「レスってそんなにダメなこと?」していなくても夫婦円満の秘訣とは
松崎祐子
2018.05.20
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じつに6割の夫婦がセックスレス(2016年・アンファー調べ)の時代。社会問題化するセックスレスですが、「そんなに悪いことなの?」と考える人たちもいます。

ESSEonlineが20~50代の女性読者173人にアンケートを実施し、現代の事情を探ったところ、なかにはセックスレスを肯定的にとらえている夫婦も。
「レス生活」をエンジョイしているケースについて、リアルな声をお届けします。

仲良し夫婦
※写真はイメージです

恵梨香さん(仮名・40代前半)の場合:「こういうの、好きじゃない」という夫の宣言でレスに突入。だけど、毎日ラブラブな私たち

まずご紹介するのは、夫とラブラブなのにセックスレスな恵梨香さんのケース。
結婚して15年になる恵梨香さんは、同年代の夫と2人暮らし。セックスに対して受け身の姿勢が基本だったという恵梨香さんがレス生活に至ったのは、夫からの提案でした。

恋愛中は特別淡白というわけではなかった夫との性生活は、結婚してから徐々に減っていたのだそう。
そしてある日、「こういうの、好きじゃない」という夫からの宣言があり、恵梨香さんが受け入れたことでレス生活に突入しました。

●夫からの「家族として大切だからできない」という言葉が心の支えに

恵梨香さん夫妻は毎日数回キスし、ハグや「大好き」という言葉も毎日かわしています。
「お風呂にも毎日一緒に入るし、ベッドも同じ。新婚のラブラブカップルから性行為だけがない感じ」という恵梨香さんからは、悩んでいる様子は見られません。

ただし正直な気持ちとしては、このままセックスがなくてもいいわけでなく、「もしあれば、うれしい」とも思っているそう。

「レスなのは太ったからなのかな、年齢のせいなのかなって気になることもあります。以前ちらりと夫が言ってたのは、『家族として大切であるほど、汚したくない、手荒く扱いたくないと思ってできない』ということ。その言葉によって、支えられている部分があります」

栞さん(仮名・40代前半)の場合:セックスってそんなに大事?女性として見られていなくても、毎日が楽しい方がいい

「セックスだけにとらわれていたらもったいない」と言いきるのは、栞さんのケース。

栞さん夫婦がレスになったのは、子どもの長期入院がきっかけ。完全介護生活のため、栞さんも病院に泊まり込む生活が続き、夫とは数か月間、別居を余儀なくされました。
その後、夫も仕事が忙しくなり、自然とレスとなったのが5年前のこと。

栞さんは、「正直、今の状態がラク」と言います。

●「このまま拒否されるなら、浮気する」と言われてもかまわない

会話が多く、とても仲がいい栞さん夫婦。実際、夫はレスを解消したいらしい様子も。
ときどき冗談めいた誘いはあるものの、「以前、今の気持ちを正直に夫に話しました。夫は十分理解してくれたと思います。だから、そんなお誘いも毎回あっさりした会話で終わります」と言います。

「もし、性生活がないことで浮気されたとしても、別にかまいせん。ただ、子どもが成人するまでは、父親としての責任を果たしてほしい」とも。

「逆に、セックスってそんなに大事ですか? 不安がるより、相手に対してしてあげられることを探したり、夫の喜ぶ食事を用意してあげたい。夫との会話を楽しむためにも、自分自身が毎日を楽しく過ごす方が未来は明るいと思います。女性として見られていなくても、私は毎日が楽しい方がいいです」

栞さんにとってセックスは、愛情を表すための行為ではあるものの、愛情のすべてではありません。

「夫は、この先何十年も一緒に過ごす相手。いつまでもセックスできる体なわけでもないだろうし、それだけにとらわれていたら、なんかもったいない気がします。今だって、けっして夫のことが嫌いだから性生活がないわけではありません。子どもの手が離れたとき、自分たちの体力と状態でなるようになっていくんじゃないかな」

明子さん(仮名・40代前半):相手に合わせる必要がないから自由になれた。お互いの幸せを尊重できるんです

レス生活のなかで、「夫とは同じ会社の同僚のような感じ」と表現するのは、明子さんのケースです。

高校生の子どもがいる明子さん夫妻は、子どもが小学生のころ「いつ起きてくるかわからない」という思いから、なんとなくレスに。
冬など寒い時期は、温まるためにお互いに近寄ったりすることはあるものの、とくに問題意識もなく、現在に至ります。

「もともとお互いに淡白なタイプで、よく子どもを授かれたなあって思います」と笑う明子さんは、このままセックスがなくてもいいという考え。「おそらく夫もYesだと思う」と話してくれました。

●普段の生活が楽しいから、どちらかに合わせてまでセックスに割いている時間がない

夫婦
※写真はイメージです
明子さんと夫は、もともと大学院の同級生という関係。現在も、学生のときのディスカッションする感覚で言い合うので、娘がハラハラして見ていることもあるのだとか。

「性生活があったときは、お互いに所有物のような感覚を抱いていました。それが、今では同じ会社の同僚のような感じ。性生活よりも自由が勝っているというか…。お互いに束縛されたくないタイプなので、今の生活は干渉されずに自由に過ごせてラクです」

その分、お互いの幸せを尊重するようになったと言います。
「夫は家にいたいタイプで、私は外で新しいことを探したいタイプ。以前は、どちらか一方に合わせようとしていましたが、合わせないことで互いが幸せなんだという結論に達しました。性生活も、お互いが望むパターンがなんとなく異なっていたからレスになった気がします。合わないなら、合わせなくていいかって」

昨年は単独海外旅行も体験した明子さん。「普段の生活が本当に楽しいので、どちらかに合わせてまでセックスに割いている時間がないのかも」と分析してくれました。

●ひとりの人間として尊重してもらえていることの方が、すてきでうれしい

今回のインタビューをとおして、明子さんは、自分が「性を意識して生きていなかった」ことに気づいたそう。

「夫が男性だったから好きになったのではなく、彼という人間だったから好きになっただけ。夫も私のことはひとりの人間として見てくれていているように感じます」

夫は、明子さんの行動をおもしろがってくれるタイプ。
「ことあるごとに『明子はおもしろいねぇ』って言われます。私自身も、夫は今なお興味深い存在。『女性だから』ではなく、ひとりの人間として尊重してもらっていることの方が、すてきでうれしいことのように思っています」

そう語る明子さんからは、セックスレスという言葉ではくくれない、夫婦の絆を感じました。

今回取材してみて、レスであっても、互いに納得していたり歩み寄ったりしている夫婦からは、現状に満足している様子が伝わってきました。
セックスレスで夫婦の関係が揺らぐのは、“夫婦のコミュニケーションの欠落”が隠れているからなのではないでしょうか。

セックスレスという言葉がこれほど一般的になって、多くの夫婦がそうであっても、内情はじつにさまざま。
「みんなそうだからうちもいい」ではなく、「結婚生活が長いからもういい」でもなく、ひとりの人間として相手を思いやる気持ちが、セックスレス問題を解決するカギになるのかもしれません。

<取材・文/松崎祐子>