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老後資金は本当に2000万円必要?貯金+長期運用で備える

ESSE編集部E
2020.07.16
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心配だけど、今からどのように考えていけばいいのかわからないのが老後資金。ESSEが実施したお金のアンケートでも、約8割の人が漠然と不安を抱えているという結果が…。
漠然と2000万円と言われているけど、いつまでにいくら用意したらいいのか、貯められるようになるには何をしたらいいのか、そんなお悩みをファイナンシャルプランナーの前野彩さんに解決法をたっぷり伺いました。

イラスト夫婦
老後の暮らしを今からシミュレーションしておくことは大切です

老後資金って今から考えたほうがいい?プロに教わる備え方

●アンケートでも8割以上が老後に不安

ESSE読者の86%が不安を覚えていたのが老後資金。一方で、必要額を自信をもって答えられた人は少なく、「先すぎて考えられない」とあと回しにする人も。

円グラフ老後不安アンケートによると、86%近くが老後に不安を感じていました。

円グラフ老後資金備え準備している人は24%。76%が十分な備えをできていない!と感じています。

円グラフ老後資金いくら必要な額は、昨年の報道の影響からか2000万円と答えた人が39%ながら、根拠については自信なさげ。「見当がつかない」という人も1割強いました。

これに対し、「老後に必要なお金は、暮らし方次第。夫婦で話し合ってどんな生活がしたいかが決まれば、必要な額も割り出せます」と前野さん。

「目標額が決まったら、早めの準備が成功の秘訣。たとえ月5000円でも、30年貯めれば180万円に。有利な制度を利用して、コツコツ積み立てるという方法もあります」

収入と支出をつかんで管理するのは、老後も今と同じ。
「一般論ではなく、わが家のケースで考えることが大事です」と、前野さんは語ります。そこで、これからできる老後資金のシミュ―レーションについて教えてもらいました。

●STEP1:老後にもらえるお金を知ろう!

イラスト女性パソコン【ねんきんネットで将来の受給額を調べる】

まず、確認したいのが老後の収入である公的年金の受給額。

「50歳以上の人は、毎年誕生月に届く『ねんきん定期便』で確認できます。49歳以下の人は、日本年金機構のサイト『ねんきんネット』でシミュレーションを。自分や夫が将来もらえる額が、具体的に予測できます」

『ねんきんネット』の利用には『ねんきん定期便』に記載されたアクセスキー(3か月有効)と基礎年金番号が必要。年金手帳で確認を。

老後の年金の平均受給額
<男性>
厚生年金と国民年金 1,966,080円/年(月額16.4万円)
国民年金のみ 705,300円/年(月額5.9万円)

<女性>
厚生年金と国民年金 1,230,696円/年(月額10.3万円)
国民年金のみ 640,104円/年(月額5.3万円)

出典:厚生労働省年金局「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
※厚生年金の平均加入期間は、男性約36年、女性約25年。

●STEP2:老後の生活にかかる額を知ろう!

円3つ【「だれと」「どこで」「どのように」暮らしていくかをシミュレーションする】

老後を「家で本を読んで過ごしたい人」と「たくさん旅行をしたい人」では、かかるお金に大きな差が。

「だれと、どこで、どう暮らすか、夫婦で話し合ってみてください。前項の平均的な支出に加えて、特別出費も必要になるので注意してください」

◆老後に2人世帯以上で実際にかかるお金の目安は…

<60~64歳>
・持ち家率 90.2%

・食費 79,831円
・住居費 18,752円
・水道光熱費 23,141円
・日用雑費 13,165円
・被服費 10,750円
・保険料 14,044円
・交通・通信費 44,896円
・教養娯楽費 30,001円
・その他 71,537円
・消費支出合計 306,116円

<65歳~>
・持ち家率 92.6%

・食費 69,921円
・住居費 14,009円
・水道光熱費 21,599円
・日用雑費 10,427円
・被服費 6,913円
・保険料 16,271円
・交通・通信費 27,318円
・教養娯楽費 23,717円
・その他 54,065円
・消費支出合計 244,241円

※総務省「家計調査」(2019年)より監修者作成。
※各項目は四捨五入により、合計と差が発生することがあります。

●STEP3:用意しておくべき老後資金を計算しよう!

イラスト電卓夫婦【月の赤字×25年分と特別支出の備えが必要】

老後の生活費が年金を上回る場合は、赤字分を貯蓄で備える必要があります。加えて、クルマの買い替えや家のリフォームなどの特別支出も必要。両方を合わせた額が老後資金の目標額です。

年金生活の毎年の予想赤字 × 25年分(90歳‐65歳) + 特別支出 = 老後資金の目安

<年金生活の毎年の予想赤字>
⇒生活費が年金の範囲に収まればOK。赤字の場合は、その分を貯蓄で準備します。もらえる年金が月21万円、生活費が24万円なら、その差は3万円。年間では36万円の赤字に。

<25年分(90歳‐65歳)>
⇒65歳でリタイアして90歳まで生きると仮定すると、老後の期間は25年間。毎年の赤字に25をかけた額が貯蓄で用意すべき額に。年36万円の赤字なら、25年間の累計額は900万円。

<特別支出>
⇒クルマ200万円、家のリフォーム300万円…と必要になるだろう金額を予想。旅行費、子どもたちへの祝い金、病気などへの備えも考慮して500~1500万円程度は想定を。

●STEP4:貯金+長期運用で赤字分に備える

税金面で優遇がある投資商品が狙い目

必要な老後資金がわかったら、今からコツコツ貯めていきましょう。

「老後資金は使うのがまだ先なので、預貯金のほか投資商品でじっくり増やすのがおすすめ。『iDeCo』や『つみたてNISA』なら、税金面の優遇も受けられます」。それぞれの特徴を知って、上手に使い分けて。

長期運用におすすめなのは…
<つみたてNISA>
毎月一定額の投資信託を積み立てる制度。「運用で得た分配金や売却益は、通常かかる20%の税金が非課税に。最長20年間税金がかからず運用でき、解約はいつでも自由です」

目的:自由
対象商品:特定の投資信託
年間の投資額の上限:40万円
引き出し:いつでも可能

<iDeCo(個人型確定拠出年金)>
老後資金を目的として、毎月一定額を積み立て、60歳以降に受け取る制度。「かけ金は全額所得控除され、運用益も非課税などおトク度は◎。60歳までは引き出せない点は注意」

目的:老後資金
対象商品:投資信託・定期預金・保険
年間の投資額の上限:14.4~81.6万円(職業による)
引き出し:60歳までできない

※投資は元本割れのリスクがあるため、自己責任のうえで投資してください。

具体的な数字が見えると、何をすべきかが明確に。悠々自適な老後生活を手に入れるためにも、できることから早速始めてみましょう。

<イラスト/鈴木衣津子 取材・文/ESSE編集部>

●教えてくれた人
【前野彩さん】

ファイナンシャルプランナー。お金の知識不足を痛感して、養護教諭から転身。親身のアドバイスが好評。『本気で家計を変えたいあなたへ〈第3版〉』(日本経済新聞出版社刊)など著書多数