こだわりの食で「安上がりにすませるだけの節約」から「豊かな節約」へ
2017.02.03

「安上がりにすませるだけの節約」から「豊かな節約」へ。自分で工夫をしたり、ひと手間をかけて、日々の生活からムダを省く。お金の力に頼らずに、丁寧に暮らす。食、おしゃれ、住まい、家事など、暮らし回りを一度見直して、心をが満たされる毎日を過ごそうと考える人が増えています。

 たとえば、1円でも安い商品を求めてスーパーをハシゴするのではなく、手づくりしてみる…。そんな自分のこだわりや安心感を大切にしている人のライフスタイルに感心が集まり、雑誌や書籍でも数多く取り上げられています。料理研究家、リメイク作家と活動している塩山奈央さんも、ていねいな暮らしを目指すさまざまな人から注目されているひとりです。工夫と知恵を駆使して実現する、食にまつわる節約術について教えていただきました。

塩山奈央さんのこだわりの食で実現するおいしくて快適な毎日

塩山奈央さんのこだわりの食と道具でつくるおいしくて快適な毎日「おいしくて体にいい食事」にこだわりながらも、余計なお金をかけずに、丁寧な日々を心がけている塩山奈央さん。

「高価な食材や凝った料理は必要ないと思うんです。でも、ちょっとした工夫と手間は大切に。それだけで毎回の食事が、味わい深いものになります。それに、元が食いしん坊だから、いろいろとつくってみたくなってしまうんです(笑)」

 ちなみに、食だけでなく、家具や道具も、シンプルなものを厳選して、長く使うのが塩山さん流。「買うときは、素材やつくりが丈夫かどうかをチェック。そのうえで、デザインや価格を見て、最終的に購入を決めています。お気に入りだからこそ、壊れたら修理したり、ほかの活用法を考えて長くつき合います。手をかけると、さらに愛着がわいて、暮らしが豊かになるんです」。

塩山さんがこだわる、満足感のある食卓のつくりかた!

 乾物や手づくりの保存食など、あるだけで安心できる「定番」があると、少ない素材をプラスするだけでおいしく、満足感のある食卓にすることができる。塩山さんは、そう考えています。

●うま味が増しておなかもふくれる豆を常備

うま味が増しておなかもふくれる豆を常備
左からヒヨコ豆、大豆、レンズ豆
「豆は栄養たっぷりで腹もちがよく、味を吸っておいしくなるので便利に使えますよ。スープやシチュー、カレーに加えたり、ミートボールなどのかさ増しにも使えます。最近は娘もお気に入り」。写真は左からヒヨコ豆、大豆、レンズ豆。

 戻さずそのまま使えるレンズ豆は、細かく刻んだタマネギ、ニンジン、トマトなど、残り野菜とともに煮込んでスープにしてしまいます。

うま味が増しておなかもふくれる豆を常備 塩山さんのお宅では、ゆでた大豆に、タマネギのみじん切り、イタリアンパセリを加え、レモン汁、オリーブオイル、塩麹であえます。まとめてつくって常備すれば、あと一品というときに便利です。

あと一品というときに便利

調味料はできるだけ手づくりに

 毎日使う調味料も、できる範囲で手づくりすることを心がけています。「もともとは好奇心からつくり始めました。買うよりずっと安価だし、これらがあるだけでいろんな食材が簡単においしく調理できるので、毎年つくるようになりました」。なにが使われているのか自分がきちんと知っているので、安心感もあります。

<塩麹>塩代わりに使えばコクがアップ!

 料理に加えるだけでコクと甘味が出る万能調味料です。「スープ、サラダ、炒め物など、あらゆる料理の塩代わりに使います。肉や魚を漬け込めば、臭みが抜け、うま味が増しますよ」。

<塩麹>塩代わりに使えばコクがアップ![材料とつくり方](つくりやすい分量)

(1)米麹(生)500gは1.5リットルの保存ビンに入れ、粒をほぐす。

(2)塩150g、水500ccを加えて全体をよく混ぜる。

(3)フタをして室内に置き、1日1回かき混ぜて常温で1~2週間熟成させる。麹の粒が水面から出ているときは、その都度ひたひたになるくらいの水をたす。

・たとえば塩山さんのお宅では、豚ロース肉に、重量の約10%の塩麹をもみ込んでひと晩おき、キノコとソテーに!

<ぬか>野菜だけでなく魚や肉もぬかに漬けて

 野菜だけでなく、魚や肉を漬けても美味。「とくに青魚との相性が抜群。ふんわりとぬかの風味がして、まろやかなおいしさになります」。肉、魚用のぬか床は野菜と必ず分けるようにしましょう。

<ぬか>野菜だけでなく魚や肉もぬかに漬けて[材料とつくり方](つくりやすい分量)

(1)ぬか1kgは半量のみを数回に分けてフライパンでサラサラになるまでからいりする。
(2)大きめの鍋に、(1)と残りのぬか、塩150g、粉和ガラシ50g、好みでいり大豆100gを入れ、水800ccを加えて混ぜ合わせる。つかんだらほろっとくずれるかたさを目安に、水分がたりなければ水少しをたす。

(3)(2)を保存容器に移し、干しシイタケ2、3個、昆布10㎝、赤唐辛子5、6本を加える。

(4)くず野菜適量を(3)に埋め込み、常温におく。

(5)1日1回かき混ぜ、くず野菜を1~2日おきに取り換える。1~2週間たったらくず野菜を食べてみて、ぬか漬けの味になったら完成。

・頭とワタを除いたイワシをひと晩ぬか床に漬け、表面をさっと洗って焼いてみてもおいしい!

<アンチョビ>加えるだけで本格イタリアン

「アンチョビが大好きで、パスタや炒め物によく使います。買うと高いけれど、手づくりなら、安くてたくさんでき、おいしさも格別。サンドイッチにそのままはさむのもおすすめです」。

<アンチョビ>加えるだけで本格イタリアン[材料とつくり方](つくりやすい分量)

(1)カタクチイワシ500gは手びらきにし、頭、内臓、骨を取り除く。約3%の塩水でよく洗いながらヒレを除き、水気をよくふき取る。

(2)(1)の重量の15~20%の塩をまぶす。

(3)塩が全体になじんだら大きめのガラス容器などに積み重ね、イワシの表面をラップでぴったりとおおう。重しをして冷蔵庫で4か月以上おき、途中でイワシの水分が出たら取り除く。

(4)保存ビンにオリーブオイルを1/3程度の高さまで入れ、(3)を詰める。冷蔵庫で約1週間なじませたら完成。※冷蔵庫で約1年間保存できる

・自家製アンチョビとブロッコリーのパスタは、ソースにたっぷりのアンチョビが溶け込んでいて風味豊か。コクが出ます

自家製アンチョビとブロッコリーのパスタ
●教えてくれた人
【塩山奈央さん】
料理研究家、リメイク作家。東京都在住。夫と長女の3人家族。食や縫いものなどをとおして心地いい暮らしを提案する「暮らし家」。著書に『日々、まめまめしく。』(風土社刊)ほか

日々、まめまめしく。

心地好い暮らしを提案する『チルチンびと』の人気連載が一冊の本になりました。エッセイ、書きおろしコラムやレシピも満載。