたが必要」「あなたがいてこそ」
若松美穂
2018.06.02
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こんにちは。若松美穂です。主婦業のかたわらエッセイストなどもやりつつ、楽しく、豊かに暮らすためのさまざまな工夫を提案しています。テーブルまわりを中心に、生活のなかの小さな発見をつづっていけたらと思っています。
若松美穂のおいしい生活

悲しんでいる人に立ち直ってもらうために、周りの人ができること

今回は、つらい目にあった人が、どう立ち直っていくかについて、私なりに考えたことをつづろうと思います。

私の母は、東日本大震災で、家と仕事を失くしました。今は埼玉で、私たち家族と暮しています。仕方がないこととはいえ、同じ場所でがんばっている親戚もいるなかで故郷を離れた自分を、母は今でも責め続けています。

石巻沿岸写真は、この4月の石巻沿岸の様子です。

その後母は、夫(私の父)、実母(私の祖母)を亡くし、先日はさらに双子の妹を亡くしました。生きている限り、夢や希望を失ったり、大切な人を亡くしたりすることは避けられませんが、そんなとき、本人は、周囲はどうすればいいのでしょうか。

ステンド母を見て思ったのは、まずは体をゆっくりと休めることが第一。昼だろうが夜だろうが、しっかりと眠ることが大切です。母も震災から数年は、「水が高く渦巻く夢を何度も見る。つらいだけではなく、その後、体がひどく疲れる」と話していました。寝具も含め、ゆっくりできる環境をつくるといいのかもしれません。

ステンド震災後すぐの頃、私たち家族ができることは、ほとんどありませんでした。そのなかでも、食事を用意したり、話を聞いたり…。

お花見たとえ母の心のなかは孤独感でいっぱいだとしても、一緒に過ごし、自分はひとりではないのだ、ここにいていいのだ、と感じてもらうようにしました。太陽の光を浴び、健康的に過ごしてもらうことを目標とし、気分転換のためにともに外出するなどしました。

また友人の皆さんが温かく、「私はあなたのことをいつも思っているよ」と手紙をくださったり、外へ誘いだしてくださったりしたことも、母が元気になるきっかけとなりました。

首都高速加えて、落ち込みから立ち上がるには、本人の力が必要です。いくら周囲が、立ち上がってもらおうと手を添えても、その人自身の足にふんばりがきかないと、立ち上がることはできません。

そのために、私や娘たちは「母を頼りにする」という方法を取りました。私自身も震災後、ESSE本誌やブログ等に文章を書かせていただくことで、「自分にできることがある」「多少なりともだれかの役に立っている」と感じたことが、立ち上がる力になったと感じています。

母のカット母はもともと美容師ですので、家族全員のカットやパーマ、染髪に加え、近所のお子さんやママさんのカット、卒業式や成人式の着つけのお手伝いをしています。私が仕事をしている間に家事を手伝ってくれたり、留守の日は、孫たちに食事を並べてくれたり。ほかにももろもろ、孫たちが甘えていることも(笑)。

お花母本人も言います。
「ダラダラ、のんびりと過ごしていると、変なことばかり考えてしまってダメね。多少無理をしてでも体を動かしてなにかをすること、自分の居場所があることや、することがあることが、人を元気にするのね」と。

心も体も疲れきっているときは、だれかにサポートしてもらうことが必要です。その後、どう立ち上がるか。
その人が立ち上がるには「あなたがいてこそ」「あなたが必要」ということを伝え、「自分がいることの意義」を感じてもらうことも、力になるのではないかと感じています。

【若松美穂(わかまつみほ)】
お金をかけずにセンスと工夫でおしゃれに暮らすカリスマ主婦読者として、生活情報誌『ESSE』や『サンキュ!』などで紹介され、人気者に。2011年、心理カウンセラーの資格を取得。主婦業のかたわら、エッセイストとしての執筆活動のほか、講演、各メディアへの出演など多方面で活躍。夫と、大学生、高校生の娘、母親の5人家族。埼玉県在住
▼Instagramのアカウント「m_wakachin8