昨年経済産業省は、「2025年までにキャッシュレスの決済比率を4割程度にする」との方針を発表しました。
さまざまなサービスが増えつつあるキャッシュレス払いですが、実際のところ消費者にとっては現金払いとどちらがおトクなのでしょうか?
消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんに聞いてみました。
現金払いとキャッシュレス払い、どっちがおトク?

●キャッシュレス払いの便利さは、デメリットにもなる“諸刃の剣”
キャッシュレス払いにはクレジットカード、デビットカード、電子マネー、プリペイドカードなどありますが、最近では、スマホを使ったQRコード決済の普及が加速しています。
手もちの現金がなくても、買い物チャンスを逃さないことが、キャッシュレス払いの最大の利点。でも、じつはこの利点こそがデメリットにもなる“諸刃の剣”なのです。その理由は、手もち以上のお金が使えるので、つい余計なものまで買ってしまいがちだから。
またキャッシュレス払いだと、手もちの現金が減らないので、使った実感が希薄になりやすいことも使いすぎの原因に。とくにクレジットカードの場合、使った金額が預金口座から引き落とされるのが翌月や翌々月になるので、やりくり初心者にはお金の流れが把握しにくく、管理が難しくなります。
その点、現金払いはお金の流れが見えて管理しやすいといえるでしょう。
●やりくり初心者には現金払いの方がムダづかいが減りおトク!
さらに、ネット通販でキャッシュレス払いをしたら、購入した店のセール情報が、頻繁に届くようになったということはありませんか?
これはキャッシュレス払いをすると、買い物データが蓄積・分析されるので、利用者の買い物欲求をピンポイントで刺激するような情報提供が可能になるからです。
現金払いと違って、ポイントがつく点も、それ自体はおトクですが、ポイント目当てで買い物するようになっては本末転倒のムダづかいです。
このように、キャッシュレス払いはムダづかいを誘うトラップが多い分、やりくり初心者さんなら、現金払いの方が安心です。
<イラスト/あべさん 取材・文/ESSE編集部>
【松崎のり子さん】
消費経済ジャーナリスト。『ESSE』『レタスクラブ』の編集者としてマネー記事を担当。ドラッグストアを日々研究。著書に『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社刊)など。
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